廃墟で発見された手記
この手記は東京多摩市の取り壊された一軒家で発見された手記である。
あの畏怖なる展示会に参加したことがある。その展示会は人間の標本を展示し学術的資料として観覧できるイベントである。
私が小学生の頃、医療大学を目指す姉と共に見にいったのだ。確か場所はお台場であった。皮膚を剥がされた人間たちがポーズをとらされ、ショーケースに展示されていた。
私には
たすけてくれぇ
苦しい
いたいいたい
と聞こえてならない。
あの声から察するに生きたまま標本にされたようで、私は恐怖した。あの犠牲者たちは某アジアの国の人間ということは判っている。
私は当時、脳を掴む体験をした。あの感触は今だに忘れられない。プラスチック加工されているにも関わらず、私の感覚に生々しく伝わってきた。私はその当時小学生でまだ物事の判断が出来ていなかったようだ。
そして私はあの展示会の主催者の本当の思惑を知ったのだ。あれから20年は経っている。今は名前を変えて同じような展示会を世界で行っている。あの畏怖なる主催者は私の口を封じるだろう。
私が彼らのコレクションとなる前に、親愛なる者たちにこれを書き残しておく。私は奴らに殺され見世物にされるのだ。あの忌々しい畏怖なる存在に魅入られた者共に。
もし我が国日本で再びあの驚愕なる不愉快な人間展示のイベントが行われる時は注意されたし。