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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第6話 美味しいものを食べて満足したと思ったらこれでした

 ぼけっと2時間程待っていた後、罠の状況を確認しに行った。

 そろそろ夕暮れも迫り手元が覚束無くなりそうだ。

 あまり期待せずに各罠を覗き込んで見る。


「おぉ、かかってる」


 大き目のウズラが1匹罠にかかっていた。

 取り敢えず、今日の夕食分には十分なので、他の罠は撤去する。

 ちなみに日本では2017年までは捕獲禁止なので日本じゃなくてほっとしている。

 念の為、『認識』先生もウズラとして太鼓判を押してくれているので、心置きなく調理に取り掛かる。

 今回はスキルを持っていなかったのか、『獲得』先生は何も言わなかった。

 取り敢えず血抜きをし、羽根を毟り、つぼ抜きをする。

 脂肪は別とし、皮と内臓、身、小骨を石で叩き潰していく。

 流石にカッターが脂でベトベトになり、刃が立たなくなり始めている。


「鍋があれば良い出汁が出るのに勿体無い……」


 結婚前から料理は好きだった為、良い材料を使えないのは純粋に悲しい。

 若干悲しみに暮れながら、簡易かまどを作り、大きめの平たい石を投げ込む。

 十分に赤く熱した石を取り出し、別にしておいた脂を引く。

 油が回った頃を見計らい、叩き潰した身をタルタルステーキ状に石に広げていく。

 鶏とはまた違った香りを上げながら、ちりちりと焼けていく。


「同じ鳥でも全然違うんだな。キジ科は美味しいって聞くけど確かに美味しそうだ」


 脂が火に落ちる度に、アオダイショウモドキとはまた違った香りが上がってくる。

 その度に胃の辺りがきゅうっとなる。


「いただきます」


 両面がこんがりと焼け適度に脂が落ちたタイミングで、早速噛みしめる。


「あ、鶏には無理だこれ。何だろう、もう、香りが違う」


 後はもう夢中で頬張り続けた。コロコロとした小骨も十分に叩いたお蔭で歯ごたえのアクセントになっている。


「ごちそうさまでした。満足でした」


 お腹がいっぱいになった為、寝床の準備に取り掛かる。

 岩場の下に人一人がギリギリ入り込める程度のスペースが有った為、乾いた枯れ葉を敷き詰め、寝床とする。

 メタボと言っても、そこまでギリギリの狭さではないので、何とか潜り込める。何とかの時点で微妙だが。

 用心の為、火は絶やさないように1時間毎にアラームをセットし、眠りにつく。


「大変な一日でしたが、お疲れ様でした。おやすみなさい」


 空を見ると見た事も無い星座が広がり、改めて日本から離れた場所なのだなと実感した。


 アラーム毎に目を覚まし、追加の薪を投入していたが、4時を過ぎた頃か。

 けたたましい鳴き声が響き渡り、飛び起きようとしたが、岩場の為じりじりと抜け出した。


「こういう時に、痩せてればなとは思う」


 若干気持ちを下げながらも、鳴き声のもとへ向かう。

 非常に聞き覚えの有る鳴き声の為、正体は薄々分かっている。


「やっぱりか……」


 昼に見た生きているくくり罠に大きなイノシシがかかっていた。

 罠を固定している木と比べても、イノシシの大きさは圧倒的であり、罠毎壊しかねない雰囲気を発していた。


「止めを刺すのも、解放するのも無理だしな」


 取り敢えず、これがいる限り他の獲物も襲ってこないだろうし、睡眠に戻る事にした。

 流石にこの巨体で、寝床に入り込む事も無いだろう。


 罠をしかけた知的生命体がどんなものか若干楽しみにしつつ今日はぐっすり寝る事にした。


「改めて、おやすみなさい」

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