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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第三章 異世界で子爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第715話 テリトリーの確認とお風呂

 玄関まで出てきてくれた侍従達にトトル達のため、来客用の部屋を用意してもらうよう頼んだ。まずはお風呂かなと、自室に戻りリズに荷物の片付けをお願いして、湯船になみなみと湯を張る。部屋に戻ると、リズが片付けをしている周りをタロとヒメがちょろちょろと走り回っている。子供達と一緒に遊んでいると、やっぱり甘えて子供に戻る。おいでと声をかけると、ててーっと向かってきて、大人しく伏せる。ただ、しっぽはぱしこんぱしこんと床を叩くように、Uの字を描きながら力強く揺れている。


『ちょとさみしかったの!!』


『せきりょうかん!!』


 子供達と一緒に仲良く遊んでいたと思ったが、やはり遊びだけでは足りなかったのか、撫でると目を細めながら、ぺろぺろと手を舐めようと、首を回してくる。


「凄く、まとわりついてきたから、寂しかったんだね。きっと」


 さくっと片付けを終わらせたリズがテーブルを挟んで、逆側に座る。


「遊ぶのと甘えるのとではやっぱり違うんだよ、きっと」


 そう言いながら、前脚の根元に手をかけてタロを抱き上げるが、だらんと体を伸ばすと、もう胸の辺りを超えるくらいの高さになっている。まだ半年を過ぎたくらいなのに、狼の成長は早いなと感慨深いものを感じる。顔が近付いて嬉しいのか、盛んに首を伸ばして舐めてこようとするので、逆に顔を横顔に擦り付けてみる。


『ふぉぉ、あひゃひゃひゃなのー!!』


『せんぼう!! たいきちゅう!! たいきちゅう!!』


 タロがひゃうひゃうと嬉しそうに鳴くと、ヒメが短くウォフウォフと短く鳴いて、羨ましそうに足元にまとわりつく。タロを下ろしてヒメの顔にぐりぐりと擦り付けると、嬉しそうにしっぽを振るわせる。


「さて、お風呂はお客さんからと言う事で、子供達からで良いかな?」


「うん。ロット達も一緒に入って手伝ってもらったら良いよ」


 リズの同意を得られたので、侍女に伝えてもらう事にする。現在応接間で待っている子供達の部屋の準備もその間に出来るだろう。そう思っていると、足元に二匹が寄ってくる。どうしたのかなと思ってしゃがむと、領主館の中庭の確認がしたいようだ。テリトリーの確認は本能なので、良いかなと。


「後でお風呂だよ」


 と伝えると、がーんという感じで固まって、くるくると鳴きながら悩んだと思うと、ぴゅーっと部屋から出ていった。急いで確認をしてくるらしい。


「突然の旅だったけど、これで終わりかな……」


 タロ達が出ていった後に、侍女が持ってきてくれたお茶を飲みながら、リズがそっと呟く。


「手紙一枚で、こんな事態になるとは想像も出来なかったよ。子供なんて増えちゃったしね」


 おどけて言うと、リズの口元が笑みの形に変わる。


「うん。助けられて良かったね。知らなかったら、知らないままだったんだ……」


「知らなければ無かったと同じかもしれないけど、知ってしまったなら最善は尽くしたいね」


 自分の家に帰ってきた安心感を感じながら和やかなお茶を楽しむ。ただ、机の上に置かれている書類の束はなるべく視界に入れないようにしている。執務室だけじゃなく、自室の机の上まで出張してきていると言う事は、とんでもない量になっているはずだ。カビアを残さないと仕事が回らないなと、領外との外交が出来るだけの人材はいないものかなと思いながら、明日以降の仕事に少しだけげんなりした。

 子供達と男性陣のお風呂が終わると、女性陣のお風呂となって、私達の番になる。そろそろフィア達が上がる頃かなと思っていたら、喜色満面のタロとヒメがてくてくと戻ってくる。


『たくさんみつけたの!!』


『ばんじじゅんちょう!! しんきはっけん!!』


 もう夏も佳境に入って、秋へと向かおうかとしている。もう少ししたら収穫の時期だし、植物もこの旅の間で大分変っただろう。タロとヒメが代わる代わる報告してくる発見に耳を傾けながら、侍女の声に従い、お風呂タイムとなる。ぷかぷかとタライに浮きながら、現状報告をする狼とか可愛いなと思いながら上がった後にお湯を補充しておく。さて、子供達もお待ちかねの食事の時間かな。

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