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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第三章 異世界で子爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第703話 二度目の盗賊の襲来

 どこまでも続く曇天の中を走り続ける。


「どこまでも分厚い雲ね……」


 ティアナが開口部から空を眺めて、ふと告げる。降り出したら、雨宿りかな。これだけ大規模な雨雲だと、過ぎるまで結構時間を取られそうな気がする。嫌だなと思っていると、ロッサが口を開く。


「頭が重くないので、まだまだ降り出すまでに時間はかかりそうだと思います」


 聞くと、長年平地で暮らしていたターシャの特徴というか、連綿とした教えみたいなもので、ちょっとした気圧の変化を感じやすくなっているようだ。気圧が下がると、頭が重くなるのかな。


「最悪、建物を建ててでも雨宿りかな……。この辺りは管轄が微妙な場所だから、後でノーウェ様に伝えておけば大丈夫かな」


 王都周辺の開発権に関しては王家が握っているのだが、そこから外れると、途端に管轄が曖昧になる。将来の拡張を考慮して広い地域を用意しておきたい歴代の王家と現実に警察権を行使出来る範囲はイコールにはならない。その辺りの曖昧な地帯を隣領のノーウェがフォローしている形になっている。それでもかなり広い地域になるので、完全に目を光らせるのは難しい。なので、王都から離れた辺りが逆に盗賊に狙われやすいという状況になっている。これはノーウェに限らず東西南北関係なく、周辺所領の問題にもなっている。例えばトルカから『リザティア』間であれば、うちとノーウェの警邏が走り続けているので、これまで盗賊騒ぎが発生した事は無い。発見出来なかったと言う訳ではなく、計画の段階で全て潰しているからだ。

 そんな事を考えていると、馬車が緩やかに速度を落とす。休憩時間のようだ。馬車が停まると、すぐに降りて樽を下ろして、水を生む。馬車から外された馬達が仲良く集まって、順番に水を飲み始める。


「平地で襲来というのは無いか。出るとしたら、ノーウェ領の手前の林を切り開いた辺りからかな」


 誰とはなく聞いてみると、ロットとティアナ、チャットが頷く。


「待ち伏せるのであれば、そちらの方が便利でしょう」


 ロットの言葉にはぁと心の中でため息が漏れる。盗賊そのものに脅威は感じないが、雨に降られる方が嫌だ。そう考えると盗賊も可哀そうになってくる。


「テスラと一緒にロッサに御者席に座ってもらって、先を見てもらう形にしようか。どちらにしても車止めを用意して、足を止めてからの襲撃だと思うから」


 先に帰ったノーウェを心配していないのは、護衛の騎士団が先行して障害を平らげてしまうからだ。そう考えると、騎士団の人に付いてきてもらった方が良いのは分かるのだが、あんまり馬を増やすとコストが一気に跳ね上がってしまう。この辺りの貧乏性が問題だなと思う。まぁ、馬車二台だけの貴族なんて狙い目かな。


「もし盗賊に絡まれるなら、ノーウェ様に恩を売ると言う事で。対応より、余程雨の方が厄介だから。面倒くさそうなら、私が出るよ」


 そんな事を話しながら休憩時間が終わる。まだまだ誰かを殺す事には慣れない。それでも盗賊行為は明確な罪だ。捕らえる事には躊躇する気は無くなった。精々お祭り騒ぎの機会をノーウェにプレゼント出来ればなと思う。


「ブリューさんに偵察をお願いする事は出来るか?」


 乗り込んで走り出した馬車の中、ドルが口を開く。


「上からですと、林の中に紛れてしまうと発見は難しいです。道に異物が落ちているかは確認出来ますが、その程度ですね」


 確かに攻撃用ヘリでも森や林に紛れた人間は視認し辛い。それに道の異物に関してはロッサの目があれば確認可能だ。


「この状況だと、わざわざ出す程でも無いかな。侮る気は無いけど、このメンバーで困る状況が想像も出来ないし」


 別に舐めている訳では無いのだが、完全武装状態で待機しているこのメンバーがいれば、二、三倍の戦力でも何の不安も無い。

 皆の苦笑を眺めながら、次の休憩で昼ご飯を取り、遂に林を切り開いた道に差し掛かる。さてさて、本当に襲ってくるのかな。そんな事を考えながら暫く走ると、馬車が緩やかに速度を落とす。


「リーダー、障害物です」


 ロッサの声が馬車内に響く。本気で襲いに来るとは……。さてさて、『リザティア』の下見に出た時を微妙に思い出しながら、若干の憂鬱を噛み殺し、皆に指示を出す。


「総員、戦闘準備。ロット、ティアナ、ロッサ。敵の配置の確認を急いで。基本は生け捕りで。無理なら……」


 犯罪者の命と仲間の健康を天秤にかける。片側の重さが軽くなってしまったのは、首つりを指示した時からなのかな……。


「殲滅する。出来れば、制圧する事を希望する」


 良いさ。仲間達に忌避が無いなら、考えなくても良い。この鉛のような胃の重さは私が私で支えれば良いだけなのだから。

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