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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第三章 異世界で子爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第696話 唐突な新婚旅行

 屋敷に戻ると、リズ達も起きていて朝食となった。


「起きたらいなかったから驚いたよ」


 リズの言葉に笑顔で返す。


「ペールメントが散歩に行こうって誘ってくれたから」


「珍しいね。ヒロが積極的に散歩に行くなんて」


「少しだけ考えたい事もあったから」


 そんな会話をしていると、ノーウェが侍従から何かを囁かれる。


「ん。丁度良かった、先触れが入ったようだね。昼には後四人が王都に入るよ。これで過半数を超える。少し遅くなるけど、夕方には開会出来そうだよ」


「ぎりぎり過半数ですか? 離反者が出た場合は二度手間ではないですか?」


「根回しには父上と一緒に走るよ。開明派は事情が分かっているから問題は無い。他派閥も法衣貴族の席が空くのは利権だからね。態々足を引っ張らなくても、自分に痛くも無い会議で肯定さえしていれば良いんだから」


 んー。上手くいきそうな時こそ、盤面をひっくり返すのがセオリーだろうなと。


「ただただ嫌がらせの為だけに反対する人間に心当たりなどは無いですか?」


 私が聞くと、ノーウェがロスティーと顔を見合わせる。


「ふむ……。為政者とは究極の利権管理者故な……。そこまで短慮の者がおるとは思いたくはないが……」


「根回しの際に、明確な利益を付与するのと、離反した場合の報復を明示する必要があるかもしれませんね。綺麗事で済ませられないなら、覚悟を見せるべきかと思います」


「移動費用はうちが持ったけど、その上で利益かい。譲り過ぎじゃないかい?」


 ノーウェの言葉に私は首を振る。


「現状、国王陛下の王命の価値を瑕疵するか否かの話です。これにより影響を受けるのは現王家に近く、影響力が大きい派閥です。となると、開明派、ロスティー様に影響を及ぼす事が出来る好機かと考えます」


「それを狙う人間がいるかも……か。分かった。ふふ、昔は父上が応と言えば動いていたのに、自身で動くとなると考える事が増えるよね」


 ノーウェの言葉にロスティーが苦笑を浮かべる。


「儂も根回しはしておったぞ。苦労など人に見せる物では無いし、そんな趣味も無い」


 その言葉に、私とノーウェも曖昧な笑顔を浮かべる。


「派閥の移動も含めて、利益供与の内容は考えるよ。父上が後十年というならば、組織の維持は問題ないだろうしね」


 開明派がぎりぎり過半数を割る議席から過半数を貪欲に超えようと画策を始めたと言う事か。ロスティーが剛腕を振るえる限りは組織の腐敗を考える必要はない。また十年後にゆっくりと軟着陸を考えれば良いと言う事だろう。


「では、夕刻を目途に」


 ノーウェとロスティーが席を立ち、指示を飛ばしながら部屋に戻る。


「さて、私達はお昼ご飯辺りまでは暇っぽいね。何かしたい事とかある?」


 仲間達に聞いてみたが、特に意見はない。前回の訪問で買い物は『リザティア』の方が楽しいのは分かっているし、ドルの鉄材に関しても町として仕入れているので困らなくなっている。


「私は待機しておくから、観光でも行ってくる? 折角結婚したのに、ゆっくりも出来ていないだろうし」


 そう水を向けると、ロットとティアナが観光名所を上げ始めてフィアが食いついたので、観光となったようだ。リズに関してはペルティアとの約束があるのと護衛役として私と一緒に残る。テスラもいるので戦力に関して大きな不安は無い。大軍なら私が、暗殺ならテスラが発見してくれる。


「じゃあ、解散」


 私とリズが部屋に戻ると、タロとヒメも丸々と太った鶏を二匹で分け合いながら食べている。


『ふぉぉ、うまー!!』


『おおもの!!』


 その姿をもう食事を終えたのか、ペールメントが優しい瞳で見守っている。


「さて、私は少し議会に関して考えるよ。悪辣な事を考える人もいるかもしれないしね」


「ん。無理はしないでね。じゃあ、ちょっと行ってくるよ」


 リズがにこりと微笑むと、ペルティアの部屋に向かう。さてさて、想定問答でも作っておきますか。使わないで済むなら良いんだけどね。

 そんな事を考えながら、頭の中で保守派の動きを考える。定例会でも自爆気味な話は有った。ただの嫌がらせだけに全力を突っ込んでくるんだから派閥は面倒くさい。失点は国の損になるのに、敵対派閥の損失は自派閥の利益と思い込んでいる人間が多すぎる。出来れば、提案に関して対案を出してくれるくらい頑張って欲しい物だけど……。

 ご飯を食べ終わったタロとヒメがペールメントとじゃれ合うのを横目に方針と想定される横槍、その対応を書き上げていく。

 ふわりと昼食の香りが集中を崩したのに気づき、腕時計を見るともうお昼だった。タロとヒメもじゃれ合うのに飽きたのかペールメントと一緒にどこかにいってしまっている。ふぅと溜息を吐き、首をぐるりと回す。地味な作業だけど、結局何かをする時は地味な作業の積み重ねだよなと思いながら、紙束を立ててトントンと揃える。

 お昼に向かうと、仲間達も帰ってきたようでがやがやと声が近付いてくる。さてさて、食事が終われば本番か。頑張るかな。

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