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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第三章 異世界で子爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第692話 久々の顔ぶれ

単行本の第二巻の発売が決まりました。

発売日は三月三十一日となります。

今回は書下ろしで、タロの前日譚も載せています。

どうぞよろしくお願い致します。

「ご無沙汰しております」


 私が頭を下げると、リズ始め仲間の皆が一礼する。アーシーネとブリューも世話になると言う事で、こくりと頭を下げているが、目ざとくペルティアが見つける。


「あらあら、初めてのお嬢さんね。と言う事は、あなた達が竜様なのね。あら、可愛らしい」


 そう告げながらペルティアが二人を抱きしめると、ブリューは少し恥ずかしそうに、アーシーネは上機嫌で抱っこされる。


「だえ?」


「アキヒロさんのお婆さんですよ」


 抱き上げられたアーシーネが抱き上げられた高さでくてんと首を傾げると、ペルティアが嬉しそうに答える。


「おばあたん……。ばーば!!」


 アーシーネがぎゅっと抱きしめると、嬉しそうにペルティアが微笑む。


「ふふ。女の子がいなかったから、本当に嬉しいわ。ねぇ、アキヒロさん、お世話をしても良いかしら?」


「はい。是非に。中々礼儀作法を教えるのも難しいので、ご教授頂ければ幸いです。リズもご一緒する?」


 皆の背後で一歩下がって控えているラディアを見つけたので、リズと話でもしてもらえればと思い促してみると、こくりと頷きが返る。奥様方が部屋を出ると、入れ替わりに護衛の騎士が入ってくるので、フィア達に守備計画を共有してもらうため一緒に出てもらう。最後にかつかつと爪音を鳴らして近付いてくる懐かしい顔。


『ふぉぉ!! おぼえているの!!』


『ひさびさ!!』


 二匹がしぱたんしぱたんとしっぽを振るので、許可を出すとててーっと向かう。向かった先にはペールメントがいたが、タロがいきなりお尻に回り込んで匂いを嗅ごうとして甘噛みされてきゃいんと言っている。


『おひさしぶりね。このこたち、ちょっとあまやかしすぎよ。きたえなおすわ』


 ウォフッと短く挨拶を告げてくると、二匹を連れて部屋の外に出ていく。二匹とも上機嫌なので、一安心かなと。


「で、現状はどうなっていますか?」


 最終的にカビアと二人残されたので、聞いてみると、立ったままもなんなのでと言う事で、応接室に誘導される。


「員数はもう少しで定数に届くかな。過半数までは後四、五家が到着すれば審議は可能だよ。審議と言っても、架空の罪に関してだけどね」


 ノーウェがソファーに座ってお茶が出た途端、現状を説明してくれる。罪というのは、官僚側に押し付けるという例のあれか。


「予定では十五日には集まるような話をされていたのですが、少し遅れていますか?」


「目安故にな。時期の悪さもある。戻って内政に本腰を入れようかという時に再度の呼び出し故、動けぬ者も多くはおるな。北部の子らも端の者は動けぬと申し出てきおった」


 ロスティーが嘆息しながら告げる。ふむぅ、開明派とはいえ、流石に無茶ばかりは言えないか。折角七月の定例会が終わってやっとの思いで領地に戻って開拓、開発がこれからという時に無茶なスケジュールで多額のお金を払ってまで王都に逆戻りが物理的に不可能という貴族もいるだろう。こちらが最終的に立て替えると言っても、現在の時点で手元不如意な貴族もいるはずだ。


「過半数の賛同ですよね……。集合する貴族は過半数に到達するのか。その過半数で意識の統一は出来そうなのかは気になります」


 私が聞くと、ノーウェが若干難しそうな顔をしながら曖昧に首を縦に振る。


「保守派も他の派閥も一枚岩と言う訳ではないからね。総論では派閥に従っても、各論で反対というのは良くある話だ。今回の件は官僚の過失を攻めて、席を空けるというのが周囲からの見え方だからね。積極的ではないにせよ、賛同は得られている」


 ポストが空けば、そこにねじ込めるかもと言う訳か。在地ではない法衣貴族に関しては、比較的保守派も多い。責任上のトップは握られているが、現場の上位を手に入れられれば、何らかのおこぼれがあるかもと考えるのが政治家なのだろう。


「ちらつかせたんですか?」


「いや。後任は順に繰り上がりであろう。受け取る側が何を考えようとも、言質はない故にこちらが何かをする必要はないな」


 ロスティーがしれっと言うが、言外にはポストをちらつかせて意見をまとめているであろう姿が容易に想像出来る。


「では?」


「明日にでも来る家を取り込めば、過半数は得られる。そうなれば臨時会議だな明後日には解決出来ればと考えておるが……」


 うーん、若干歯切れが悪い。ロスティー達には貴族の取りまとめを依頼したはずだ。と言う事は……。


「国王陛下のご様子はいかがでしょうか?」


 そう告げた途端、二人の顔が曇ったのが分かった。


「前王妃との和解は成った……ようだな。ただ、腹蔵(ふくぞう)なく話しが出来ているかと言うと、芳しい答えではなさそうだな……」


 ロスティーが絞り出すように答える。


「前王妃側が態度を硬化している……という事でしょうか?」


「というよりも、気鬱の旨が発せられてな。陛下もほぼ会えぬようなのだ……」


 んー……。それは面倒くさい。しかもこのタイミングで実体のない、仮病もどきを使ってくる意味が分からない。


「私も領地の問題があります。現状やっと領軍を整えた程度の駆け出しです。出来れば後顧の憂いは断ちたいのですが……。前王妃がそこまで抵抗が出来る後ろ盾というのは何なのでしょう……」


 そう問うと、二人が顔を見合わせて、そっと息を吐いた。

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