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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第三章 異世界で子爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第670話 ノーウェティスカに到着しました

「ヒロ、急ぎの案件が発生したって言われたけど、どうしたの?」


 リズが部屋に駆けこんでくるなり、口を開く。ふむ、説明し辛い。こちらも状況を完全に理解している訳ではないし。


「詳しくはこれから調べる話しになるけど、七月に行った定例議会の議事の一部に知らない内容が混じっている。その真意を探りたいのと、出来ればこの項目を無効にしたい。私が払うのはまだ許せるにせよ、このままだと王国の未来に影響が出ちゃう」


 議事の書かれた書類をリズに見せて、何が問題かを説明する。暫くは影響がどう及ぶのかが分からないようだったが、具体例を挙げていくと納得してくれた。


「うわぁ……。でも王国法だと議会で決まった事しか法律に出来ないんだよね? そんな事を書いてあったよ?」


 リズも王国法を読み進めてあっただけあって、ある程度は飲み込んでいる。


「うん。ただ、色々と逃げ道はあるんだ。ただ、それは緊急時にどうしようもない事を処理するためであって、こんな事に使うものじゃないよ」


 そう言って、荷物の口を縛る。二人の服と下着や他こまごまとした物をまとめたナップザックを二人で背負う。ノックの音が響き、侍女に連れられたブリュー達が部屋に入ってくる。


「火急の用事と聞きました」


 ブリューが何が起きたのだろうという顔で、聞いてくる。


「少し、王都の方で問題が発生しました。出来れば、私達とは別に二組を乗せて飛んでもらいたいと考えています。友誼で支えられた関係と考えれば図々しいお願いだとは思いますが、緊急です。ご協力お願い出来ませんか?」


「ふふ、毎日ご飯を頂いているんです。無駄飯食らいは人間の世界では悪でしょう。『フィア』まで飛ぶのも荷物を運ぶのも労力ではありません。存分に使って下さい」


 ブリューの言葉に、二人の少女が後ろで頷く。話が早くて助かる。


「じゃあ、これからノーウェティスカを経由して、ロスティスカ、王都に向かう。出来れば本日中に片付けたいけど、無理なら向こうで宿泊する。後の権限は一旦カビアに預けている。タロとヒメに関しては、アストさんとティーシアさんに任せて。もし問題が発生したなら、竜の方に伝えて欲しい」


 侍女に伝えると、力強い頷きが返る。


「じゃあ、行こうか。鞍をさっさと作っておいて良かったよ」


 元々、二、三人乗りを想定しているので、二人乗りの鞍で試作、生産を先行した。これが役立つとは思ってもみなかった。いや、こんな事もあろうかとは備えの基本か。そんな事を考えながら、中庭でリズと一緒に鞍をブリュー達三人に装着する。一人で装着するのは無理だけど、二人ならなんとかなる。竜の疲労度を考えると、逆に二人乗りを前提にしちゃった方が良いのかなと思いながら、先に鞍に跨り、リズを引き上げる。


「じゃあ、カビア、後はよろしく。レイは軍の把握を。こちらの動きを狙って何かされるのも嫌だから、周辺警備は厚めに。命令権を一旦カビアとレイに委譲しているから、ロットは全軍の指揮官として皆をまとめて」


 そう伝えると、見送りの皆がにこりと微笑み、手を振ってくれる。


「いってらっしゃいませ、リーダー。ご武運を!!」


 ロットの言葉に押されるように、ブリューが飛び立ち、後の二人も付いてくる。さて、ノーウェティスカまでは四百キロ弱だけど、林に沿って道を作っているので、飛ぶならもう少し時間は短縮出来るはず。三十分弱ってところかな。

 ふわと優しく浮いた後は、緩やかに上昇していく。後ろのリズは感嘆の声を上げながら、嬉しそうに下を覗いているだろう事が、腰に回された腕の動きで伝わる。


「補助ベルトがあるから落ちないけど、あんまり下ばかりみていると、ぶら下がる羽目になるよ」


 後ろを向いて伝えると、興奮した笑みが窺える。


「うわー、ヒロ、ヒロ!! 飛んでる、空飛んでる。凄い、奇麗、うわー、もう町が小さいー。ヒロに乗せて飛んでもらった時も思ったけど、楽しい!!」


 思った以上にご機嫌で良かった。高所恐怖症だったら困った事になっていた。十五分も経てばトルカ村が見えてくる。リズは自分の生まれ育った町を上から見るという経験に思った以上に興奮したのか、ずっとゆらゆらと引っ張られて、別の意味で酔いそうになった。そのまま林を抜けて、ノーウェティスカが見えてくる。


「ノーウェ伯爵閣下には、竜の存在を自領に広める旨、確約をもらっています。そのまま町の近くに降りてもらえますか」


 ブリューに伝えると、こくっと首が動き、ゆったりと着陸に入る。ノーウェティスカの東門の上空で大きな螺旋を描き、ゆっくりと着陸に入る。ふわっと、着陸したすぐそばにはノーウェティスカの衛兵が馬に乗って急行してきてくれていた。


「アキヒロ子爵です。危急の用により、ノーウェ伯爵閣下にお目通り願いたい」


 礼服と紋章を確認した兵が、すぐさま馬首を翻し、走り出す。ブリュー達には少し待ってもらって、このまま衛兵と一緒にノーウェティスカに向かう。話さえ終われば、そのままロスティスカ行きかな。道の説明はノーウェにお願いする事にしよう。そう思いながら、東門を潜った。

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