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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第三章 異世界で子爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第668話 定期連絡としての運用

 帰りに関しても時計を見ていると、殆ど時間は変わらなかった。大体三百から四百キロ程度を三十分。これなら領内だけではなく、王国全体を対象に飛び回る事も視野に入れる事は出来るのかな。向かう前に竜が来ると先触れを出すか、私が竜と友誼があると通知しておかないと大騒ぎになりそうだけど。出来れば、ヘリポートみたいに町の近くに着陸する場所も欲しいかな……。プライベートドラゴンか。どこかの事業家みたいだなと

 『リザティア』に到着すると、ブリューが人間に変身する。鞍は竜の体が有った場所にぽてりと転がっている。


「鞍も変身する時の衣服と同じようにイメージを取り込む事は出来ないのかな?」


「竜の体は、原型になりますので、何かを付随させる事は出来ません。各変身の元になるものなので、何も着用しない方が望ましいです」


 ブリューと一緒に鞍を抱えて、領主館に戻りながら質問すると、ブリューが答えてくれる。


「あー、竜の姿に何かを足しちゃうと、他に変身した時に影響が出ちゃうと言う事かな」


「はい、そのような認識で問題ありません。原型ははっきりイメージ出来ないと戻れなくなりますので。身を変化させているので、あるがままを認識するのはとても重要です」


 そんな会話をしながら、蔵に鞍を仕舞う。問題なさそうなので、製造を進めてもらおう。竜の体の大きさはそれほどの差は無いし、ベルトである程度は調整出来る。このままでも問題無いだろう。後は、伝令や斥候の人に試してもらって、高所恐怖症の人以外で習熟していってもらおう。後、居眠り運転は厳禁かな。

 予想よりもかなり早かったので、部屋に戻っても誰もいなかった。ブリューは他の竜と一緒に『リザティア』学習に混じるらしい。私は執務室でカビアと一緒にお仕事かな。決裁書類は決裁日の記載があるので決裁出来ないけど、手前までは処理してしまおうと書類をめくっていく。


「竜の方はどうでした?」


 暫く書類を処理していると、カビアが口を開く。


「ん、驚いた。三十分で『フィア』まで着いた」


 こちらも書類に集中しながらなので、おざなりな返事になる。


「そうですかぁ。三十分ですか。速いですね……」


 カビアがサインした書類を持ってきて、椅子に戻ろうとした瞬間、こちらを振り向き叫ぶ。


「え!? 三十分ですか?」


「うお、びっくりした。うん、三十分」


 どうもお互いに書類に集中していたので、会話が疎かになっていた。


「そもそもの情報伝達の速度が変わってしまいますね……」


 処理していた書類を脇に寄せて、カビアがソファーに座る。ちゃっかりとティアナもその横に座っている。


「リーダーがこの時間に戻ってきた時点でおかしいと思いなさいよ。泊りになるかと思っていたわ」


 ティアナが眉根に皺を寄せながら、しょうがないなぁみたいな表情でカビアに告げる。


「ごめん、集中してて、気付かなかった。乗り心地はどうでした? 馬車や馬なら速度が速くなると、乗り心地が悪くなると思うのですが」


「それは大丈夫。風魔術で覆ってくれるから、全然影響は無かったよ。逆に居眠りして落っこちそうなのが怖かった。温かいと眠たくなるよね……」


 そう言うと、二人が呆れたような表情を浮かべる。


「で、竜達はどうやって運用するつもりなのかしら?」


 ティアナが核心をずばっと聞いてくる。


「んー。伝令と同じくと言えれば良いんだけどね……。『リザティア』と『フィア』間以外で使うのは難しいかな……。トルカ、ノーウェティスカに関してはノーウェ様にお願いしているからその内許可は下りるだろうけど、まだ情報として開示出来る話じゃないよ」


「あまりに大きな力……だからかしら」


「うん。まだ隠すべきだと思う。影響が大きすぎるのと、どこに波及するか分からない。少しずつ人の口に登ってばれるくらいで丁度良いよ。現場を見れば隠しようも無いしね」


 そう答えると、ティアナは納得したようだ。


「しかし、こちらで主導権を握れないのは残念ですね。定期連絡に少し助力をしてもらう程度にしますか。伝令費用もそれなりにかかりますし」


「あの巨体だから隠しようはないよ。定期連絡は良いね。気分転換にもなるし、ブリューも海を見るのは楽しそうだったよ」


 そんな感じで、『フィア』の状況も説明しながら、次回の『フィア』訪問に関しても調整を進める。

 仕事が一段落付いた辺りで部屋に戻ると、リズもアーシーネも帰って来ていた。


「あ、ヒロ。戻ったんだ? 早いね」


 リズが、アーシーネとタロ、ヒメにおしくらまんじゅうされながら、口を開く。


「うん、思った以上に早かった。竜さんは速いね」


 アーシーネの頭を撫でながら言うと、嬉しそうに手を上げる。


「あいっ!!」


 一緒に遊ぼうかと思ってしゃがむと、頻りにタロとヒメが匂いを嗅いできて、くっついてくる。なんだか嬉しそうなので、何故かなと聞いてみると、虎さんの匂いがするので、海の事とかを思い出しているようだ。


『おおきいの!! たのしいの!! うまー!!』


『およぎたい!!』


 ふむ。今度は二匹も連れて行こうと思いながら、夕飯、就寝となる。事件は少し後、八月七日に起こった。

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