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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第三章 異世界で子爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?

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第663話 ダンジョンアタック 報酬の山分け

 七月二十七日の朝もアラームの音で目が覚める。朝ご飯の準備をしていると皆も匂いに釣られて起きてくる。そこまで長い時間では無かったけど、これでここで食べる料理も最後かと思うと感慨深い。


「これからは、神の試練の探索に力を入れるんですか?」


 ロットが聞いてくるが首を横に振る。


「そこまで力は入れないかな。旅慣れたエルフの人に吟遊詩人として『リザティア』の名声を広めてもらいながら、各地を回って探してもらう程度だと思うよ……」


「使うにせよ、売るにせよ、影響は大きいんじゃなくて?」


 ティアナが言うが、私はうーんと首を傾げる。


「使うったって、一番年上の私でも三十五歳だし、皆、十六とかだよ? まだ使う必要なんてすぐには感じないし。領地経営に本気を出した方が継続的な利益は上がるから、そんなに神の試練に魅力は感じないかな。訓練としては、高水準だから初回の神の試練は受けたい気がするけど」


 そう答えると、皆の苦笑が返ってくる。


「超納得。でも、育成の神様の祝福ってどうなるんだろう……?」


「あぁ、『祈祷』で教えてもらった。今後、技術の習熟に補正がかかるって。これは、神の試練を受けるたびに累積するらしいよ」


 流石に直接会ったとは言えない。


「そう言われると、回りたい気はしてくるな……」


 ドルがたしたしと左手で右腕を叩きながら言う。


「どちらかと言うと、皆の実力も結構な高水準だろうしね。もう五等級並みにはなっていると思うよ。蛇の化身とか、資料で見た事なかったし、あの実力なら、六等級の三十六人とかの相手でしょ。クロスボウが無ければ、地道に体力を削るしか無い訳だし」


 私も苦笑して告げる。出来上がったスープを皆のカップに分けて、携帯食を齧りながら、スープを啜る。寒さに慣れてしまった体に温かいスープが染み渡る。中途半端にコーヒーを飲んだせいか、コーヒーが飲みたいなと思うのはやはり中毒なのだろうか。

 食後の休憩の際にそっとリナに近づいて耳打ちする。


「やっぱり神術から『祈祷』に成長するって。もうそろそろ正体を皆に明かしても良いんじゃないかな。ロスティー様の好意だし、皆もロスティー様を分かっている訳だし」


「そうですね、心苦しい部分はありますから。機会を見て、話してみます」


 その答えに安心して、撤収の準備を始める。どうも神の試練に関しては、ダンジョンを出るとリセットされて一から攻略になるらしい。その際にダンジョンの構造そのものが刷新されるので、大量に作った槍も汚物などもそのままにしておいて問題無いとの事だ。


「んじゃ、帰ろうか」


 私の言葉に、皆が頷き、ダンジョンを後にする。元々の洞窟に出た瞬間、鼻が曲がりそうになったが、さっさと抜けて、外の空気を洗い流すかのように吸い込む。こうして初めてのダンジョン攻略は無事に完了した。ただ、森を出ると馬車があって、テスラが野宿していた事に関してはどうしようかなと思った。どうも四日目までは様子を見て、それから戻るつもりだったらしい。なんだかグダグダになりつつも領主館に戻る。ただ、ちょっとの期間隠れていたい身としては、まだダンジョンにいるという形で噂を流してもらっている。この間に変な動きがあれば、迅速に対応出来るだろう。

 お昼ご飯の後、皆を集める。


「ダンジョン攻略参加の報酬に関して、話をしたいんだけど」


 そう告げると、チャットとリナがちょっとびくっとなる。ペンと盾か。


「んと、給与制の利点と欠点は初めに話した通り。どんなに功績を残しても、残さなくても、一定額を支払うという話」


 そう続けると、ますます絶望的な顔になる二人。


「ただ、それだけだと、頑張って仕事をする意欲を保つのは難しいよね。なので、今回は別に賞与を考えます。んと、皆もそろそろ部屋で暮らすのも色々不便だと思うので、五稜郭の中に離れを作ろうと考えます。これはアストさんやティーシアさんも同じ。要は直臣かつ親族と同じ待遇を皆に提示すると言う事です」


 そう言うと、皆が嬉しそうな少しだけ寂しそうな顔をする。


「ただ、食事とかお風呂とかは今まで通り一緒で良いんじゃないかなと。作りたい、練習したいという時は言ってくれれば対応します。で、ロットとフィア、ティアナとカビア、ドルとロッサは同じ家で住んで下さい。家具の製造もこちらで行います。それとは別に、チャットとリナ」


 その瞬間、再度びくりとなる二人。


「チャットは研究を進めてもらわないと駄目だし、事務作業が多いのでアーティファクトのペンを渡します。リナは特性上、あの盾を使えるのはリナだけなので、渡します。ただ、今後同じように神の試練などでアーティファクトが出た際にはそれぞれ向いた人に振り分けます。まぁ、ペンに関しては、カビアに渡したい気もするけどね」


 そう言うと、チャットが涙目でぶるぶると首を振るので、皆が笑う。


「契約書関係も含めて、あのペンを使われると面倒くさいしね。消す方の効果は書き損じだけにして下さい。後、チャットとリナは一緒の家に住んでもらうつもりだけど問題無いかな?」 


 そう告げると、チャットとリナが顔を見合わせ、こくりと頷く。


「じゃあ、報酬の山分けは以上と言う事で。若返りのアーティファクトに関しては、レイに一つ。後はノーウェ様と相談だけど、ロスティー様夫妻に使ってもらうのがワラニカ王国の今後を考えると妥当かなと考える。後十年、この呑気な状況が確実に伸びるならそちらの方が儲けが大きいしね」


 その言葉に、皆も同意の表情を浮かべる。


「んじゃ、今後の事は調整するけど、一旦はダンジョン攻略お疲れ様と言う事で。今晩はご馳走にしようか」


 私がにこりと微笑みそう告げると、談話室は喜びに沸き上がった。

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