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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第三章 異世界で子爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第661話 ダンジョンアタック アーティファクトの価値

 ぺたりとチャットがその場にへたり込む。


「大丈夫? どうしたの?」


 聞くと、がくがくと震えながら、顔を上げる。


「神様に直接質問をするやなんて失礼な事をしたなぁと、今になって認識して、震えが止まらん感じです……」


 その言葉を聞いた瞬間、失礼とは思ったが噴き出しそうだった。


「それは問題無いよ。ベィリオーズ様が質問しても良いって言ってたしね。あのタイミングで質問出来るのはチャットぐらいだよ。ねぇ、皆」


 そう言うと、皆が微笑ましそうに頷く。


「やけど、二種類のダンジョンですか……。私達が訪れていたのは既存の設備のダンジョンなんでしょうね。ここが神の試練ゆう事ですかね」


 差し伸べた手を握り立ち上がりながら、チャットが質問してくる。


「うん。あの扉はきっと『祈祷』がある程度以上に高くないと発見出来ないって言うのが確定したと思う。私の推論を聞きたい?」


 そう聞いてみると、こくりと頷きが返る。


「きっと神術を行使し続けると、『祈祷』に発展するんだと思う。神術ってディシア様に傷の治癒をお願いする事でしょ? 神様との語らいの経験が上がっていくと慣れて、他の神様とも話しやすくなる。これが『祈祷』だと思う。エルフは長く生きるから、そういう機会も多いと思うし、心当たりはない?」


「そうですね。そない言われたら、薬師もおらんので、神術を使う人間は多いです。長年神術を使っていると『祈祷』を得て、神様とお話をするゆう話なんでしょうね。そうやって話が出来る人間も多かったです。あぁ、それでエルフがこのダンジョンを見つけたと?」


「うん。その推論は正しいと思う。実際に今まで『祈祷』を使える人は神術も使えていたからね。ベィリオーズ様は各地に試練のダンジョンを用意したと言っていたし、それをエルフに探してもらうのもありかな」


「あぁ、それはええと思います。それで、若返りのアーティファクトを三つ渡されたように見えましたが……」


 チャットに言われて、思い出した。手に鎖で引っかけているアーティファクトをチャットに渡す。


「どれどれ……って、リーダー、これって!?」


 チャットの顔が驚愕の色に変わる。


「ん? 何か問題があった?」


「いや、これ、十年物ですよ……。初めてみました。噂では聞いた事はありますが……」


 その言葉に、皆も驚きの声を上げる。私は良く分からないので、くてんと首を傾げるとティアナが前に出る。


「ダンジョンと神の試練に分けるわね。ダンジョンで産出する若返りのアーティファクトは一年や二年が主になるわね。難度が高いダンジョンで五年が出たという話は聞いた事があるけど、十年なんて聞いた事が無いわ。ただ、物凄く稀に十年物のアーティファクトがオークションに出る事はあるの。ただ、とんでもない金額で落札されるのが普通ね」


 そこまで聞いた時に、少し疑問を感じる。別に十年物も一年物十個も結果は一緒だ。何故値段が変わるのか?


「一月ほどをかけて、徐々に若返るの。一年物を十二個も使えば一個は無駄よ。それに戻る時にやや体調に不調が出るわ。そんなのを何度も繰り返したい人間はそうそういないわね」


「でも、ロルフは三年とかのを大量に使っているみたいだったけど……」


「それは人それぞれよ。お金の許す限りで若返る人間もいれば、もしもの時のために長い年数の物を持っていて、病気にかかる前まで戻すという使い方をする人間もいるわ」


 ふむ……。そりゃそうか。病気の症状が顕現したなら発症する前に戻って、生活習慣を改めると言う事も出来るか……。それに一月と言う事は細胞のターンオーバーに関係するのかな。脳のニューロンとかはどうしているんだろう……。


「しかし、これで、ここの神の試練も終了か。二週目は回るのか?」


 ドルが聞いてくるが、ぶんぶんと首を横に振る。


「これだけ消耗して、防具が破損しているのに、無い無い」


 そう答えると、満足そうに笑う。


「欲が無いな。まぁ、それでこそリーダーだがな」


 そうドルが言うと、皆が野営の準備を始める。時間的にはまだ早いけど、もう疲れ切っている。明日の朝戻れば良いかと言う事で、私は料理に専念する。もう、これで終わりという話だったので、土魔術で風呂を作って、順番に入る事にした。


「ふわぁぁ、さっぱりしたー。超気持ち悪かったから、格別!!」


「本当、気持ち良かった」


「やっぱり、お風呂に入らんと、なんや、べたつく気もしますしね。昔はお湯で拭うだけで済んでたはずなんやけど……」


「緊張したので、冷や汗でべたべたでしたが……。幸せです」


「そうね。でもこんな場所まで来て、お風呂に入れるなんて経験、然う然う無いわよね」


「同感で御座る。リーダーのリーダーたる所以で御座るな」


「本当に驚きました。お風呂が出来上がるなんて……」


 皆が笑いながら、風呂から上がってくる。鍋の様子を任せて、私達も入る。


「腕の調子は大丈夫? 左手だって、鍛冶には重要でしょ」


「さっきも言ったが、でたらめだ。もう痛みも無いし、下手したら折れる前より快調だな。気にするな。あの一撃を耐えられる。それを身で感じられただけでも僥倖だ」


 ドルが笑って言う。


「ロットもずっと『警戒』の方、ありがとう。助かったよ」


「いえ。戦闘の役には立ちませんので。ただ、仕様上、神の試練では別の敵は出ないようなので、他の場所では警戒する必要は無いかもしれませんね」


「んー。それは早計だと思う。場所によって仕様は変わる可能性もあるしね」


 そんな話をしながら風呂を楽しみ、ここの神の試練最後の食事を楽しむ。もう敵も出ないだろうと言う事で、皆で毛布に包まり、就寝となる。

 さて、明日はやっと『リザティア』に戻れるかな。

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