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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第3話 IT土方が森ボーイデビューかと思ったら、もっと大きな問題が発生した

 一先ず冷静になってみる。


 1.現在地は日本ではない。

 2.食料は最大限で3日分、水分は四半日分しかない。

 3.ここまで大規模な森であれば、そこそこ大型の野生動物が生息可能である。

 4.武器、防具の類はない(大振りのカッターくらいか?)。

 5.近場に居住地らしきものは目視出来ない。


「おふ。詰んでる……」


 四つん這いになりながら、現状を悲観する。


「おいおい。IT土方が森ボーイデビューとか、無理だろ。爺ちゃんなら生き残れるだろうけど」


 取り敢えず、このまま悲観していても埒が明かないので方針を決めてしまう。


「まずは、水の確保。それと食料だな。植生が日本に近いなら、食べられるものも近いはず」


 少しずつ意識を上げて、生き残る手段を考えていく。


「水源は川の生水は怖いから湧き水を探すか……。食料は罠猟で小動物と鳥類、後は魚だな」


 祖父の薫陶で小規模な罠の作成と獲物の捌き方はある程度は覚えている。


「後は本日の寝床の確保まで出来れば上出来と。今が……10時半か。まずは水源確保だな。最悪、川の水を煮沸すれば良い」


 そこまで考えていると、背後から仄かに物音が聞こえる。

 大分低い位置からの物音からするに、小動物と思われる。

 二股の杖を構え、物音が鳴る茂みをそっと開く。


「アオダイショウか?」


 二股の先でもがく蛇の長さは150cm程。ただ色が赤褐色なのでアオダイショウとは言い切れない。


「あれ?瞳孔が丸くない。でも頭の形はそうだよな」


 見覚えの有る蛇が見覚えの無い姿の為戸惑っていると、大きく口を開け牙周辺から液体を噴出してくる。


「うぉっ。毒持ちなのか。え?アオダイショウって毒無いよな」

 

 無意味に反撃を食らうのも嫌なので、工具セットから千枚通しを取り出し、脳天を突き刺す。

 ビクビクと痙攣しながら、杖に巻き付きつつも徐々に力無く垂れ下がってくる。

 完全に命が尽きたと思われた瞬間、聞き覚えの有る電子音声が頭の中に響く。


 <スキル『獲得』より告。スキル『獲得』の条件が履行されました。対象の持つスキル『隠身』0.03。該当スキルを譲渡されました。>


「えっ?」


 全く予想もしなかった状況に頭が真っ白になる。


「何これ?『獲得』?スキルの譲渡?」


 まとまらないまま、疑問を呟く。


 <スキル『識者』より告。初めまして未設定者。私は『識者』。貴方が対話を望んだ為、話しかけました。>


 また、電子音声が聞こえる。こちらはまだ、会話が可能な雰囲気を感じた。


「しきしゃさんですか?インターフェースさんが付与した、スキルと言うものですか?」


 正体が全く分からない為、丁寧な口調になってしまう。


 <その認識は是です。スキル『識者』は見識有るものと認識して下さい。スキル『識者』はインターフェースより未設定者に付与されたものです。>


 成程、識者か。でも未設定者とは何だろう。


「未設定者って何でしょうか?」


 <スキル『識者』は未設定者の個体識別をする手段が有りません。故に仮称として未設定者と呼称しています。>


 あぁ、名前が分からないから未設定者なのか。


「私の名前は前川彰浩(まえかわあきひろ)です。彰浩と呼んで下さい」


 <解。今後未設定者は呼称、彰浩と登録されます。今後ともよろしくお願い致します。>


 コミュニケーションが取れる。インターフェースさんとは大違いだ。

 で、最初の疑問に戻る。


「『獲得』からスキルを譲渡した旨、報告されたんですが、これは一体何ですか?」


 <解。彰浩はインターフェースより、3つのスキルを付与されています。その内の1つが『獲得』となります。>

 <彰浩は全ての情報及び経験を得る事を希望した為、該当スキルの付与がなされました。>

 <該当スキルの能力は、自身で経験した事象をスキルの形に消化し、その身に得る事となります。>


 そんな大した願いを希望したわけでは無かったのに、何か大層な能力が身に付いてしまっている。

 と言うか、そもそもスキルとは何なのだろうか。


「スキルとは何なのですか?また先程譲渡された『隠身』とは何なのでしょうか?」


 <解。スキルとは2種類有ります。1つ目が魂に紐づいた魂の有り方としての能力です。インターフェースより付与された3つのスキルがこれに該当します。>

 <2つ目が肉体に紐づいた技術としての能力です。これは後天的に鍛える事により発現する能力です。>

 <『隠身』とは身を隠す事を鍛える事により、他者の視覚的認識を阻害するスキルとなります。>


 思ったよりも大した能力が付与されている事に、頭を抱えそうになる。

 取り敢えず生き残らないといけない事を考えると、有り難いのだが、日本に帰った後大変そうだなと漠然と不安になる。

 と言うか、『隠身』とか便利そうだけど、使い方が分からないと宝の持ち腐れになるなと。


「『識者』さん、『隠身』の使い方とは如何すれば良いのでしょうか?」


 <解。一般的にスキルは1以上にならなければ、発露する程の効果を発揮しません。彰浩が現在有するのは0.03の為、極僅かにしか効果は顕現しません。>


 おぉぅ。先長いな。取り敢えず、無視しても良いと考えておこう。確かにアオダイショウモドキも姿が見えないと言う感じじゃなかったしな。


 さてと取り急ぎの疑問は片付いたので、本題のサバイバルを頑張って行こうか……。頑張ろう……。

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