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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第555話 デパートの感想と少しの悪巧み

 日も暮れて、そろそろ文字が見辛いなと思った辺りで、玄関の方が騒がしくなる。デパートの感想も聞きたいと思って、食事は別にしてもらうよう、侍女に頼んだ。


「じゃあ、後は頼めるかな?」


 処理すべき書類は処理し終わった。暗殺犯の背後関係の報告書も書き終えた。後は、近衛兵達の金券の利用状況の報告書だが、少し細かい内容を書いている為、もう少し手がかかる。


「はい。書き写しが主ですので、私の方で対処可能です。今晩はゆっくりとお休み下さい」


「助かる。では、よろしく」


 あぁ、優秀な部下がいると助かるなと、自分の部屋に戻る。部屋では散歩から帰って来たのかタロとヒメがグルーミングしながら、気を抜いた感じで、箱で戯れている。水は皿に少し残っているので、きちんとあげてくれたようだ。こちらに気付くと、はふはふとしっぽを振るが、軽く頭を撫でておく。リズはまだ夢の中のようなので、軽く揺すってみると、ふわりと目を覚ます。


「あ、ヒロ。おはよう……」


「おはよう、リズ。そろそろ夕ご飯の時間だよ」


「ん。かなり寝ちゃったね。ごめん」


「それだけ疲れていたんだと思うよ。ゆっくり休めたのなら、なによりだ」


 タライにお湯を生んで渡すと、リズがざっと顔や髪を清め始める。


「はぁ、さっぱりした。少し頭が重い感じがしていたけど、それもなくなった。凄く楽」


 腕を天に伸ばして、脱力したかと思うと、リズが呟く。


「やっぱり、気付かない間に疲労が溜まっていたのかと思うよ」


 肩が凝っていないかと確認にふにょふにょと肩を揉むと、くすぐったそうにリズがぴゅーっと逃げていく。


「あはは、駄目。こそばゆいよ」


 笑っているリズを見ていると、まだまだ若いので肩凝りとは無縁かなと。改めて、夕ご飯までに海の村の件は詰めておく。明日にはロスティー達は出発する。テラクスタも同道するので、近衛の一部しか残らない。赤ちゃんとお母さん方に万が一が有っても問題なので、極力早めに南に出発しないといけない。その辺り、必要な買い出し等は明日までに済ませると言う事で、話はまとまった。食料は侍従達に頼めば問題無い。後のクッション等はネスに納品してもらう算段だ。遊具関係などの一部を買いに行けばいいと言う感じかな。遊んだ分はそのまま海の村に置いていけば良い。向こうは娯楽も無いので、少し息抜きに楽しむ程度なら良いかと思う。


 リズと話し込んでいると、扉がノックされる。夕ご飯の支度が出来たようだ。私達は急いで来賓用食堂に向かう。座って、先程の話を続けていると、ロスティー達が入ってくるので、食事の開始となった。しかし、テラクスタは買い物に付き合わされたお父さんみたいな顔になっているのが面白い。ペルティアとガレディアはご機嫌なようなので、お気に召してもらえたようだ。


 ワインを楽しみ、食事を手に付けた辺りで、ペルティアに訊ねてみる。


「ペルティア様。デパートはお楽しみ頂けましたか?」


 ふわっと微笑み、ペルティアが頷く。


「きらきらと輝いて夢のようだったわ。それに綺麗だったから、少し買ってみたの」


 そう言うと、バッグから小さな珊瑚の置物と小さな指輪の入った箱を取り出す。


「この置物も海の産物なのね。淡い色が綺麗だから、家に飾ってみようと思うの。それに指輪も大きさが色々有って良かったわ。丁度合う物が有ったの。この石はリズさんが結婚式の時に着けていた石よね。綺麗だったから、この人におねだりしちゃったわ」


 取り出した指輪は銀の指輪に小ぶりの真珠が嵌まったものだった。銀の煌きを受けて、真珠の淡い輝きが虹のように輝いている。ロスティーがそっと取り、ペルティアの中指に嵌めると、うっとりと夢見る乙女のような表情になる。


「気に入って頂けたのなら幸いです」


「えぇ、とっても。海ってこんなに綺麗な物もあるのね。北の方は寒いし、厳しい感覚しかなかったわ……」


「その置物は暖かい海に生息する生き物なので、北の方ではいないかも知れませんね」


 そのままペルティアと一頻り海洋談義に花を咲かせていると、温かい料理を給仕が持ち込んでくる。


「ガレディア様はいかがでしたか?」


「私は服かしら。歓楽街でちらっと見た時もそうだったわね。この町は本当に不思議。服も全然違うわ。他国に行った時もそこまで違うと感じる事は無かったのにね。ふふ、色々と買ったけど、テラクティスカまで届けてくれると言う話だから、楽しみに待っているわ」


 話を聞くと元々近衛の出身と言う事で固い喋り方の印象だったガレディアが大輪の花を思わす微笑みで、嬉しそうに語る。テラクスタも苦笑を浮かべながらも嬉しそうにその話を聞いている。


「しかし、あのデパートと言うのは驚いた。なんでも揃える店と言う形で聞いていたが、あのような店になるとは……」


 ノーウェがしみじみと呟く。


「店舗も増えましたね。ただ、ある程度選別はしております。高品質な物を扱う店が主です。低価格な物は普通に店舗を持ってもらっていますので」


「あぁ、値段はそこそこなのに、物が良い。それに品揃えも驚くばかりだ。うちでもそんなに置いていない物が普通に売られているのには衝撃を受けたよ」


 ノーウェが笑いながら言う。


「私の領の産物も並んでいたな。それも良い品ばかりだ。余程の目利きが探し出してきたのだと、感心していた」


 テラクスタも頷く。


「はい。そこは商工会の名に恥じぬよう頑張ってもらっています」


「あぁ、フェンドリクスかぁ。出来る人だったけど、翼を得た鳥のようになっているね。大事な人間を渡したけど、ここまでの成果を発揮するとは思っていなかった。喜ばしい限りだ」


 ノーウェが称賛すると、場が温かい雰囲気に包まれる。ここからはデパートでの出来事を肴に、ゆったりと食事を楽しむ。


 食事が終わると、三者で打ち合わせをしたいと言う話なので、貴賓室に案内する。リズはペルティア達ともう少し遊びながら、話をするようだ。


 私は部屋に戻る旨を伝えて、倉庫に入り、棚を動かして隠し扉を開ける。明かりの無い中、手探りで一旦地下に潜り、階段を上る。ほのかに漏れる光を頼りに息を殺して、『隠身』を最大限発揮する。ロスティー達に『警戒』持ちはいないが、気配を気取られないと約束されている訳でもない。細心の注意を払い、そっと覗き穴から、貴賓室の状況を観察する事にした。

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