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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第520話 匂いに反応して去っていく侍女に浪漫を感じるのはダメでしょうか

 荒い息を吐きながら、ソファーに座ると、ぺちっと後頭部を叩かれる。


「もう!! 朝からべたべたになったし。これ、どうするの」


「んー。お風呂に入る?」


 そう告げると、リズがずーんと暗い顔になる。


「他の皆に見られるの、嫌だ。ちょっとずれて入るように伝えてもらっても良い?」


「分かった、フィアにお願いしておく」


 そのまま、上着を羽織り、浴場まで同行し、お湯を生む。そのままリズは服を脱いで、急いで体を洗い始める。

 私はフィアとロットの部屋をノックする。中から、フィアの朝ご飯早いねーと言う言葉が聞こえるが、私がお風呂を入れたからちょっとしたら入るよう皆に伝えて欲しいとお願いすると、了解の旨が部屋の中から返ってくる。


 部屋に戻り、ソファーに座って先程までの事を反芻していると、タロとヒメが箱から出て、てててーっと寄って来てソファーに飛び乗り、左右から挟んでくる。


『ままとまま、あそんでたの』


『ごはんのあとは、あそぶ』


 朝のお相撲さんごっこをじゃれあっていたと勘違いしたのか、二匹がキラキラした瞳で順番待ち状態になる。なんだかなーと苦笑しながら、撫でつけていくと、お腹を見せてくるので、柔らかい部分をふにゅふにゅと撫で続ける。しっぽが激しく振られ、息が荒くなる。もう、ここまでスキンシップをしているのにまだ足りないかと獣の貪欲さに慄く。なでなでと遊ぶのは別腹なのだろうか。


 そう思っていると、二匹の耳がピンと立ち、ドアの方を向く。『警戒』で確認すると、侍女……アンジェかな? の気配が接近するのを感じる。

 ノックの音が聞こえ、アンジェの声が聞こえる。服装を正し、扉を開けると皿の上に生肉とモツが乗った物を持って立っていた。


「今朝はお越しにならなかったのでお持ち致しました」


 そう告げる彼女から皿を預かり、ありがとうと告げると、少し上気した顔で、失礼しますと言ってたーっと去って行った。どうしたのかなと思って、あぁ、臭いかと理解し、ちょっと恥ずかしくなった。ちょっとしょんぼりしながら扉を閉めると、足元できりっとした顔でお座りした二匹がしっぽを振っている。


「箱にお戻り」


 そう言うと、たーっと箱に向かって走り飛び込み、再度お座りをし直す。くんくんと嗅ぐとシカ肉っぽい。森での猟は解禁したけど、もう今朝から入っているんだ……。イノシシは罠猟だけど、シカなら弓でも狩れるか。そう思いながら、皿に分けて、待て良しで与える。


『しか、うまー!!』


『おいしい!!』


 モツからはぐはぐと食べ始め、赤身を攻める。テロテロと皿の血まで舐めたところで、水を生む。チャプチャプと水を飲み、そのまま食休みに入ろうとしたところでタロが気付く。


『まま、あそぶの!!』


 タロが走り出すとヒメもつられて走り出す。そこそこ重いモフモフが二匹飛びかかってくる。しょうがなく両腕でキャッチすると、ご飯を食べたテンションのまま首とか耳の中とか耳の裏をクンクンし始める。もう、頭の後ろの方が濡れた鼻でぴとぴとしてくる。ほいほいと両手で揺すると、楽しそうな感情が流れ込んでくる。でも、食べたての生肉の所為で、非常に生臭い。両方からダブルで攻めてくる。


 町開きの書類も粗方片付いたし、急ぎの用事と言えば、女性陣のドレスの最終調整くらいだ。後で散歩に行こうかと『馴致』で告げると大はしゃぎになった。それまでは休んでおくかと聞くと、大人しく箱に戻って食休みに入る。


 ソファーにかけて、ノーウェとロスティーとの今後を考えていると、ほこほこしたリズが部屋に戻ってくる。


「良かった。間に合ったよ。危なかった」


「そんなに気になるの?」


「いーやーだー。なんか、べとべとなのがいっぱい付いている状態で会いたくないですー」


「いや、下着とかで拭われているかと……」


「匂いもあるし、垂れるんですー」


 リズが腰に手を当てて、座った眼でじっと睨んでくる。


「デリカシーの無い事を言いました」


「分かったら良いよ」


 そう言いながらぽふっと背中を預けてくる。そのまま髪の毛をブローして乾いた辺りで私も浴場に向かう。


 廊下の途中でロットとドル、カビアと合流する。


 脱衣所で服を脱ぎ、髪と体を洗い湯船に浸かる。


「体の調子は大丈夫なのか? 昨日は大分消耗していたようだが」


 ドルが顎まで浸かりながら聞いてくる。


「駄目。動けなかった。神術で治した」


「器用な話だな」


 そう言いながら、苦笑が返る。


「カビア、後で女性陣のドレスの最終調整に行くけど、一緒についてくる?」


「いえ、前に男爵様に頂いた件を片付けます。予算と収入の兼ね合いでまだ調整が完了しておりませんので」


 そう言われて、何の件だったかなと首を捻り思い当る。


「あの件か。どう、こっちの貸し出しでいけそう?」


「普通は無理ですが、塩の流通が始まりましたので、いけそうですね。貸し出しも短期間で片付くと考えます」


 カビアがちゃぽりと、腰かけ部分に座り直しながら答える。


「あの件とは何ですか?」


 ロットが訊ねてくる。


「ん? あぁ、まだ決まった話じゃないし、許可が下りるかも分からないから内緒。ただ、皆にも悪い話じゃないと思う」


 そう言いながら、風呂から上がり、部屋に戻る。皆が風呂に入っている事に気付いているのか、体を冷やす時間を挟んでの朝ご飯となった。

 さて、今日も一日頑張りますか。

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