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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第499話 初めての戦争、開戦直前の大休止

 夜が明けると同時に伝令を出し、冒険者を集める。元々ばらばらの宿に泊まっていたが伝令が面倒だったので、差額を補填して温泉宿に泊まってもらっている。部屋も確認済みなので、問題無く伝わるだろう。

 参加の兵達は当直から外れている。昨日一日は兵舎での待機をお願いしていた。夜襲の可能性は有ったが、睡眠不足で戦う事を考えれば、家に帰ってもらう事を選んだ。流石に見張りをお願いしている斥候の方が軍の移動よりは先に戻ってくる。


 昼がいつ食べられるか分からないので、朝は皆でしっかりと食べた。ロットとフィア、ドルとロッサがいちゃいちゃするかと思えばそんな事も無く、食後は淡々と用意を進めていた。身近にいるしそんなものなのかな。ティアナはカビアと何か話していたが、カビアが苦笑を浮かべて頭をぽんぽんと撫でていたので、あぁ、私達が特別いちゃいちゃしていた訳ではないとほっとした。


 領主館を出る際は、働いている皆が総出で見送りに集まった。アストとティーシアは若干心配を浮かべながらも笑顔で声をかけてくれる。タロとヒメはいつもの侍女に預けた。二匹を一撫でして、皆と共に町の外に向かう。


 集合場所は東門を出てすぐ辺り。敵軍がどう言う進路を採るか現状では分からない為、一番『リザティア』に近い場所での待機となる。兵達や冒険者達が徐々に集まってくるが、最終的な動きの確認などを皆と取ってもらう事にした。勿論座ってゆっくり休みながらだ。今から緊張していたら、体がもたない。


 伝令は継続して森を行ったり来たりしている。オークの集落自体が森の最深部では無く、『リザティア』寄りの為、半日程度のずれで報告が上がってくる。時計を見ると八時を過ぎた辺りで伝令からオークの軍が集落を出たのを確認した旨の報告が上がった。出たのは昨日の晩の七時から八時頃か……。軍勢で動くとなると、半日では無理だ。向こうも日の有る内に攻めたかったと見える。んー、このままだと接触は昼をかなり過ぎるか……。


「レイ、オーク側の進行速度から考えたら、お昼をかなり超えるよね?」


「そうですね。敵が動いたのであれば、我々はそろそろ出立しようかと考えています。少し大回りに進めば接触する事も無いでしょう」


「分かった。苦労をかけるけどよろしく。末端から町に戻って食事を取ってもらっておくよ」


「あぁ、そうですね。少し早いですが、士気も上がるでしょう。良いと考えます」


「あまりだらけられても困るけど、張り詰め過ぎても疲れるしね。じゃあ、集落の方は頼んだよ」


「畏まりました。良い知らせを期待下さい」


 レイがそう言うと、諜報部隊を連れて動き始める。リナ達も続いて動く。リナ達は集落到着後、向こうの斥候と合流してそのまま森の外側付近まで進んでもらう。仮にその網を抜けても集落にはレイ達がいるので潰せると。


「手数だけど、仲間達を集めてもらえるかな」


 伝令に伝えると、勢い良く返事をして駆け出す。暫くすると、散らばっていた皆が集合してくる。


「斥候からの情報が入った。オーク達が集落を出たのが日の入りから二時間後程度。斥候の足で十二時間はかかる道のりだから百を超える軍勢だと十二時間では無理だと思う。昼は過ぎるだろうと見ている。少し早いけど、ある程度の単位で町に戻って食事を取ってもらおうかと考えている。問題無いかな?」


 聞くと皆が頷く。


「じゃあ、各員に通達をお願いするね。分割は任せるけど、昼までに全員食事が終わる程度の調整で良いよ。通達が終わったら、私達も食事にしよう」


 そう告げると、皆が持ち場に再度向かう。携帯食でも良いけど、温かい美味しい物を食べて戦争をする方が士気は上がるだろう。しかし、通信環境の無い戦争って本当に面倒だな。ノーウェの時のように、人に使われるお客様の状況なら良かったけど、自分で全部こなすとなると泣きそうだ。


 徐々に人の流れが出来ると、仲間の皆が集まってくる。流石に責任者は現場を離れられないので馬車の中で町から持って来てもらった物を食べようと言う事になった。馬車の中で皆と戦術に関して話をしていると侍従が食事が届いた旨を伝えてくれる。見ると、寸胴鍋と、肉を焼いたもの、それと籠に入ったパンを持ち込んでくれる。久々に皆のカップを用意して、スープを注いでいく。肉はイノシシ肉の串焼きだった。スープの方にたっぷりと野菜が入っているので、ボリューム的には問題無い。朝ご飯からまだそこまでの時間が経っていないのと、あまり食べると動きが悪くなるので程々に済ませた。元々量は少な目にお願いしたので、持ち込んでもらった料理が無くなった段階で、改めて各所に散らばってもらう。


 昼に近付くと、伝令の頻度は若干増えて来た。こちらに近付いてきているので、斥候が調査して戻る距離が減っている。日が昇って詳細な情報も加わるようになってきた。装備に関しては、革の鎧に鉄の槍が主武装との事だった。やっぱり鉄が量産されている……。今後を考えると、戦闘行為に関しては暗澹としたものを感じる。ただ、今回の戦争には関係無いので気持ちを切り替え、軍全体に指示を出す。ある程度の方角が見極められたので、森側に前進する。道中の動きで仲間に兵達の調整をかけてもらう。


 思った以上にスムーズに歩を進め、『リザティア』と森の丁度真ん中辺りに一旦陣を敷く。重装歩兵を壁に、その左右斜め後ろにクロスボウ部隊、背後には軽装歩兵部隊と言う配置だ。もし重装歩兵の壁が崩れるようなら、そのまま軽装歩兵が切り込んでフォローに入る。逆に正面衝突で壁が崩れる相手となると、戦術そのものを根本的に見直す必要が有る。


 伝令の話を聞いて、まだ余裕が有るのは分かった。最後の大休止を伝えて、簡易トイレの展開を行う。さて、この休憩が終われば、最終的な陣の構築で接敵かな。

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