表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/120

「日野神楽」

 黒い羽根の悪魔と、蒼い翼の精霊が、人の姿を借り空を舞う。

 蒼光の軌跡を残して夜の闇を斬り裂くように、曲線を描いて翔ぶ武士。

 対して、直也は闇の残響を残してジグザグに直線的に空を駆ける。


 二色の光は交錯するごとに、激しい剣戟を交わす。

 『霊波天刃』と『黒鬼の魔剣(オゥガ・デーゲン)』。

 武士の飛翔スピードと合わさり、音速を超えるスピードで繰り出される蒼い斬撃。

 しかしそれらはすべて、人生で初めての空中戦である筈の直也の卓越した剣術センスにより、闇の力を秘めた黒剣で弾かれる。


 逆に、先読みを封じられた武士はすれ違う毎に手傷を増やしていく。

 黒鬼の魔剣(オゥガ・デーゲン)による刀傷は漆黒のオーラにより回復を阻害され、完治に時間を要した。

 ダメージの蓄積が回復速度を上回り、武士の飛翔は徐々にそのスピードを落としていく。


「――喰らえっ!!」


 ギィン!!


 直也は大きく振り被り、動きを鈍らせた武士に痛烈な斬撃を浴びせる。

 武士は辛うじてガードしたものの、頭上から衝撃をまともに受け、地面に叩きつけられた。


「ぐっ……くう……!」

「クカカカカッ……終わりだな、田中! もうすぐ結女さんが、葵たちを全滅させる。お前も俺には勝てない。ようやく……これで決着だ」


 黒雷の結界に囚われた葵に力を送る為、とうとう回復もできなくなった武士は、膝を地につき、霊波天刃を支えに倒れずにいるだけで精一杯だ。


「死なせない……死なせるもんかぁ!」

「黙れ」


 武士は爆発的にオーラを噴出させ、一気に葵に送ろうとする。

 しかし、直也が無造作に振った黒鬼の魔剣(オゥガ・デーゲン)から飛んだ黒い剣閃が、武士のオーラをいとも容易く爆散させた。


「がっ……」

「気合いだけで、この差がどうにかできると思うな」


 直也は爆風で倒れ込んだ武士を、冷たい目で見下す。


「メフィストとアーリエルでは、元の世界での(レベル)が違う。……それは、俺とお前も同じだ。幼い頃から軍隊で戦い続けてきた俺と、何も考えず、努力もせず、この温い平和ボケした国で漫然と生きてきたお前が。同じレベルで戦えると思うんじゃない」


 語りながら、歩み寄る直也。

 魔剣の切っ先を突きつける。


「見えるんだろう? 仲間が殺されるところが。お前が分不相応に英雄になどなってしまったせいで、死んでいく仲間が。……最初に死ぬのは、御堂か」

「ハジメ!?」


 地面に這いつくばりながら、葵との感覚共有を通し、武士は友の危機を悟る。


「一人ずつ順番に始末して、最後に葵だ。そして田中。お前が後悔と絶望、懺悔と屈辱の海に存分に沈んだところで、ゆっくりと殺してやろう」


 直也は悪魔の笑みを浮かべる。自分の力不足で仲間を喪ってしまう恐怖に、顔面蒼白となる武士。

 だが。


「……ハジメ?」


ふとその表情が変わる。

 葵の視界を通し、信頼する親友が、絶体絶命の瞬間に笑ったことに気づいのだ。


「――何!?」


 驚愕したのは、直也だった。


  ***


「ガアアアアアッ! 小僧がァァァァァ!!」


 ハジメが時間を稼いだ隙に、結界を敷き強襲した神楽。

 悪魔が絶叫を上げる。


「ふざケルナ!! 操り人形に過ぎないガキ風情が、このワタシヲヲヲヲッ!!」


 神楽が結女に突き刺した神剣。

 その傷口から、漆黒のオーラが猛烈な圧力をもって噴き出した。


「ぐ……それはこちらの台詞だ! 化け物風情が、このボクをよくも!!」


 噴き出すオーラによって、剣がずるずると抜かれようとする。

 神楽は右腕で剣の柄を抱え込み、体重をかけてなんとか神剣が抜かれるのを抑えながら、左手でバラン! と複数の呪符を取り出し、結女を囲むようにばら撒いた。


 そして、印を切り詔を叫ぶ。


「天つ地の、風の中を行き交う荒御魂、速地の神、野辺に棲む獣までも、暗き闇路も迷わざらまじ、鎮め給え……おい、灯太! ぼーっとしているんじゃない!!」

「え……?」


 唐突な兄弟の活躍に呆然としていた灯太が、呼び掛けられ我に返る。


「お前にも出雲の血が流れてるんだろう! 見えるか? ボクの結界陣が!」

「……ああ、見える」

「だったら、呪符を繋ぐ陣に沿って、朱焔杖の炎を燃やんだ! ボクの結界は迦具土神(カグツチ)の力を借りている。魂の炎とは相性がいい……ボクに力を貸せ!!」


 メフィストの力を、神剣と神道の秘術で必死に抑えている神楽。

 絶叫を上げる結女の体からは可視化される程の高密度な魔力が、物理的な圧力をもって溢れ出している。

 このままでは小柄な神楽の体が弾き飛ばされ、メフィストが再び自由を得てしまうのは時間の問題に見えた。


「姉貴!」

「分かってる灯太。朱焔杖!」


 黒雷の結界に囚われた時に落としてしまっていた朱焔杖が、紅華の一声で空を飛び、その手に収まる。

 紅華は仕込み刀を引き抜いて、横一文字に構えた。


「限界まで収束して、出力は最大……いくよ、姉貴!」

「うん!」


 紅華の背に手を当てて、灯太が叫ぶ。


「……增加(ヅァンヂァン)!!」


 構えた朱焔杖の刃から、紅蓮の炎が走る。

 神楽に神剣を突き刺された結女の体を中心に炎は放射状に広がり、湾曲率の異なる複雑な円形を描いていった。


「グガアアアアアアッ!!」

「アハハッ!! ざまあみろ魔女め、ボクを侮辱してくれたお礼だッ! 百鬼夜行この世の魔の眷属いずれもすべて、このボク、神道使いの前じゃ敵じゃあないんだよッッッ!!」

「お前の力だけじゃないだろっ……! 調子に乗るな弟のくせに!」

「うるさい! お前の方が弟だ、絶対に!!」


 出雲神道の血を受け継ぐ神楽と、同じ血をひく灯太。

 灯太の魂の力による烈火の炎は、神楽の秘術・神威結界の力を倍加させた。

 魔性の存在を魂ごと消滅させんとする降魔の力が、新崎結女の体の中からメフィスト・フェレスの魂を焼いていく。


「すごい、灯太の力を結界に乗せて……あのガキに、こんな力が……」


 翠が、メフィストの結界に体力を削り取られ、立ち上がれずにいたハジメを助け起こしながら、 驚嘆の声を漏らした。


「もともと出雲神道は、この国を狙う外道や妖魔を降し、歴史の影で日本を守る為に戦ってきたオカルト集団だ。神霊や霊魂の力を自在に操ることができる」


 その横で紅葉が、燃えさかる炎の輝きに顔を照らされながら呟く。


「そして奴が異界の悪魔だというなら、出雲最強の神道使いである日野神楽。あの子は奴にとって天敵、という訳だ」

「だから新崎結女は……メフィスト・フェレスとやらは、最初からあのガキを操って味方につけてたって事か」


 翠に支えられながらハジメは、最初に神楽と遭遇した時の事を思い出す。

 北狼の特殊部隊を率いて、新宿の廃ビルに現れた神楽。

 その横にいたのは、直也をも既に手中に収めていただろう新崎結女だったのだ。


「結局、何もかも初めから奴に仕組まれてたってことかよ」

「ああ。しかしこれで終わりだ」


 ハジメが吐き捨てた言葉を受けて、紅葉が断言する。


「神楽は新崎結女に憑りついたメフィストを消滅させるだろう。そうすれば、残るは九龍直也だけだ。<偽りの英雄>と神楽が協力すれば、奴を完全消滅させることもそう難しくは……」

「ダメ」


 唐突に紅葉の話を遮った葵は、神楽の背を真剣な眼差しで見つめている。


「どうした、葵」

「念話で繋がってる武士が、アーリエルさんが言ってる。このままじゃ、あの女に憑りついたメフィストを倒す前に、神道使いの方が死んじゃうって……」

「えっ……」


 翠が泡を喰って、神道使いの少年に視線を移した。


「このまま……塵へと帰してやるっ……!!」

「ガアアア……ガ……カ……クカカッ……クカカカカカカカカ!!」


 魔女の絶叫が、すべてを侮蔑する嘲笑へと変わった。


「何が可笑しい! おい灯太、力が足りない! もっと寄越せ!」

「ダメだ神楽……このままじゃお前の体が、魂が先に燃えてしまう!」


 神楽の要求に、首を横に振る灯太。


「チッ……」


 分かっていた答えに、神楽は舌打ちする。

 神楽の思惑では、朱焔杖の力を受けた神威結界により、メフィスト・フェレスは一瞬で消滅させられる筈だったのだ。

 しかし、いつまで続けても敵の魔力を焼き尽くすことができない。

 日本を守護する神霊・迦具土神(カグツチ)の力に加え、朱焔杖の炎。

 その二つの膨大なエネルギーを伝える導火線のような役割を果たしている神楽の体が、長時間持たないことは、神楽自身がよく分かっていた。


「クカカカカカカッ! 人間ごときが! 人間が人間がニンゲンがニンゲニンゲ人間が!! コノ私を焼キ尽クセルと本気で思ったのカカカカ!!」


 炎の結界に抑え込まれていたかに思えたメフィストの魔力が、再び結女の体から吹き荒れる。


「この女ノ体を諦めれバ、この程度の結界ナド!!」


 新崎結女の右腕が、肩から吹き飛んだ。

 そして血の代わりに噴き出したのは、漆黒の闇。

 闇は巨大な魔人の腕を形作り、ゆっくりと神楽へと手を伸ばす。


「ふざ……けんなぁぁぁ!」


 神楽が片手で懐から、勾玉の鎖を取り出した。

 そしてジャラン! と片側を飛ばし、紅華の持つ朱焔杖の刃へと絡ませる。


「!? なにをする!」

「まさか……やめろ!」


 突然の神楽の行動に驚愕する紅華。

 灯太は彼の行動の意図を察し、制止の叫びを上げる。


「うるさい! 弟は黙って兄貴に力を貸しやがれ!!」


 神楽は強制的に朱焔杖から力を引き出して、神威結界を強化した。

 燃えさかる結界陣から、八頭の竜のように炎が吹き出し始める。

 そして炎を竜の一匹が、魔人の腕に絡みつき、その動きを止めた。


「ガハッ……!」


 神楽が吐血する。

 幼い少年の体と魂が限界に近づいていることは明らかだった。


「やめろバカ野郎!! ……姉貴! 神楽に支配されて、ボクには力を止められないんだ、朱焔杖を捨てて――」

「ダメなの、灯太!……朱焔杖から手が離れない!!」


 腕ごと朱焔杖を勾玉の鎖に絡め取られ、紅華も流れ出す魂の力を止めることができない。

 片手に神剣、片手に勾玉の鎖を握りしめ、必殺の意志を固めた神道使いの少年は、異界の悪魔を睨めつけながら叫ぶ。


「ボクは……負ける訳にはいかないんだ! ボクは、ボクを唯一認めてくれた鬼島司令を裏切ってしまっていたんだ! あの人の役に立てなかったボクに、生きている意味なんてないんだ!! だからこの命に代えても、コイツは必ずボクが倒さなきゃいけないんだ!!」


 少年の叫びを聞いた翠が、ボソリと呟く。


「……生きてる、意味がない?」

「おい……紅葉っ」


 神楽が、背を向けたまま紅葉に声を掛ける。


「なんだ」

「……どうしてボクじゃなかった?」


 神道使いが、小さく呟いた。

 それはとても小さい声。

 炎の結界と闇の魔力が嵐のようにせめぎ合う空間で、誰にも届くはずのない小さい声。

 しかし、何故か少年の言葉はその場の全員に届いた。


「あんたが灯太を出雲から連れ出したんだろう? どうして、ボクじゃなかったんだ」

「日野神楽、お前は……」


 紅葉は絶句する。

 少年の心情を察したから。


「灯太じゃなくて、ボクが刃朗衆に連れていかれてたら……今頃ボクが、そこにいて……姉に、囲まれて……」


 少年の流された視線の先に、灯太がいた。

 そしてその前に、彼が姉と呼ぶ麒麟の紅華がいた。


 紅華は灯太の為に戦った。灯太と生きる為に戦った。

 そして、刃朗衆の使い手達も、灯太を助けにきた。

 何年も前に外国に攫われた「弟」を今度こそ助けようと、神楽が仕掛けた明らかな罠に飛び込んできた。


 紅華も、刃朗衆の葵と翠も。

 灯太が必要だから、助けにきたのだ。

 灯太という存在に価値があるから、助けにきたのだ。


 対して、神道使いの少年には、自分には何もないと思う。

 こんな力を持っていても、結局容易く悪魔に操られ、主に牙を剥いてしまった。

 無価値な人間だ。


 けど。

 そうならない道もあったのだ。

 紅葉が出雲から連れ出したのが、灯太じゃなくて自分だったら。

 ここにいたのは自分じゃなくて。

 あそこにいたのは自分のはずで。


「……うるさい。ボクは、ボクだ」


 神道使いの少年は死の間際、惨めで弱い考えに浸ってしまった己を自嘲する。


「クカカカカ!! 安心シロ小僧!! 結果は同じダ!!」


 新崎結女の今度は左腕が、肩から弾け飛んだ。

 噴き出した闇による魔人の腕が、再び神楽を襲う。


「貴様ラは全員、私が叩き潰シテヤガガガガガガガガァァッ!? クソガァッ!!」


 二本目の魔人の腕もまた、神楽が操る二匹目の炎の竜に絡みつかれ、動きを止めた。

 しかし神楽はまたも吐血し、膝をつく。

 限界だった。


「やめろ神楽ッ……兄貴!! やめてくれ!!」

「やっと……認めたな、灯太」


 ニッと笑う神楽。

 そして。


「ボクはお前の兄だ。そして出雲最強の神道使い、日野神楽とはボクのことだ! この国の王、鬼島大紀に仇を為す下賤な魔物は……このボクが必ず、滅ぼしてやる!!」


 劫炎の八竜、残りの六匹が結女と神楽の体に殺到し、大爆発を起こした。






「……って何、やってやったぜ的な感じで浸ってんのよ?」

「……えっ?」


 強制的に朱焔杖から力を引き出していた、勾玉の鎖は断たれた。

 碧色の曲刀によって。

 そして、少年の体は優しく包まれた。

 少女の背中から生えた、爆炎の熱を遮断する緑色の翼で。


「なんだよ、コレ……」

「天使の片翼、ユーカリバージョン!」

「センスのない名前……」

「うっさい! アンタも言うか!」


 そして神道使いの傷だらけの体は、ゴスロリ衣装の少女・翠の腕によって抱えられていた。


「……そんな問題じゃない! 何やってんだよバカ!」


 神楽が青ざめて叫ぶ。


「バカとは何よ、バカはそっちでしょ? 生きてる価値がないとか、そんなのあんたみたいなガキが勝手に決めるなバーカ!」


 一昨日前の自分の事は天高く放り投げて、神楽を諌める翠。


「違うそうじゃない! 神威結界が破れたら、あの魔女が……!」

「クカカカカカカカッ!! 愚か愚かオロカやっぱり愚かダ人間ガ!!」


 両腕を失い代わりに闇の腕を生やした結女が、炎の結界を吹き飛ばして姿をみせた。

 そして神楽を抱える翠の前に迫り、大きく魔人の両腕を振りかぶる。


それを見上げながら、翠が柔らかく微笑んだ。


「大丈夫だよ神楽。<お姉ちゃん>たちが、守ってあげるからね」

「なっ……!?」


 赤面する神楽。


「何が大丈夫ダ!! 二人仲良く叩き潰しテ……!」


 絶対絶命の二人のすぐ横を、蒼い剣閃が走った。


「ガアッ!!」


 魔人の腕を跳ね飛ばされ、結女は大きく後方に弾かれる。


「霊波天刃……!」


 蒼い光刃を発生させた命蒼刃を、葵が振り下ろしていた。


「……うん、そうだね。武士が信じるなら、私も信じるよ」


 葵は霊波天刃を大きく上段に構え直す。

 直也と戦って力を送ってこれない筈の武士の魂の力が、命蒼刃から迸る。


「バカナ、何故……!?」

「バカはお前よ、メフィスト・フェレス。新崎結女の体を諦め、傷つけたのが失敗だ」


 武士とリンクしている葵が言い放つ。

 結女に憑りついているメフィストは、直也と一体化している本体の状態を把握し、血相を変えた。


「有り得ナイ……直也クンの、器に過ぎない人間の心ナドが、私の本体ニ作用スルナンテ……有り得ナイ!」

「九龍直也はお前が使うその体……新崎結女を大切に思っている。その体を傷つける者を、許しはしない。それが例え私たちでも、自分と一体化したメフィスト、お前自身でも」


 葵が駆け出した。

 メフィストは、結女の体から生やした魔人の腕を振るう。

 しかし霊波天刃により漆黒の腕は、立て続けに斬り捨てられ、霧のように消える。


「ハアアッ!!」

「グギャアアアアッ!!」


 葵の鋭い突きが、結女の心臓を突き刺した。

 霊波天刃は、刃に封じられた管理者の魂が、使い手の精神に共鳴して発生する刃。

 殺意を抱いた相手だけを切ることのできる力。

 使い手と管理者が逆転した今も、その蒼光の刃は、新崎結女に憑りついた異界の悪魔の魂を滅ぼし、同時に命蒼刃の慈しみの輝きは、結女の傷ついた肉体を癒していく。


「彼女の体から……消えろ! メフィスト・フェレス!!」


 霊波天刃の輝きが増して、蒼い光の柱が屹立した。

 結女を包んでいた黒い影が細切れに浄化され、消えていく。


「ギャアアアアァッ……クカ……クカカカ!! これで、私を滅ぼしたナドと……思わぬコトダ……本体は既に九龍直也ダ! これで私がこの女カラ離れれば……直也クンの思考を阻害するモノは無くなル! あの体で私はまだまだ、コノ世界で遊バセテモラ――」


 勾玉の鎖が、結女の体から離れつつあった影の塊に絡みついた。

 そして、日野神楽が叫ぶ。


「――さっさと消え失せろ! 『魄破』!!」


 最後は神道使いの手により、少年の人生を翻弄し続けた新崎結女に憑りついた悪魔の半身は、完全に消滅した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ