3影で腹黒と呼ばれる友人
お題 やわらかい水たまり。制限時間15分。
本文は書き直したもの。あとがきは制限時間内に書いたもの。
書き直したはいいが、あんま変わんないような……
雨の日は嫌いだ。
湿気て髪は広がるし、何より暗くて気分が沈む。
「早く止まないかな」
「これは、確実に通り雨とかじゃないでしょ。本降りだって」
独り言に返事があるとは思わなくて、驚いて隣を見るといつの間に来たのか同じクラスで友人の西条鏡花が居た。
「あれ、西条いつ来たの」
「ん? ついさっき?」
童顔の甘い顔立ちで微笑みながら小首を傾げているその姿は、何を言われても誤魔化されてしまいそうなくらい可愛い。
だが、疑問を疑問系で返すな!
そういう曖昧で意味深な答え方するから影で腹黒とか言われるんだよと、心の中でツッコんだ。
「東は、雨嫌い?」
「まあね」
「ふふ、即答だね」
何が面白いのか西条はくすくすと笑った。少しいらっとして言い返す。
「雨が好きな人間なんていないだろ」
「そんなことないよ。私は好きだよ」
そう言って、西条は傘も差さずに外に出た。
頭おかしいとしか思えない。
それなのに、彼女は楽しそうに笑って、回ってみたり水溜りを踏んだりしている。
「西条、何やってんだ!」
「ねえ、雨に濡れるのって楽しくない?」
楽しくない。
そのはずなのに、西条の姿を見るとホントはものすごく楽しいことなんじゃないかと思えてくる。
「東、傘ないんでしょ? だったら、濡れるの楽しんだほうが良いよ」
西条が誘うように、右手をこちらに差し出した。
そうだ、どうせ濡れるんだしいいかなんて思って俺は一歩踏み出した。そして――
「うぐっ」
踏み出した瞬間、転んだ。
あははははは
楽しそうな笑い声が響く。
「西条、謀ったな」
「足元はきちんと見なきゃ駄目よ、東」
雨でやわらかくなった地面に誘導してコケさせるとは、なんたる腹黒。
でも、なぜか憎めない西条にきっとまた騙されてしまうのだろうなと思った。
雨の日は嫌いだ。
湿気て髪は広がるし、何より暗くて気分が沈む。
「早く止まないかな」
「これは、確実に通り雨とかじゃないでしょ。本降りだって」
独り言に返事があるとは思わなくて、驚いて隣を見ると友人がいつの間にか居た。
「あれ、西条いつ来たの」
「ん? ついさっき?」
疑問系で言葉を返してくる友達に笑顔でそういう曖昧で意味深な答え方するから腹黒とか言われるんだよと、心の中でツッコんだ。
「東は、雨嫌い?」
「うん」
「うわっ、即答だね」
何が面白いのか西条はくすくすと笑った。
「雨が好きな人間なんていない」
「そんなことないよ。俺は好きだよ」
そう言って、西条は傘も差さずに外に出た。
頭おかしいとしか思えない。
それなのに、彼は楽しそうに笑って、回ってみたり水溜りを踏んだりしている。
「西条、何やってんの!」
「なんかさ、雨に濡れるのって楽しくない?」
楽しくない。
そのはずなのに、西条の姿を見ると本とはものすごく楽しいことなんじゃないかと思えてくる。
「東、傘ないんでしょ。だったら、濡れるの楽しんだほうが良いよ」
西条が誘うように、右手をこちらに差し出した。
まあ、それもいっかなんて思って私は手を取り一歩踏み出した。そして――
「うぐっ」
踏み出した瞬間、転んだ。
あははははは
楽しそうな笑い声が響く。
「西条、仕組んだわね」
「足元はきちんと見なきゃ駄目だよ、東」
雨でやわらかくなった地面に誘導してコケさせるとは、なんたる腹黒。
でも、なんか憎めないからまた騙されてしまうのだろう。