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異世界の居場所

どこかから小枝を集めてカマドを作って火をおこしたり。服を裂いて包帯を作ったり。

消毒の為に焼いたカッターを傷口に押し付けられたのは死ぬかとおもった。いや、しんだ。というか気絶した。


「……ありがとう」


気絶から覚めた。

彼は串に刺した魚を焼いている所だった。

左腕の痛みは全然和らいでいない。


「傷薬もつくりたかったんだけどよー。草木がまるで違うんだわ。悪いけど熱出るかもしんね」


何者なんだろう?そう思った。


「オレは、加藤柳吉。柳に大吉の吉。お前、名前は?」


「僕は、えっと、村、瀬……愛。……多分」

彼もこっちの素性が気になっていたのか、聞いてきた。


「多分てなんだよ」


「うー、ん。親が係争中で、離婚裁判」


彼は気まずそうな顔をしたが、謝りはしなかった。大変だな。と呟いただけだった。


「狼を倒した技、凄いな。一撃必殺、って感じで」


「技じゃない、ウチの初歩の打撃さ」


そう言って彼は家の古武術流派や6歳からサバイバル技術を叩き込まれたこととか、日々の修行の事愚痴っていた。嫌だ嫌だ、と言う割に口調は弾んでいた。


「ッケホっ……僕は、夜外を歩いてたらいつの間にか此処にいた」


「……オレん時は、ひったくり捕まえようとしてたときだ。気がついたら森の中にいた」


全然共通項が見いだせない。まぁ、此処で死のうが居場所がない僕にはどうでも良い。


「帰るあてもネーナ」


帰りたいんだろうなって思う。たとえ修行とか愚痴にするほど嫌でも、其処には愛情が、彼が必要とされている居場所があったんだろう。


「……オレの見立てだと一週間位で痛みは軽くなると思う。完全に治るまでは三週間位。けど、日本にいた場合だから、もっとかかるかもしれない」


足手まとい、という言葉が浮かんだ。次は謝罪の言葉を探した。けど、柳吉は明るく吹き飛ばした。


「んまーなんとかなるべ!森の中だし、川もある!寝床を探せば案外快適だぜ?」


つえーな。っと、考えた末に出たのはその言葉だった。

それを聞いて、柳吉はえー兄貴にはハンデしても勝てないし親父にはボコボコにされた後弱小メガーって馬鹿にされるんだぜーとか言っていたが、その事じゃないって思った。

口には出さない。

彼は多分、自分の強さを理解出来ないから。

遠くで狼や、何かの遠吠えが聞こえた。


外熱い。

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