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ホテルの向こうの異世界へ  作者: テイク
第4章護衛と出会い編
66/94

4-14

 ヴェスバーナ暦1998年夏期2月4日 昼過ぎ ヤザナック地底湖


 ユーリがオウェイシスの一撃を受け流し、リオンを救う少し前。

 ユーリは、ヤザナック名物地底湖に続く洞窟へと、突貫していた。本来ならば見とれるであろう光景が広がっていたが、ユーリはそれを無視して、下へ下へと下って行く。リオンたちの気配と巨大な気配を感じとったからだ。

 そして、一番下まで降りた所で水により塞がれていた道を水を凍らせることにより無力化した。それを砕き、地底湖へ侵入。一瞬、オウェイシスの姿に茫然となるものの絶体絶命のリオンを助けに入ったのだ。


「大丈夫か?」

「あ、ああ、何とか。まさか、君が助けに来てくれるなんてね。運命って面白いね」

「そんなことはどうでもいい。どうする」


 ぶっちゃけユーリは、オウェイシスとはまともに戦えないことは、先程一撃を受け流した時にはっきりわかった。受け流し完全に威力を殺したはずなのに、全く威力を殺せていなかった。衝撃でかなりのダメージを喰らってしまったのだ。

 圧倒的な実力差は明白。だからこそ、それと渡り合っていたリオンにどうするかを聞く。


「逃げる、しかない。オウェイシスとの実力差は明白だからね。だけど……」


 ユーリが来たことによりオウェイシスによる出口の封鎖はなくなった。逃げることが出来る。しかし、こちらは負傷者三名。動けない者が三名もいるのだ。逃げるのは時間がかかる。

 リオン、リー、ユーリで運べれば良いのだが、オウェイシスがそんな暇を与えてくれるとは思えない。時間稼ぎが必要だ。見ての通り、リオンは限界で時間稼ぎが出来るかは微妙。


「わかった。俺がやる」


 まともには戦えないが、戦いようはある。何故だかわからないが、そんな気がしていた。竜王には届かないが、力も魔力もいつも以上に溢れている。まるで、身体がこの時を待っていたかのように。

 だから、無理だとわかってはいても、やれる気がしていた。


「いや、僕がやるよ」

「お前、限界だろ」

「なら、あなた達2人でやりなさい。2人なら、まだ勝機は少なからずあるでしょう。私が運ぶわ」


 リーの提案を却下しようとした2人だったが、リーは聞かない。リオンだけ、ユーリだけに行かせれば、実力(レベル)差から確実に死ぬ。2人やった場合、ユーリの魔法による支援が受けられるし、狙いも分散する。2人とも死ぬかもしれないが、生還する可能性もまたある。

 その理由でリーは2人を説き伏せた。


《話は終わったか、諸君。乱入者もよく来た。お前に資格があるのなら示せよ、乱入者。さあ、来るが良いよ、諸君》


 ユーリとリオンが飛び出す。ユーリはありったけの強化魔法を自分とリオンに付与する。それから更に魔法を使う。時空魔法。まだ単純な収納魔法と1人用転移魔法しかないが、この場合はそれで十分。

 ユーリは、ただのクレイモアではオウェイシスにダメージを与えられないことを技能(スキル)『直感』と『先見』により把握した。ならば、ということで魔法で攻撃する。リオンを前衛にし、弱い自分が後衛に回るのが良いと判断したのだ。

 魔法陣が起動し、数分を待って展開され、魔法が発動する。しかし、何も起こらない。失敗か、とリオン達は思うが、ユーリはそうは思っていなかった。その証拠に、リオンへと攻撃を繰り出していたオウェイシスの左腕が切断され消えたのだ。

 何が起きたのか理解できない様子のオウェイシス。リオンも同じだ。失敗したように見えたのに、結果は起きた。それも異常な結果が。


「これは、えげつないな。まあ、出来るのがわかっただけマシか。時間と魔力がかかるが」


 左腕はいつの間にかユーリの背後に移動していた。

 出来ると思ったのだ。確信はなかったが、ここに来てから、奴を殺すにはこれしかないという思いがあった。それが出来る気がしていた。


《驚いたぞ、乱入者よ。一体何をしたのだ、乱入者よ。私の腕を切り落とすとは、どういった魔法だ、乱入者よ》

「簡単だ。時空魔法で転移させただけだ」


 簡単なことだ、とユーリは時間稼ぎの為に丁寧に説明する。

 単純に左腕を指定して転移させた。大きさ的な問題で左腕だけしか転移させられなかった為に、転移対象の左腕だけが転移した為に、身体から切断させられたのだ。

 さしもの竜王の肉体と言えど転移による空間の穴が閉まる力には耐えられなかったようである。如何に物理的に強くとも、その上位にある空間には、勝てないのだ。


《だが、私には私を傷つける魔法を無効化する技能があるのだぞ、乱入者よ》

「傷つける魔法じゃないし。ただ移動させるだけの魔法だからな」


 それでも、竜王との会話は恐怖を感じた。声が震えそうになるのを必死でこらえて何でもないように言った。こうすれば、話が出来るほどに知能の高いオウェイシスが撤退を考えるのではないか、とユーリは考えている。

 しかし、ユーリの考えとは違いその言葉にオウェイシスは大笑いした。心底、楽しそうに。心底、嬉しそうに。笑った。


《良い、良いぞ、乱入者よ。転移魔法をそのように使ったのはお前が初めてだ、乱入者よ。傷つける魔法が効かないとなると、転移魔法も奴らは使わぬようになるが、お前は違うのだな、乱入者よ。

 まっこと、生きるとは良いなあ、乱入者よ。生きるものだ。このように面白いのは、父が生きていた1000年前、あやつが来た時以来だぞ、乱入者よ。フハハハハ》


 ユーリの考えは外れた。そして、目論見(もくろみ)も。


《さて、先程から、後ろで動き回っている連中だが、よもや逃がすと思っておったのか、諸君よ》

「うわっ!?」


 再び、水が出口を塞いでしまう。またもや八方塞がり。オウェイシスと相対するしかない状態に陥った。

 また凍らせて破ることはできるが、魔法が使えるのはユーリとグレースのみ。グレースは意識がないため、現行、それが出来るのはユーリだけだ。


《さあ! 示せ資格を!》

「チッ!」


 しかし、それをオウェイシスは許さない。ユーリを執拗に狙う。ユーリは、必死に避ける。一撃でももらえばアウトだ。いくら力が溢れていてもオウェイシスの攻撃を防げるわけではない。

 逃げることは出来ない。ならば、やるしかない。殺すならば、頭を移動させること。それなら一撃だ。

 だが、それには、


「リオン! そいつを足止めしてくれ!」

「わかった!」


 何も言わずリオンは従ってくれた。何か策があることを理解したのだ。


《させるものかよ、諸君》


 オウェイシスは、ユーリを狙う。


「行かせないよ」


 リオンが立ちふさがる。その身には既に、オーラはない。限界を迎え、殆どの技能が発動停止状態になっている。だが、それでもやらなければならない。

 その間にユーリは魔法陣を起動する。範囲を指定、魔法陣を展開。時空魔法が極位の魔法である為に、魔法陣の展開には時間がかかる。それに範囲を常に動くオウェイシスの頭に指定し続けなければならない。どうやっても時間がかかる。逃げ回りつつやることは、今のユーリには出来ない。


「ぐあっ!?」


 リオンが吹き飛ばされる。もう既に限界を超えているのだ。これでもよく耐えたと言える。

 だが、魔法の発動にはまだかかる。


《終わりか? 資格は、なかったか。ならば去ね。――ぬ?》


 ユーリへと最後の一撃を放とうとした瞬間、光の鎖がオウェイシスを捕らえる。


「戦技【鬼瞳陣】『縛』」

「辻斬り女!?」


 奏の手元から出た鎖はオウェイシスを拘束する。オウェイシスは鎖を引きちぎろうとするが、力を込めれば込めるほどに鎖は強く絡まっていく。

 この鎖は本来、鬼、超常の存在、人智を超えた魔を捕らえるための鎖。その為、力を加えれば加えるほど、鎖の強度は上がっていく。しかも魔法ではないため無力化されない。勿論、限界はある。その証拠に、鎖には皹が入っている。

 だが、十分に時間は稼いだ。


「終わりだ」


 魔法が発動する。ありったけとも言える魔力を込めた転移魔法が発動した。オウェイシスの鮮血が舞い、首が地面に移動した。身体は力を失い倒れ伏す。


《なるほど、私を殺すか。汝、資格見出したり、だ乱入者》


 オウェイシスは、それだけを言い残し、粒子となって消えた。


 ――称号『竜王殺し』を得ました――

 ――実力(レベル)が規定値に達しました――

 ――階梯が上がります――

 ――第一階梯にあがりました――

 ――取得している資質から座をしてください――

 ――選択可能下位資質――

 ――剣士の資質――

 ――戦士の資質――

 ――拳士の資質――

 ――騎士の資質――

 ――冒険者の資質――

 ――魔法使いの資質――

 ――精霊使いの資質――

 ――泥棒の資質――

 ――料理人の資質――

 ――裁縫師の資質――


 いきなり、そんな表示がユーリの目の前に現れた。今は気にしている場合ではないため、無視をする。

 ひとまずはリオン達をヤザナックへと運ぶ。治療が必要なのはリオンだけだったが、竜王種に出会ったのはよほどの疲労だったのか、数日ほど安静にする運びとなった。


「このお礼は、しようと思うわ」


 リーがヤザナックの宿屋でユーリに言う。


「いや、俺は、ちょっと魔法を使っただけだぞ」

「それでもよ。こっちは数日休んでからグランディアに帰るわ。お礼はその時に」

「……わかった」

「それにしても凄いわね。竜王を倒すなんて」

「運が良かっただけだ」


 リーは肩をすくめて部屋に入って行った。ユーリは、自室に入る。


「俺、本当に竜王を殺したんだな…………」


 未だこの異世界に来てから幾ばくか。それほど時はまだ経っていない。それなのにもう竜王に接触して倒してしまった。少し実感が湧かない。神の作為的な何かを感じずにはいられない。


「とっ、そんなことより」


 目の前の表示に目を向ける。


「座、ね」


 座を選ぶことは、自分の成長に関わる。それは一緒に旅をしている間、エレンに聞いていた。エレンも詳しくは知らないらしいが、選ぶことになったら慎重にとのことだった。

 ならばまず、下三つ、裁縫師、料理人、泥棒はないので除外する。せっかくの冒険者なのだから、世界中を見て回りたいのだ。なるべく戦闘系の方が良い。

 それから魔法使い、精霊使いも選ぶつもりがなかった。おそらく術師タイプの座を選ぶと、筋力などが上がりにくくなるだろう。それに、後衛職になるというのは性に合わない。

 ならば、選択肢は、剣士、戦士、拳士、騎士、冒険者の5つとなる。


「う~ん、そうだな、やっぱり剣士か」


 選んだのは剣士だった。今まで剣を使って来たからである。戦士はどちらかと言えば様々な武器を使う雑食なので、一つに絞った方がいいと思ったのもある。


 ――称号『階梯上昇』を得ました――

 ――〈剣士座〉【第一階梯】に上がりました――

 ――実力(レベル)が規定に達しました――

 ――階梯が上がります――

 ――階梯が規定の十階梯に達しました――

 ――座を移行します――

 ――取得している資質から選びください――

 ――選択可能中位資質――

 ――魔法剣士の資質――

 ――狂戦士(バーサーカー)の資質――

 ――聖騎士の資質――

 ――竜騎士の資質――


「竜王倒したからか、かなり実力(レベル)が上がったみたいだなおい……」


 竜王を倒したから当然だ。選択可能な資質が狭くなっている。


「さて、どれにするか」


 とりあえず一見で狂戦士は選択肢から除外した。本当に狂ったら目も当てられない結果になるからだ。おそらくは、そこまではいかないだろうが、一応の用心のためである。

 それから、竜騎士もない。竜騎士となるからには騎竜が必要になる。それを手に入れられる目途があるわけではない。それなのに、竜騎士を選んでも面白くないだろうという理由から除外。

 ならば、魔法剣士か聖騎士のどちらかになる。これは正直迷うところではある。魔法剣士ならば、今まで通りと変わらない。聖騎士ならば、おそらく法術を使用することができるようになるのではないかとみている。


「どうしようかな」


 しばらく悩んで、結局魔法剣士になった。今までやってきたことがそのまま反映されるからだ。それに、色々と手を伸ばしてもうまくいかないと思ったからだ。


 ――〈魔法剣士座〉【第一階梯】に上がりました――

 ――実力(レベル)が規定に達しました――

 ――階梯が上がります――

 ――階梯が規定の十五階梯に達しました――

 ――座を移行します――

 ――取得している資質から選びください――

 ――選択可能上位資質――

 ――英雄の資質――


 また上がった。しかし、今度のは選ぶことはない。選択肢が一つしかないのなら、選ぶもなにもないだろう。迷うことなく英雄を選択する。


 ――〈英雄座〉【第一階梯】に上がりました――

 ――実力(レベル)が規定に達しました――

 ――階梯が上がります――

 ――〈英雄座〉【第三階梯】に上がりました――

 ――実力(レベル)は1です――

 ――称号『英雄』を得ました――


「さて、少し休んだらグランディアに帰るとするか」


 何とも色々とありすぎた1日であった。どこか違和感すら感じるような。


********


 アグナガルド帝国浮島にある古城。

 時間にして少し前に遡る。ユーリがグランディアに到着したくらいだ。

 そして、時間は経っても同じように氷のように冷たい少女は座っている。見えない鎖に身体を縛られ座ったままの姿勢で、そこにいた。


「そこにいるのでしょう。出てきたらどうなの」

「おや、気が付いていたのかい姫様」


 シルクハットにマントという出で立ちの少年がぽんという煙を出して虚空から現れる。虚空に現れた少年は、器用に空中で1回転して着地。シルクハットをくるりと回して礼をする。その間、ずっとニコリと笑みを浮かべていた。


「何をしにきたの」

「いえね、僕たちに協力する気はありませんか?」

「言ったはずよ。そんな気はないと」

「もう、1000年もここにいるのに?」

「…………」


 少年の言葉に少女は口を閉ざす。それは真実であり、ここにいることが苦痛になっている。待つのは苦痛だ。動くこともできず、外の様子を知ることもできない。話し相手もいない。ただ1人、1000年の時を過ごしてきた。狂いそうになる。静寂は、静かに心を蝕んでくる。

 だが、それでもいつか助けに来る者を思っていまだに待ち続けていたのだ。そして、これからも待ち続けるだろう。その者が現れるのを。そんな未来を夢想しながら。


「ああ、まだ待ってるんですか? 来るかもわからないのに? まったく馬鹿ですか、姫様? 来るわけないでしょう。1000年前の約束ですよ? ああ、そうでした。ああいうことになってたんでしたね。でも、来たとしても忘れてますよ」

「…………れ」

「はい?」

「……まれ」

「なんです? よく聞こえませんねえ」

「黙れ!」


 少女は怒りを露わにする。そんなわかりきったことを他人に、特に、目の前の少年に言われるのは腹が立つ。それが事実であるため、尚更だ。

 少年は、おお、こわいこわいと馬鹿にしたように言う。実際馬鹿にしている。だが、それを御くびにも出さない。言葉にしている時点で出しているのだが、それはご愛嬌。それから、ターンする。


「じゃあ、帰ります。これが最後ではないですし。また、来ますよ」

「2度と来ないでほしいわね」

「連れないなー。じゃあ」


 トンッ、と床を蹴ると少年は消えた。次の瞬間には、少年は城の外にいる。変わらぬ様子で、背後を振り返り、あーあーと呟く。


「かわいそうなお姫様。助けに来る王子様の運命は、僕が握ってるのに。僕を怒らせるとどうなるか。教えてあげようかな。そっっだ。良いこと思いついたー」


 少年が腕を振るう。

 すると、地面から映画のフィルムのようなものが出てくる。

 運命の記筋(フェイト・レコード)

 人の運命が記されたもの。それを弄れば、人の運命を操ることができる。ただし、人の人生を操れるのは1回だけしかできない。

 その1回を少年は使ってしまう。深くは考えない。もとより、考える能力を創造主から与えられてはいない。与えられたのは道具としての性能だ。道具は使われればよい。

 だが、今はその使い手がいない。だから、勝手に動く。深く考えないで。


「さーて、この辺でいいかなあー。げえ、あの人がいるよ。やだなー。嫌いなんだよなあ。まあ、いっか。別れたみたいだし。

 よし、それじゃ、ここをこうして普通じゃ、お、面白いのがいる。ここで、斬らせちゃえ。それから、こんなのはどうだろうかな? ここは、こうしてっと、そうだ、竜王なんてぶつけてみるのも面白いかもしれない」


 クフフ、と少年は笑う。


「姫様、絶対に手に入れてみせるよ」


 少年は、もう一度腕を振るう。運命の記筋は消えた。


「さあて、かえろっかな。我らが世界に。ん……、そういえば、僕の前任者って、どこにいったんだっけ?」


 そんなことを呟きながら少年は指を鳴らした。すると、少年は崩れるようにして、いずこかへと消えたのであった。


********


「……そんなだから、貴方は何時まで経っても道具でしかないのよ。デウス・エクス・マキナ」


 そんな消え去る少年――デウス・エクス・マキナをストロベリーブロンドの髪の魔女イリスが見つめていた。デウス・エクス・マキナが消えてからもイリスは箒に乗ってしばらく考え込むように髪をいじっている。

 1分くらいして不意に、何か考えついたのか、イリスは箒を足場に立ち上がった。慣れているだけあって不安定な足場ながら、イリスの動作は淀みない。


「時空干渉――全階層・停止」


 イリスがそう呟いた瞬間、世界の歯車はその動きを完全に止めた。世界は灰色に塗り潰され、巨大な歯車と様々な部品により形作られた金の機構が現出する。

 それは人間には不可能な芸当。人間が使う紛い物(、、、)の魔法では到底不可能な、魔の法に通ずる魔女、それも時空の属性を司る時空の魔女による本物(、、)の時空魔法による芸当。


「デウス、貴方の間違いは、運命に干渉出来るのが自分だけと思っていること――小さな範囲でなら、私にも充分、干渉可能」


 イリスは機構を操作する。何かを1つ操作すると、他も大規模な動きを見せる。小さな動きは、次第に大きな動きへと転じ、大きな動きも小さな動きへと転じていく。



「これくらいでいいでしょ。たまには苦労させないとね。私達のアレまでに、頑張って登って来てもらわないといけないし」


 そう呟いて、イリスは操作をやめる。機構は自然に消失し、世界は色を取り戻し、全ては動き出す。


「さて、補助はしてあげるけど、頑張りなよユーリん。じゃないと、本当に死んじゃうよ」


 イリスは、空間の歪みに消えた。



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