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白黒冒険譚  作者: 夕日影
2/13

プロローグ

思いついてしまったので新連載です。

多分、もう一つ以上に不定期になると思います……が、よろしくお願いします。

 この世界には、一つの巨大な大陸がある。

 この大陸に住む者達は、大陸のことをこう呼ぶ。

 この世界の古い言語で「偉大なるもの」を意味する言葉で――「ラリヴァーラ」と。


 現在、ラリヴァーラは五つの国に分かれている。


 北にある、戦乱の国――ラシオン帝国。

 東にある、信仰の国――フレンツァ王国。

 南にある、魔法の国――モリナール連邦。

 西にある、自由の国――フィガロ公国。


 そして四つの国に囲まれた、狂気の国――バルバラ共和国。


 五つの国の仲は、お世辞にも良好とは言えない。

 特に、ラシオン帝国とフレンツァ王国は長い間、冷戦状態が続いている。

 フィガロ公国が何とか仲裁の形を取っているものの、いつまで経っても双方は歩み寄ろうとはしない。


 モリナール連邦は誰とも関わり合いを見せず、目立った動きもせず――ただ、その場を眺めているだけ。


 そして、バルバラ共和国。

 五つの国の中で、一番の脅威と思われているこの国は、今のところモリナール連邦と同じく目立った動きはない。

 しかし、四つの国はこの国を危険視していた。

 

 バルバラは、かつて異界から【魔王】を召喚し、ラリヴァーラを危機に追い込んだ歴史があるからである。

 今でこそ「おとぎ話」としてこの大陸に伝わっている話だが――実話である。


 さて、先ほど「目立った動きはない」と書かれたバルバラ共和国だが、最近不信な動きが多い。

 四つの国も、バルバラ共和国に対する警戒を日々強めている。

 そして、怪しんでいる。


 ――まさか、再び【魔王】を召喚する気ではないのだろうか、と。


 それが事実ならば、私達も動かなくてはならない……召喚の儀式をするために。

 何故ならば、もし再び異界から【魔王】が召喚された時――その【魔王】を倒すのもまた、異界から召喚された【戦士】だからである。

 かつてラリヴァーラが危機に追い込まれた時、伝説の魔術師が異界から【戦士】を召喚し、その【戦士】と共に【魔王】と戦ったという記述が残されている。


 もし、それが本当ならば――私は、伝説の魔術師の子孫として同じ役目を果たさなければならない。

 

 先ほど記したように、再びバルバラが【魔王】を召喚する可能性があるのだ。

 この世界にいる、どんな屈強な兵士や高名な魔術師でも――決して倒せない、魔王が再臨する。

 それは、決してあってはならないことだ。


 だから、私は再び異界より【戦士】達を呼び寄せる。

 たとえ、それが望んだような結果にならなかったとしても。


 私は、その役目を背負わなければならないのだ。

 

 【戦士】達を呼び寄せる――召喚の儀式。

 その儀式が行われた、その証として全てをここに記す。

 ――魔術師アンスガル・アンブロシウス


***

「……さて」


 黒い三角帽を被った老人は、先ほどまで開いていた分厚い本を閉じて机に置く。

 そして席を立ち、床に描かれた巨大な魔法陣の前まで足を進めた。


 木でできた杖で魔法陣をコツンと叩けば、杖の先端に付けられている鈴が涼やかな音を鳴らした。


「上手くいってくれるといいがな……」


 老人はそう言うと、常人には聞きとれない言葉で呪文を唱え始めた。

 すると魔法陣が光り輝き、呪文を唱え進める度に魔法陣の光は強くなっていく。


 そして、老人が呪文を唱え終えると、魔法陣の光はもはや直視できないほどに光を放っていた。

 老人は目を細め、その光をじっと見つめている。

 光はますます強くなり、やがて部屋全てを白く照らすほどに強くなり――……


 これが、始まり。

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