ルシファーとトーコさん02(吸血鬼×オタク女子※会話のみ)
俺は今、一人の人間に飼われている。
数週間前にとある事情で行き倒れていた俺は、片桐陶子という人間に拾われた。トーコはこれまでに味わってきたどんな人間よりも美味い血液の持ち主で、俺はもう一口飲んだ瞬間にその味の虜になった。トーコはPCやゲームばかりしていて俺のことなんか全然構ってくれないし、地味で目立たない顔してるけど、でも本当にすっごく美味い血の持ち主で、時々殴られたりするけど、機嫌がいいときは頭を撫でてくれることもあるし、ご飯も作ってくれたんだ! この間、俺はトーコの血が一番好きなんだけど、一応普通のご飯も食べれるから、そのことを言ったらトーコは自分の食べてた“かっぷらーめん”っていうやつを俺にくれて……ん? あれ、トーコが呼んでるから、また今度な!
※トーコさんと咲さん
「あ、咲さんお久しぶりです」
「あら、トーコちゃん。こんばんは。ルシファーはお留守番?」
「あ、いえ今日は祥子さんのお家にお泊りするって言ってました」
「ああー、あのオバさんね」
オバさん……。
「さ、咲さんて祥子さんのこと」
「別に嫌いじゃあないわよ? ただ、あの人派手じゃない? いい年してあの格好はないと思うのよねぇ。それに香水くさいし」
咲さんも人のこと言えないんじゃないかなー。
「なによりルシファーの愛人ってみんなキャラ被ってて嫌なのよね」
“みんな”ってことは自覚あるのか。
「皆さんキレイな方が多いですよね」
色気たっぷりな美人さん揃いで羨ましいわ、正直。
「でも私トーコちゃんは好きよ」
「どういう意味ですか、それ」
ルシファーの血液提供者(=愛人)は妖艶美人なお姉さんタイプが主です。
面食いめ。
※おにいちゃんとトーコさん
「やあ、奇遇だねぇ、トーコちゃん」
「……」
「いやだなぁ、そんなに嫌な顔しなくてもいいじゃないか。そんなに俺のことが嫌い?」
「美形という人種が苦手なもので」
「ふうん?」
「……なんです、その何か言いたげな目は」
「いや、ルシファーも世間では充分美形の部類に入ると思うんだけどね」
「あれはただのペットですから」
「なるほど」
※ルシファーとトーコさん
「トーコぉ……」
ぎゅむ。
「まとわりつかないでウザイ」
「トーコ構って。今日満月が近いから人肌恋しくてたまらない」
「愛人さんのとこに行ってくれば?」
「俺、今日はトーコがいい」
「っああああああ!」
「!?」
びくっ
「ちょっと、ルシファーが引っ付いたせいでミニゲーム失敗しちゃったじゃない! どうしてくれんの!」
「ゲームなんかやめて俺の相手をすればいいとおも」
「変なことほざいてると埋めるぞ」
「埋め……!?」
どこに!?
※ルシファーとトーコさん
「ルシファー、今日友達くるからちょっと外出ててくれないかな?」
「!?」
ガーン!
「トーコ、俺のこと友達に見られたくないのか?!」
「うん」
ガーン!
「なんでだ」
「ええ? なんでって……むしろ、ルシファーはいいの?」
「?」
「今日これからオタクな友達と集まってめちゃくちゃマニアックなアニメ上映会した後、そのアニメについての感想言い合って、みんなが持ち寄った同人誌アンド乙女ゲーム(十八禁含む)を読んだり貸したりしてかなーりディープな夜を過ごす予定なんだけど、あんた耐えられる?」
「イ、イッテキマース」
※ルシファーとおにいちゃん
「るー、しふぁー」
「あ、オーギュスト兄ちゃん」
「久しぶりだなぁ、お前元気にしてたか?」
「おう! 元気満々だぁ。今日はトーコが二日ぶりに血をくれたからな、とっても気分がいいんだ!」
「おおー、それはよかったなあ。お前いつもトーコちゃんの血美味い美味いっていってるもんなあ」
「トーコの血は世界一だ!」
「そっかそっか、よし、そんなに美味いなら今度俺も」
「陶子に手を出したら灰にするぞ」
「……」
おまっ、そんな顔でにーちゃんを睨むなよな……。
※ルシファーと咲さん
「ルシファー」
「ん?」
「なに考えてるの」
「トーコのこと」
「ほぉー」
ぎゅぅ
「いてっ! なんで抓った!? 咲!」
「なんでもなにも、自分といる時に男が他の女のこと考てたら普通はいい気しないわよ」
「そ、そっか。悪い」
「どういたしまして。ルシファーの正直なところ好きよ、私」
にっこり。
「で、どうしたの?」
「うん? なにが」
「あの子と、トーコちゃんとなにかあった?」
「え? うえ? ええと、咲、今トーコのこと考えちゃ駄目って」
「私が話題振る分にはいいの。で? 喧嘩でもした?」
「喧嘩って言うか……」
「なに?」
「今日、トーコが寝言で『私もう二次元に移住する!』って言ってて……」
「……」
「トーコが『にじげん』の世界に行っちゃったら俺どうすればいいんだろう。トーコの血は好きだし、トーコ自身も大好きだけど、でも俺『にじげん』の世界の行き方わからないし、いま咲といる間にトーコが一人で『にじげん』の世界に行っちゃったらって思うと、俺いてもたってもいられなくて……」
「大丈夫よ、絶対にないから」
何ていう寝言を言うんだ、あの子は。
※ルシファーとトーコさん
「な、なあトーコ」
「んー」
「俺は今日、素晴らしい言葉を覚えたんだ」
「なに?」
「俺はトーコのことを好きだけど、今まであまりに好き過ぎてそれを上手く言い表す言葉が見つからなかった。でも、今日この想いを表現するピッタリの言葉を見つけたんだ!」
「ねえ、ルシファーそれって……」
「トーコ、俺はお前のことが『食べちゃいたいくらい好」
「黙れ」
言うと思ったわ。