ルシファーとトーコさん(吸血鬼×オタク女子※会話のみ小ネタ)
私は今、吸血鬼を一匹飼っている。
名前はルシファー、性別は♂。年齢は二八五歳(自称)で、外見は金髪赤眼のギリシャ彫刻並みいい男……なんだけど、この吸血鬼とにかく『ウザイ』。数週間前に公園で行き倒れになっていたのを助けて以来なぜだか懐かれてしまって……ああ、早く出て行ってくれないかなぁ。
※ルシファーとトーコさん
「トーコ、トーコ、俺ハラ減った……」
「んー、ちょっと待ってねー」
「待てない。俺もうハラ減りすぎて死にそう」
「大丈夫、大丈夫。空腹くらいじゃ吸血鬼は死なないから」
「死ぬよ! トーコは俺が餓死してもいいのか?」
「そうねぇ、扶養家族が一人減って家計が助かるわねぇ」
「!?」
ガーン
※ルシファーとトーコさん
「トーコ、トーコ、俺なんか変」
「んー? 変ってどんな風に」
「なんか、死にそうかも」
「ふーん」
「!?」
ガーン
「お、俺が死んだらト、トーコのせいだぞ!」
「ええ? なんで?」
「トーコがパソコンばっかやってて、俺のこと全然かまってくれないからだ!」
「はいはい、嘘乙、嘘乙」
「っ!!」
ガーン
「そもそもわたしが構わないとルシファーが死ぬっていうのが意味わかんない」
「それはだな! 俺は寂しいと」
「『寂しいと死んじゃうからだ』とかくだらないこと言って人のPCの邪魔したんならどつきまわす」
「っ――!」
図星か。
※ルシファーとトーコさん
「るーしふぁっ」
ぎゅむっ
「ふ、ふえ!? ト、トーコどうしたんだ、急に抱きついてきて」
どきどき
「えへへ~、聞いてくれる?」
「お、おう」
ごきげんなトーコかわいいなぁ……。
「ジャーン! 今日発売の予約特典付き新作乙女ゲームがさっき届いたのー!」
「え……?」
「今回のは絵師さんもシナリオライターさんも、すっごく好きな人でね、声優さんも有名な人ばかりだし、なにより私のお気に入りの人ばかりで、ルートによっては逆ハーエンドもあるらしいし、うわぁ、もう誰から攻略していいかわかんないよ、コノヤロウ!」
うふふ、うふふ
「あ、あのトーコ?」
「っていうわけで、ルシファー、わたし今から部屋に籠もるからしばらく入ってこないでね」
「えええっ、トーコ、俺のメシは!?」
「誰でも好きな人のところ行ってもらってくれば?」
「好きな人って、俺はっ」
「あ、そういえば咲さんが今日空いてるみたいなこと言ってたっけな、ちょうどいいや、ルシファー彼女のとこお泊りしに行きなよ」
「ちょ、トーコ!」
「ちゃんと礼儀正しくするんだよ? ルシファーがアホなことしたら、飼い主のわたしまで非が及ぶんだからね。お行儀よくして。はい、それじゃ、行ってらっしゃーい」
「トーコぉぉぉ!」
ルシファーはトーコ以外にも血液提供者がいます。しかもみんな美人(お約束)。
※ルシファーとトーコさん
今日はルシファーの誕生日。
「トーコー」
「なに?」
「俺、今日誕生日だぁ」
「へー」
「……へーって、それだけ?」
「ん? ああ、誕生日オメデトウ。いやあ、メデタイメデタイ」
「ええー!」
「ええーってなによ。なんか欲しいものでもあるの? あんたなんだかんだいってお金持ちなんだから自分で買えばいいじゃん」
「つ、冷たい!」
「ああ、ごめんごめん。聞いてあげるからそんなところで床に『の』の字かかないの。部屋の中が暗くなるじゃない。で、何が欲しいわけ」
「トーコ!」
「うん?」
「ええと、トーコ!」
「……? 何、ちゃんと聞いてるから早く言いなよ」
「え、ええ? えっと、だからトーコ」
「はい?」
「俺、トーコが欲しい!」
「はあ?」
「……」
「え、えと……」
「……」
「……」
「あ、あの、スミマセンデシタ……」
「わかればよろしい」
飼い主に下克上しようとするなんて百年早いわ。
※ルシファーとトーコさん
今日はトーコさんの誕生日。
「トーコ! トーコ!」
「んん、なに? こんな朝っぱらから……」
「トーコ、今日は何の日だと思う!?」
「んー? さあ」
「ふっふっふー、駄目だなぁ、トーコは。ハッピバースデー、トーコー! さーて、トーコは一体今日で何歳になっ」
「女性に年聞く馬鹿は滅べ」
※ルシファーとトーコさん
「トーコぉ」
「ん?」
「なあ、なんでトーコは『おとめげぇむ』ばっかりやってるんだ? 『にじげん』のやつらなんかよりも、現実にもっといい男が沢山いると思うんだ。ほら、例えばおr」
「ねえ、ルシファー」
「うん?」
「喧嘩売ってるなら買うけど」
「え? えぇ!?」
なんでそんな話になるんだ?!
「二次元馬鹿にするやつは地獄に落ちろ」
※おにいちゃんとトーコさん
ルシファーには百と二十二歳年上の兄がいる。
「トーコちゃん」
「……あ、どうも。こんにちはオーギュストさん」
この人苦手なんだよなぁ。
「つれないなぁ、もっと気軽にオーちゃんって呼んでくれていいのに。あ、もちろん呼び捨ても可だけど」
「え? オッちゃん?」
「……天然なところも相変わらず可愛いね、トーコちゃんは」
「いや、わざとですけど」
「そうだ、ところで俺の可愛い弟は元気にしてるかな?」
「スルーですか」
「君のような美しい人の家に居候なんて、実に羨まし……げふんげふん。そうだ、今から弟の顔を見に行きがてら君の家に」
「すみません、家狭いので弟さんとの再会は外でお願いします」
※ルシファーとトーコさん
お食事中。
「ん……」
「……」
「ねえ、ルシファー」
「うん?」
「わたしの血ってそんなにおいしいの?」
ふと気になって問いかけると、ルシファーはわたしの首元にうずめていた顔をあげて、満面の笑みを浮かべた。
「ああ、美味いぞ! 俺こんなに美味い血は初めて飲んだ」
「そんなに?」
「トーコに初めて血もらったときな、俺あまりの美味さにうっかり全部飲み干しそうになったんだ。こんなことは滅多になくて、いつもちゃんと自制して飲んでるんだけど、でも、あの時は本当にやばかった。ギリギリのとこで踏みとどまらなきゃ、今こうしてトーコの血を味わうこともできなかったかもしれないもんな。それくらいトーコの血は美味くて、今でもちょっと気を抜くと我慢できなく……、あれ? トーコ、どうしたんだ、そんな顔して」