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最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第1章:無能と呼ばれた少年、学園で“隠しても隠しきれない力”を見せてしまう

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第6話:隠そうとしても隠れない。上級魔法まで再現してしまうリオ

 午前の騒動が落ち着くどころか、昼をすぎても演習場での出来事はクラス中の話題になっていた。


「天城リオって、あれ本当に基礎科?」

「いや、どう見ても強すぎただろ……」

「模擬戦、瞬殺だぞ?」


 そんな視線を浴びながら教室に戻るのは、正直、地獄だった。

 席に座った瞬間、あちこちから刺すような気配を感じる。


(……はぁ。これ、どれだけ引っ張るんだろう)


 隠れて過ごしたい気持ちとは裏腹に、周囲は僕の存在に注目している。

 フィアもセレナもエリスもミュリスも、僕が何か答えるのを待っているような空気だった。

 けれど僕は、何も言えなかった。


(僕の力なんて……説明できるわけがない)


 そう思いながら授業の開始を待っていると、教室の扉が開き、クロード教官が姿を見せた。


「……では午後の実技授業に入る。全員、訓練場へ移動だ」


 淡々とした声。けれどその奥に、僕だけが感じ取れる微かな興味が宿っていた。


(やばい……この人、絶対に昨日から僕を観察してる……)


 そう感じながら訓練場へ向かうと、今日は光魔法の基礎応用を扱うらしかった。


「まずはフィア、前へ」


 呼ばれると同時に、フィアは凛とした様子で教壇へ出た。

 淡い光が指先に集まり、彼女の周りの空気が静かに震える。


 次の瞬間——


 眩い光が砲撃のように一直線に放たれ、標的の魔導石を正確に撃ち抜いた。


 訓練場中がざわめき、歓声が上がる。


「さすが光属性の天才……」

「フィア先輩、やっぱ強い……」


 フィア自身は当たり前のような顔で席へ戻ってきたが、僕はその光の軌跡から目を離せなかった。


(……きれいだな……いや違う、今の魔力循環……)


 気づけば脳が勝手に解析を始めている。


 魔力の溜め方、光の収束、放射角、干渉の逃がし方……

 見た瞬間にすべてが「理解」の領域に落ちてくる。


(やめろ……理解するな……また面倒なことになる……!)


 必死で思考を止めようとするのに、身体の奥底にある《完全適応》は反応を止めない。


「次。天城リオ、前へ」


「……え?」


 クロード教官の声が、演習場に落ちた。


「君にも同じ魔法を試してもらう。安全性は確保するから心配はいらない」


「え、いや、その……僕、魔力ゼロで……!」


「魔力は“ゼロ”でも“扱えない”とは言っていないだろう?」


 ……この人、絶対に何か気づいている。


 逃げ道がなく、僕はしぶしぶ前に出た。

 周囲の視線が熱くて、肌がひりつく。


「天城、構えなさい」


「こ、構え……?」


「フィアがさきほど行った魔法の“形だけでも”再現してみるといい」


(形だけ……? そんなのできるわけ——)


 そう思っていたはずなのに。


 指を前へ向けた瞬間、光が生まれた。


 意識ではなく、反射。

 魔力ゼロのはずなのに、周囲の魔力が勝手に指先へ流れ込んでくる。


(ちょっと待って……なんで……?)


 光が膨らみ、収束し、フィアの魔法と同じ形になり——

 いや、より精密に整えられていく。


「リ、リオ……?」

「嘘……でしょ……?」

「いやいやいや、なんでだよ……!!」


 クラスのざわめきが爆発するのを感じた。


 そして——


「——《光閃こうせん》。」


 僕の口が勝手に呟き、放たれた光が一直線に飛んだ。


 標的の魔導石が、光も音もなく二つに裂けて地面に落ちる。

 周囲が沈黙した。


 風の音すら聞こえない。


(……え? 僕……今、何した……?)


 反射だ。

 意識の外で、適応が勝手に組み立てた魔法を放っていた。


「今の……上級魔法じゃない……?」

「いや、形がもっと鋭い……自分で改良してる……?」

「魔力ゼロじゃなかったのかよ……!」


 想像の何倍も騒がれ始めた。

 訓練場の全員が、僕を見る目を変えていた。


 フィアは口を開けたまま固まり、

 セレナは息を呑み、

 エリスは心配そうに、

 ミュリスはニヤリと笑っている。


「……リオ君」


 静かに歩み寄るクロード教官の声に、背筋が震える。


 その眼差しは鋭く、しかし落ち着いていた。


「君は……何か隠しているね?」


「い、いえ……あの……ほんとに……なんとなく、で……」


「“なんとなく”で上級魔法を再現し、しかも精度を上げる者がいるとでも?」


「…………」


 答えられなかった。


(終わった……完全に終わった……)


 もう誰も、僕を“無能”とは思っていない。

 むしろ——危険だと思われても不思議じゃない。


 訓練場の隅で、誰かが囁いた。


「……あいつ、本当に何者なんだ……?」


 その声だけが、いつまでも耳に残った。

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