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最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第6章:世界分岐の刻――揺らぐ均衡と支える四つの想い

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第39話:明かされる真実――リオの力の“本当の出自”

 夜の裏道は静まり返っていた。

 遠くで聞こえる結界の軋みさえ、今はただ不気味な風音に混ざっていく。

 ミュリスに手を引かれながら走っているのに、胸の奥の脈動は重く沈む一方だった。


(どこまで逃げても……この感覚は消えないのか)


 封印の欠片がじわりと痛みを帯びる。

 この痛みは、ただの疲労や緊張ではない。

 もっと深いところで動いている“何か”の反応。


「……リオ、止まろ?」


 ミュリスがふいに足を止めた。

 その声がかすかに震えていると気づいた瞬間、胸がざわついた。


「どうしたの、ミュリス」


「言わなきゃいけないことがあるの。

 ずっと……伝えたかったけど、怖くて言えなかった」


 月明かりに照らされた彼女の表情は、これまで見た中で一番“深刻”だった。


「リオの力……その本当の出自のこと」


 心臓が跳ねた。


「前にも言った通り、あなたの中には“古代魔族王の欠片”がある。

 でも、それだけじゃないの」


「……それだけじゃ、ない?」


 自分でも驚くほど声が弱く震えた。


 ミュリスは一歩近づき、胸の上にそっと手を置いた。


「リオの力はね……世界の理から外れてる」


 息が止まる。


「世界の……理?」


「そう。

 本来なら、すべての生命、すべての魔力は“世界の流れ”に従ってる。

 精霊たちが作った均衡の上で生きてるの。

 だけど――リオは、その外側にいる」


 外側――

 その言葉は、あまりにも重かった。


「あなたの魔力は、どの流派にも属さない。

 精霊の加護も受けないし、魔族の根源にも染まらない。

 たとえば……」


 ミュリスは魔力を少しだけ指先に集め、

 僕の胸の近くへ持っていった。


 紫の魔力が触れた瞬間、

 僕の中の“何か”がそれを吸い込み、飲み込んだ。


「ほら。

 普通の人間にこんなこと……起きないよ」


(僕の中で……魔力を“消してる”?)


 怖い。

 本当に、怖い。


「リオの中にある欠片は、古代魔族王の力。

 でもその器――あなた自身は、それ以上の存在なんだよ」


「……それ以上って……なんなんだよ……」


 声が震え、喉が痛くなる。


 ミュリスは唇を噛み、

 それでも僕から視線を逸らさなかった。


「あなたは“世界が想定していない存在”。

 だから精霊は恐れたし、魔族の上層は喜んだ。

 そして……世界そのものがリオに反応してる」


(世界そのものが……僕を……?)


「世界にとっては、“外側”は異物なの。

 排除するか、取り込むか。

 どちらかに傾いた瞬間、均衡は壊れちゃう」


 足元が揺れたような錯覚がした。

 頭の奥で、低く唸るような音が響く。


(僕は……そんな危険な存在……?

 本当に……誰かを壊してしまう……?)


 息が荒くなりかけたその時、

 ミュリスが両手で僕の頬を包んだ。


「でもね……私は知ってる。

 リオは“優しい”って。

 誰よりも優しくて、誰も傷つけたくなくて……

 そのために苦しんでることも」


「……ミュリス……」


「力は関係ない。

 世界が何を決めても、私はリオを“リオ”だと思ってる」


 その言葉に、胸の奥の脈が少しだけ静まる。


 ほんの一瞬――

 救われたような気がした。


 けれど同時に、

 封印の奥がわずかに軋んだ。


 ドクン……


(僕は……どうすればいいんだ)


 世界の理から外れた存在。

 排除されるか、王として奪われるか――

 そんな場所に、自分が立っているとは思わなかった。


 闇の中、

 吐いた息だけが白く消えていった。

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