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最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第6章:世界分岐の刻――揺らぐ均衡と支える四つの想い

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第37話:魔族の評議会が動く――『王の器だ。迎え入れよ』

 大陸の深層、闇の魔力が渦巻く領域――

 そこに、魔族だけが踏み入ることを許された“古層の玉座”が存在する。

 石柱には古代文字が刻まれ、紫黒の霧が地表を静かに満たしていた。


 評議会の中心に浮かぶのは、ひとつの映像。

 武闘祭でのリオの動き、魔法の再構築、巨獣を一撃で砕いた瞬間。


 その場の空気は、精霊側とはまるで別物だった。

 恐れではなく――期待が満ちている。


「これが人間の少年……? いや、あれはすでに人の範疇ではない」


「完全適応……間違いなく“王の血”の反応だ」


「欠片の覚醒が始まっている。

 ならば我らの側へ迎えねばなるまい」


 ざわめく評議会の中で、最も古い魔族が重く頷いた。

 その姿は影に紛れ、輪郭すら定かでない。


「古代魔族王の力……あの揺らぎを忘れた者はいないだろう。

 千年前、世界の均衡を左右した力が、いま再び目を覚ましたのだ」


「しかし――人間に宿るとは異例。

 制御は可能か?」


「問題ない。

 器が優れている。

 あの少年は“闇”ではなく“調和”の体質を示している」


「つまり……」


「“王としての資質がある”ということだ」


 玉座の周りがざわめきに満たされ、

 やがてひとつの方向へ意見がまとまっていく。


「迎え入れよ」

「我らの後継者として」

「失われた王家の再興のために」


 その言葉が重なった瞬間、

 評議会の中央に紫の光が集まり、魔族特有の紋章が闇の中で静かに輝いた。


「人間の社会に身を置いているのなら……

 こちらから“使者”を送るまでだ」


「少年が拒む可能性は?」


「拒まれても構わぬ。

 いずれ傷つき、追い詰められ、理解する日が来る。

 我らが“唯一の居場所”だということを」


 その声音には、支配でも強制でもなく――

 奇妙なほどの慈愛に近い感情が滲んでいた。


「……ならば決まりだ。

 完全適応の器を、我らの王として迎える」


 闇の霧が濃くなり、評議会が一斉に立ち上がる。


 その瞬間――

 大陸を流れる魔力がひそかに震えた。


 精霊たちがリオの排除を決めた直後であることを、

 魔族たちも察していた。


「精霊どもが騒ぎ始めたか」


「奴らは“危険因子”と呼ぶらしいな」


「ならば尚のこと、我らが保護すべきだ。

 封印の罪を少年に背負わせるわけにはいかぬ」


「世界の二つの理が動き始めた。

 誰が少年を手に入れるか……で未来が決まる」


 最後に、評議会長が静かに命じた。


「至急、使者を送れ。

 あの少年――リオを迎えに行く。

 我ら魔族の“王候補”として」


 紫の霧が渦巻き、闇の門が開いた。


 その先にあるのは、人間の学園都市アルケディア。


 少年の運命を巡り、

 世界が静かに――しかし確実に、分裂していく。

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