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最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第5章:魔法武闘祭――隠しきれない力が、ついに世界の目に触れる

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第35話:暴かれる“影の守護者”の正体――ヒロイン全員が確信する

 巨獣が砂のように崩れ落ちたあと、

 競技場は静寂に包まれていた。


 悲鳴も歓声もない。

 ただ、生徒も観客も教師も、

 誰ひとりとして息をすることすら忘れたように僕を見つめていた。


(……やばいな)


 握りしめた拳から、まだ熱が引かない。

 完全適応の余韻が神経を震わせ、

 胸の奥で封印がゆっくりと脈動している。


(どうしよう……絶対にバレた……)


 そんな焦りとは対照的に、

 観客席から小さな声がこぼれた。


「今の……何だ……?」

「拳一つで……巨獣が崩れたぞ……?」

「誰なんだ、あの黒髪の少年は……」

「新入生……? いや、帝国の……いや教国の……?」


 憶測が一気に広がっていく。

 混乱は収まらず、むしろ場内の熱は異様な方向へ膨れ上がっていた。


「影の守護者……って噂、まさか……」

「あの子じゃないのか……?」


 ざわつきが肌を刺すように伝わる。


(……参ったな。本当に隠せなくなった)


 逃げるべきだと思った。

 でも結界はまだ閉じられたままで、出口はない。


 そんな中で――

 僕へゆっくりと、四つの影が近づいてくる。


 フィア。

 セレナ。

 エリス。

 ミュリス。


 全員が違う表情をしていた。

 けれど胸の奥に秘めた“確信”だけは同じだった。


 最初に口を開いたのは、フィアだった。


 光を反射する金の瞳が揺れながらも、

 どこか誇らしげに僕を見つめていた。


「……やっぱり、あなたは特別。

 ずっと分かってた……こんなこと、普通の人にできるはずないもの」


 彼女の声は震えているのに、迷いはなかった。


(フィア……)


 次に、セレナが歩み寄る。

 風のように無駄のない足取りで、真っ直ぐ僕の前に立つ。


「これで確信した。

 私は、もう迷わない。

 お前がどんな存在でも……私は隣に立つ」


 その言葉は、鋼のようにまっすぐだった。


(どうして……そんな顔ができるんだよ)


 エリスが胸の前で手を重ね、

 丁寧に息を整えながら僕を見つめた。


「ずっと感じてたの……

 あなたの“異質さ”。

 でも、だからこそ……守りたいと思った」


 涙が浮かんでいるのに、

 その瞳はとても強かった。


 最後にミュリスが笑顔で歩いてきた。


 怖い出来事があったはずなのに、

 いつもと同じ調子で言葉を紡ぐ。


「リオ……

 本当の意味で“目覚めた”ね。

 これが……あなたの力なんだよ」


 その声には怯えも拒絶もなかった。

 むしろ優しさだけが滲んでいる。


 なにも言えなかった。


 四人が僕を囲むように立ち、

 逃げ道も隠れ場所もない。


 観客の視線、教師の視線、帝国や教国の監視……

 あらゆる目が僕へ集中している。


(もう……隠し通すのは無理だ)


 胸の封印が静かに脈動する。


 ドクン……。


 それはまるで、

 “お前はもう普通には戻れない”

 そう告げているようだった。


 四人の確信と、観客のざわめきと、

 封印の脈動が重なり――


 逃げ場のない現実だけが僕を取り囲む。


(……どうしたら、よかったんだろう)


 声が出ない。

 ただ、四人の視線を受け止めることしかできなかった。


 その瞬間、

 僕の“隠していた正体”の一端が、

 完全に暴かれたと理解した。


 胸の奥が、静かに痛んだ。

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