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最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第5章:魔法武闘祭――隠しきれない力が、ついに世界の目に触れる

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第34話:巨獣襲来――結界を破ろうとする魔獣を“たった一撃”で沈める

 競技場の熱気が、一瞬で凍りついた。


 空が震えたかと思うと、

 観客席の上空に黒い裂け目が走り、

 そこから“何か”が這い出してきた。


 巨大な爪。

 岩のような黒い鱗。

 異界の魔力が渦を巻く赤い瞳。


 召喚された巨獣が、唸り声とともに地上へ叩きつけられた。


 地響きが走り、会場全体に悲鳴が上がる。


「な、なんだあれ……!」

「S級魔獣だ!」「なんでこんなのがここに……!」


 結界が軋む音が耳を刺した。


《外部術式干渉の疑い。結界強度、低下――》


 光の膜が波打ち、

 巨獣がその結界へ爪を叩きつけるたび、

 亀裂のような光が走った。


(これ……まずい)


 巨獣が結界を破れば、

 観客席の一般生徒は逃げ場を失う。


 誰かが叫ぶ。


「騎士団は!?」

「実戦科は何をしてる!?」

「止めろ、早く止めろ!!」


 実戦科の上級生たちが攻撃を仕掛けるが――


 剣が通らない。

 魔法が弾かれる。

 巨獣は傷ひとつ負わない。


 セレナが食いしばった声で叫んだ。


「まずい……あの皮膚、魔力障壁が三重……!

 誰か……誰か止めないと……!」


 フィアは震える手で杖を構えながら、

 呆然と呟いた。


「私の光じゃ……間に合わない……」


 ミュリスは目を見開いたまま硬直し、

 エリスは涙を浮かべながら必死に結界を補強している。


(本当に……みんな……死んじゃう)


 胸が脈打つ。


 ドクン……。


 完全適応の鼓動。

 今までよりずっと深く、鋭く、熱い。


 巨獣が再び結界へ爪を振り下ろそうとした瞬間……

 僕は前へ歩き出していた。


「リオ!? どこへ行くの!」

「やめろ! 無茶だ!」

「戻れ、あれは本物の災害だぞ!!」


 耳に届く声を無視した。


(僕が行かなきゃ……誰かが死ぬ)


 本当に、それだけだった。


 巨獣の真下へ辿りついたとき、

 観客席のざわめきが一斉に僕へ向かった。


「無理だ……!」「子どもが行くな!」

「巻き込まれるぞ!」「戻ってこい!!」


(わかってるよ……僕だって怖い)


 でも、足は止まらなかった。


 巨獣の赤い瞳が僕を捉えた瞬間、

 空気が歪んだ。


 殺意。

 魔力。

 存在そのものが“敵意の塊”。


(……速いな)


 でも、身体の奥が自然と応えた。


(この距離、この速度、この魔力密度……

 中心核の位置は……ここだ)


 理解した瞬間、

 完全適応が全身を駆け抜けた。


 巨獣が咆哮し、黒い大爪を振り下ろす。


 地面が割れ、空気が裂ける。


 観客席が悲鳴で満ちる。


(……届く)


 僕は踏み込み、拳を握りしめた。


 一切の迷いもなく、

 巨獣の胸の“中心”へ向けて拳を伸ばす。


 音は――なかった。


 本当に、なかった。


 拳が触れた瞬間、

 巨獣の皮膚、筋肉、魔力障壁、中心核――

 すべてが同時に“無力化”され、

 巨獣は音もなく崩れ落ちた。


 巨体が砂のように砕け、

 地面に沈む。


 残ったのは、静寂だけ。


 観客席の全員が、動きを止めていた。


 息を吸う音すら聞こえない。

 時間そのものが止まったような空気。


 誰かが震える声を漏らした。


「……………………は?」


 その一言が、会場全体を貫いた。


「今……何が……」

「拳……だよな?」「魔法じゃなくて……拳……?」

「S級魔獣が……一撃……?」

「嘘だろ……誰だよあいつ……!」


 ざわめきが盛り上がることもなく、

 驚愕と困惑だけが静かに広がっていく。


(……また僕は……目立っちゃった)


 胸の奥で封印が脈打つ。


 ドクン……ドクン……。


(嫌だ……また力が……)


 背中に冷たい汗が伝った。


 一撃で巨獣を砕いた拳を見つめながら、

 僕はただ静かに息を吐くことしかできなかった。

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