表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第5章:魔法武闘祭――隠しきれない力が、ついに世界の目に触れる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/48

第32話:初見殺しの連続――最強剣士の技を“見た瞬間に超える”

 影の気配を払い終えたのと同じ瞬間、競技場全体の空気が変わった。

 ざわつきが凍りつき、観客席の視線が一点へ吸い寄せられるように集まっていく。


 中央通路の先から、重い足音を響かせてひとりの男が歩いてきた。

 真紅のマントを揺らし、帝国の紋章を刻んだ大剣を携えた剣士。

 鍛え抜かれた肉体と、鋭い殺気が周囲の空気を押し潰していた。


「乱入者。名を名乗れ」


 低く響く声に、思わず顔をしかめる。


「……名乗りたくないんだけど」


「ならば倒して黙らせるだけだ」


 剣士が一歩踏み出すたび、石畳がわずかに沈む。

 彼の気迫に、まるで本来の競技の場ではないような圧力が満ちていく。


 セレナが叫んだ。


「リオ、下がれ! あいつは実戦科でも最強クラスだ!」


 しかし下がる場所はどこにもなかった。結界は完全に閉じられ、僕を逃がす気など欠片もない。


(……もう、やるしかないのか)


 帝国剣士は迷わず踏み込み、その大剣を高く振り上げた。

 剣が風と魔力を巻き込みながら落ちてくる。

 その瞬間、僕の目には彼の動きが“止まって”見えた。


 振り下ろす前の肩のわずかな緊張、腰の回転角度、足の位置、靴底の摩擦の方向。

 大剣を扱うための最も効率的な軌道が、まるで線を描くように脳内へ流れ込む。


(ああ……この技、分かる)


 気づいた時には身体が横へ滑り、完璧な回避をしていた。

 髪先すら触れさせず、影のように剣の死角へ回り込む。


「……なっ!?」


 帝国剣士の驚愕が聞こえる。

 だが、まだ終わっていなかった。


 彼は即座に半回転し、逆袈裟の高速二連撃を撃ち込んできた。

 帝国流剣技の極致。

 熟練の戦士ですら扱いを誤れば自滅するほどの高難度の奥義。


 しかし僕の頭の中では、剣が振り上げられた瞬間に“別の技”が出来上がっていた。


(この技なら、こっちのほうが強い)


 理由なんて分からない。

 ただ、そうした方が良いという確信だけが脳に流れ込んでくる。


 落ちていた試合用の木剣を拾い、剣士の軌道より半拍早く振り抜いた。

 その一撃は大剣の中心を正確に叩き、相手の力の流れを完全に折る。


 金属が悲鳴を上げ、剣士の握力が砕ける。

 大剣が軌道を外れ、帝国剣士はよろめきながら後ろへ退いた。


「ぐっ……あり得ん……!

 この技を……見ただけで……!」


 観客席が水を打ったように静まる。


 そして――ざわめきが爆発した。


「今の、見えたか?」「速すぎて分からなかったぞ!」

「木剣で帝国の剣士の奥義を!?」「なんなんだあいつ……!」


(ああ……本当に最悪だ……)


 どうしてこうなるのか。

 静かに観戦していたかっただけなのに。


 フィアが震える声で呟く。


「やっぱり……リオは……」


 その瞳は確信で満ちていた。


 セレナは僕を見て目を大きく見開き、驚愕と安心が入り混じった声を漏らす。


「お前……本気を出せば……ここまで……強かったのか……」


 エリスは口元を押さえながら涙ぐみ、

 ミュリスはにっこりと微笑んだ。


「ね、言ったでしょ? リオはすごいんだから」


 帝国の兵たちはざわつき、ざんばら髪の男が叫ぶ。


「あの黒髪……! 噂の“怪物”だ!」

「報告しろ! 将軍に伝えろ!」

「もう戦術レベルじゃない……!」


 胸がざわつく。

 もうこれは“隠せるもの”じゃない。


(また……封印が……)


 胸の奥の欠片が震えた。

 学園の熱気とは関係なく、冷たい脈動が全身を巡る。


(……本当に、普通のままじゃいられないんだな)


 覚悟が、遅れて胸に降りてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ