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最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第5章:魔法武闘祭――隠しきれない力が、ついに世界の目に触れる

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第31話:乱入――リオ、ついに表舞台へ

 叫び声が聞こえたのは、裏道を走っている最中だった。


 金属が弾ける音。

 風が裂ける鋭い衝撃。

 そして――セレナの、押し殺したような息遣い。


(……危ない!)


 胸の奥で封印の欠片が強く脈打つ。

 気づけば僕は走る速度をさらに上げていた。


 視界がぶれる。

 階段を飛び越え、通路の角を壁を蹴って最短距離で進む。


 完全適応が発動している――

 意図せず、身体が“最適な動き”を勝手に選んでいた。


(間に合え……!)


 競技場の扉を抜けた瞬間、

 中央の戦闘フィールドでセレナが片膝をつき、

 影の刃が彼女の首元へ迫っているのが見えた。


「……っ!」


 叫ぶ暇もなかった。


 次の瞬間、観客席の上空から僕の身体は落ちていた。


 飛んだ覚えなんてない。

 気づいたら空気を裂いて落下していた。


 その速度は、“落ちる”ではなく――

 “撃ち込む”に近かった。


 影の襲撃者の刃がセレナの喉を裂く瞬間、

 僕の足が地を蹴った。


 ――ドン、と空気が爆ぜる。


 視界が白く光り、

 敵の腕があり得ない角度でねじ曲がる。


 床に影が崩れ落ちると同時に、

 僕はセレナの前に着地していた。


「……間に合った」


 息が荒い。

 でも動きは一切乱れていなかった。


 セレナが息を呑む。


「リオ……!?

 どうして……ここに……!」


「ごめん……勝手に身体が……」


 完全適応は、僕の意思なんて待たなかった。


 観客席が爆発したようにざわめく。


「今……誰か落ちてきたぞ!」

「転移魔法か!?」「いや違う、速すぎる!」

「影が一瞬で吹き飛んだ……!」

「黒髪……誰だあいつ……!?」


(うわ……最悪だ……!)


 胸に嫌な汗が滲む。


(僕、思いっきり……人前に出ちゃってる……!)


 セレナは立ち上がりながら、

 震える声で僕の肩を掴んだ。


「……助かった。

 本当に、ありがとう」


「いや……そんなつもりじゃなくて……」


 助けたかった。

 ただそれだけ。


 でも――

 それが一番“目立つ”形で起こってしまった。


 気づけば、戦場全体の視線が僕ひとりに向けられていた。


 審判も、生徒も、観客も、

 “黒髪の少年”を凝視している。


 さらに追い打ちのように、

 頭上の結界が光り、女性アナウンスの声が響いた。


《安全のため、結界を強化します。

 内側にいる者は一時的に退場できません》


(……は?)


 逃げ道は――ない。


 周囲の空気がざわりと揺れる。


「誰だあれ……?」

「黒髪……帝国が探してるやつじゃ……」

「いや、教国の名簿にも……」

「まさか“影の守護者”……?」


(ちょ、ちょっと待って……)


 嫌な汗が背中を伝う。


(見つかりたくなかったのに……どうしてこんなタイミングで……)


 しかし、その間にもセレナの周辺には敵の残滓が漂っている。

 彼女の後ろから新たな影が動く。


「セレナ、下がって!」


「っ――!」


 咄嗟に彼女を引き寄せ、

 迫る影の刃を腕で受け流す。


 金属音すらしないほどの速さで、

 敵の攻撃が空を切った。


 観客席が再び騒然となる。


「見たか!?」「何だあの動き!」

「武闘祭の選手じゃないぞ!?」「誰を呼んだんだ!?」


(……もう、どうしようもない)


 しっかり立ち上がり、影の群れを睨んだ。


(フィアたちの控室を狙ってた……

 その一部がここまで流れてきたんだ)


 敵の目的は明らかだった。


(……僕を引っ張り出すつもりだったんだな)


 深呼吸し、胸の奥の脈動を静める。


「……くそ」


 低く呟き、握った拳に力を込めた。


「……見つかりたくなかったのに」


 でも――逃げられない。


 結界が閉じ、観客の視線が集中し、

 影の襲撃者たちがこちらを囲む。


 完全適応の脈が跳ねる。


(……やるしかないのか)


 この瞬間、

 僕は“観戦組”ではなくなった。


 望まぬ形で――

 魔法武闘祭の舞台に立つことになってしまった。

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