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最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第5章:魔法武闘祭――隠しきれない力が、ついに世界の目に触れる

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第29話:学園最大の祭典“魔法武闘祭”開幕――リオは観戦組のはずだった

 朝から学園は、いつもとは比べ物にならない熱気に包まれていた。


 校舎の外壁には色鮮やかな旗が掲げられ、街のいたるところで露店が準備を進め、学生たちの声が高く響いている。


 昼から始まる――魔法武闘祭。


 学園全体、いや国をまたいで注目される一大行事だ。


「お祭りみたいだな……」


 寮の階段を降りながら呟くと、

 すでに制服ではなく競技用のローブに身を包んだフィアが待っていた。


「リオ、あんたも楽しむ気になった?」


「観戦だけならね。僕は出ないし」


「そう言ってると、絶対トラブルに巻き込まれるのよね……」


 フィアが何か言いたげにため息をついた。


 セレナも刀を背負って現れる。


「私は二回戦からだ。見ていろ、必ず勝ち上がる」


「うん、怪我だけはしないようにな」


「……お前に言われると、なんだか複雑だ」


 エリスは白いローブ姿で微笑み、

 ミュリスは元気に手を振りながら皆に続いた。


 四人が出場し、僕だけが観戦する。

 本来なら、これが“正しい形”のはずだ。


(僕は……戦いなんてしたくないし)


 胸に手を当てる。

 封印の脈動は今日も弱く続いている。


(静かに過ごせるなら、それでいいんだ)


 そう思いたかった。


 開幕式が始まると、学園都市が一斉に歓声に揺れた。


 広大な競技場には、各科の代表たちが整列する。

 観客席は早くも満席で、熱気が上空まで上がっていた。


「すごい人数だな……」


 観戦席の端で座りながら、僕はその光景に圧倒されていた。


 フィアは光属性の煌びやかな魔力で開幕戦を圧勝。

 観客が沸き立ち、光が花のように舞う。


 セレナは風をまとった剣技で相手を翻弄し、誰より滑らかに勝ち進む。


 エリスは聖属性の結界を展開し、守りながら相手の弱点を突く戦法で魅了した。


 ミュリスは……参加してはいけないと釘を刺されていたのに、

 なぜか紛れ込んで軽い魔法戦で勝ってしまった。


「ミュリス、なんでいるの……」


「えへへ、応援しに来たら流れで……」


「流れで出られる大会じゃないんだけど!?」


 笑い声が零れる。

 それが嬉しかった。


 こういう日常を、守りたい。


 心の底からそう思っていた。


 ――だが。


 その裏で、僕にはまったく見えない“別の戦い”が進んでいた。


 競技場の外周。

 屋根の上。

 観客席の影。


 そこに、三つの勢力が動いていた。


「対象の少年はどこだ」

 黒衣の者が結界越しに目を光らせる。


「帝国はすでに学園内部に潜んでいる。情報を出せ」

 鎧の男たちが小声で密談する。


「魔族の気配……多すぎ。これ……全部リオのせい……?」

 遠くの高台で、使い魔たちがざわめく。


 教国、帝国、魔族。

 それぞれが水面下で情報を奪い合い、

 互いに干渉し合い――結界がずっと揺れ続けていた。


 その揺れが、胸の奥に微かに刺さる。


「……まただ」


 胸に手を当てると、

 封印の欠片が静かに、しかし確かに反応していた。


 脈動は小さい。

 痛みも弱い。


 でも――


(この空気……嫌な気配)


 観客席のざわめきの中で、僕だけがその“別の気配”を感じていた。


(なんで……こんなに胸がざわつくんだ?

 誰かが……何かが……僕の名前を呼んでいるような)


 言葉にできないまま、胸の奥でその感覚が渦になる。


 そして、確信に変わっていく。


(――また、何かが動き始めてる)


 この日、僕はまだ知らなかった。


 この祭典の舞台が、

 たった一人の“黒髪の少年”を巡る争奪戦へと変貌しつつあることを。


 けれど胸の脈動だけが、はっきりと告げていた。


(静かに観戦するだけのはずだったのに……

 ――また巻き込まれるんだろうな)


 遠くの空で結界がかすかに揺れた。


 その震えが、僕の身体の奥まで響いていた。

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