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最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第4章:光と闇と軍勢――少年を巡る“三勢力の奪い合い”が始まる

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第26話:ノアとザガルド、初の接触――目的は“黒髪の少年”

 月の光が弱く差し込む夜。

 アルケディア学園の外縁――深い森の奥で、風が止まった。


 そこに立つ男の影は静かだった。

 黒い法衣が闇に紛れ、仮面が淡い光を受けてわずかに光る。


 ノアは、遠隔魔術で学園を観察した直後だった。

 その視線は一切揺れない。

 彼にとって世界は“秩序”と“異物”でしか分けられない。


「完全適応――やはりここにいる。

 封印がここまで揺らげば、対象は間違いない」


 抑揚のない声が闇に溶ける。


 その瞬間――地面が重く震えた。


 足音。

 巨大な魔力。

 まるで魔獣が突き進んでくるような圧。


 ノアは仮面をわずかに向けた。


 木々を押しのけて現れたのは、鋼鉄の鎧より硬そうな肉体を持つ巨漢。

 ザガルド将軍。

 帝国が誇る最強の魔闘士。


「ほう……ここにいたか、黒衣の男」


「……帝国の兵か」


 静と動。

 闇と炎。

 両者は相容れない空気を纏いながら向かい合う。


「この先に“黒髪の怪物”がいるらしいな」

 ザガルドの声は、森を振動させるほど低く響いた。


「怪物ではない。

 世界の均衡を壊す“欠陥”。

 ……ゆえに抹消する」


「抹消? そりゃ困るな」

 ザガルドは口角を上げ、不敵に笑う。

「帝国はそいつを“兵”として欲しがっている。

 次の魔族戦で使えるなら、手に入れておきたいんだよ」


「戦力として扱うつもりか。愚かだな」


「そっちこそ、勝手に消されちゃ困る。

 帝国にとって価値のある“素材”だからな」


 互いに言葉を交わしながらも、二人の間の空気は急速に冷え、凍りつく。


「邪魔をするなら排除する」

 ノアの声が一段低くなる。


「奇遇だな。

 俺も同じことを考えてたところだ」

 ザガルドが拳を鳴らす。

 骨ではなく、鉄塊がぶつかるような重い音が響いた。


 森の奥で、光のない風がざわめく。


 どちらも譲らない。

 どちらも退かない。

 目的は違えど、向ける先は同じ――


 黒髪の少年。

 リオ。


 遠くの木の上、細い枝に止まる小さな影。

 魔族の使い魔が、震える羽をすぼめながら二人を見下ろしていた。


「やだ……やだ……

 あれ、ミュリスの……リオを……」


 月の光が震える羽を淡く照らす。


「二つの勢力が……同時に来てる……

 リオ、逃げて……!」


 小さな声は風に掻き消され、誰にも届かない。


 ノアは仮面の奥で目を細めた。

 冷たい殺意がゆっくりと空気を侵す。


「帝国の干渉など、取るに足らない」


「……面白ぇ。

 その口ぶり、帝国を相手にしても勝てるつもりか?」


「勝つ必要はない。

 任務を果たせばよいだけだ」


 ノアが一歩踏み出す。

 ザガルドも同時に前へ出た。


 空気が裂け、森の獣たちが一斉に逃げ出す。


 もしこのまま衝突したなら、森がひとつ消し飛ぶほどの衝撃が起こるだろう――


 だが二人は、ぎりぎりで足を止めた。


 互いの力量を、理解したのだ。

 無駄な戦闘になりかねないと。


「黒髪の少年――必ず見つける」

「いや、帝国が先に捕まえる」


 互いに背を向け、別々の方向へ歩き始めた。


 目的は同じ。

 だが協力する気など微塵もない。


 その意志は、闇より黒く、鋼鉄より固かった。


 そして――二つの影が去った後の森には、

 ただ静かな夜風だけが残された。


 だがその風は、学園に向けていた。

 まるで次の嵐を告げるように。


(リオ……)


 誰も知らぬところで、包囲網だけが確実に狭まっていた。

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