表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第4章:光と闇と軍勢――少年を巡る“三勢力の奪い合い”が始まる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/48

第25話:フィアの直感、セレナの警戒、エリスの調査、ミュリスの恐れ

 その日の放課後、学園は夕陽に染まりながらもどこか落ち着かなかった。

 空気が微かに震え、結界の膜がかすかに波打っている。


 四人の少女は別々の場所にいた。

 しかし彼女たちの胸を満たす感情は、同じ“不穏”だった。


●フィア――光の揺らぎを読む者


 フィア・ルミナリエは、研究塔の頂でひとり杖を握っていた。


 夕空に浮かぶ結界の膜が、淡い光を散らしている。

 しかし今日は、その光がどこか歪んで見えた。


「……この乱れ、自然じゃない」


 彼女は光魔法を展開し、結界の層を細かく観察する。


 通常なら均等に広がるはずの光の流れが、

 まるで何者かに触れられたように揺れている。


(影の魔力……? でも、これはもっと冷たくて……狙いがはっきりしてる)


 胸がざわつく。


 リオが暴走した時に感じられたあの“圧”とは違う。

 これは外から侵入しようとする“他者の力”。


「リオ……やっぱり何かが近づいてる」


 風に乗った光の揺らぎが、彼の名を告げているように思えた。


●セレナ――剣に伝わる“殺気”


 セレナ・ヴァルクレアは寮の裏手でひとり刀を磨いていた。


 金属に布が触れるたび、刃が淡く光を返す。


 その瞬間――


「……っ」


 刃が震えた。


 風を読むことに関して、セレナの感覚は誰より鋭い。

 彼女の周りを吹き抜ける空気が、一瞬だけ緊張した。


(殺気……しかもかなりの腕だ)


 学園外の森。

 その奥から、鋭い刃のような魔力がかすかに漏れている。


 普通の生徒では気づけないほど微細な、しかし確かな敵意。


「来てる……誰かが」


 セレナは無意識に刀を握りしめた。


(もし学園に誰かが侵入するつもりなら……

 その“目的”は、リオしか考えられない)


 胸がきゅっと痛む。


「リオ……私が守る」


 夕日を浴びた彼女の横顔は、静かな決意に満ちていた。


●エリス――王家の情報網が捉えた異常


 王宮の特務通信室。

 エリス・フォン・ルミナスは、机に並ぶ魔導通信石を前に顔色を変えていた。


『帝国軍内部で動きあり。

 ガルディナの監視兵が複数、アルケディア学園付近へ潜伏』


「……どうしてそんな……」


 通信担当の術士が声を潜める。


『どうやら“黒髪の少年”が関係しているとのことです』


 エリスの胸が跳ねた。


(また……リオが……)


 彼は何も悪いことをしていない。

 ただ生きているだけなのに。

 それなのに、世界が彼を狙う。


 怒りと不安が入り混じり、手が震えた。


(帝国まで……! そんなの、リオが耐えられるわけない……)


「……追加の結界布陣を要請します。

 今すぐ学園周囲の監視を強化して」


『しかし殿下、これは王族の私的判断になりますが……』


「構わないわ。

 リオを……皆を守るためよ」


 強い瞳で命を下す。


 王家の力を使うことに迷いはなかった。


●ミュリス――“監視強化”の命令と恐怖


 寮の影。

 ミュリス・ナハトは、人目を避けてひとり膝を抱えていた。


 魔族評議会からの通信が、胸の奥を重くする。


『少年の行動を逐一報告せよ』

『監視を強化する』

『決断の時は近い』


「……いや……やだ……」


 リオのことを“監視対象”と言われるのが怖かった。

 彼を“危険物”扱いされるのが、もっと怖かった。


(リオは……そんな存在じゃないのに……)


 小さな身体が震える。


 胸の奥の魔族の血が、彼の危険を告げているのではない。


 ――彼を失う予感を告げていた。


「やだよ……リオがいなくなるなんて……絶対に!」


 ミュリスは目元を袖で拭った。


(守る……何があっても)


●四人が集う夕暮れ


 放課後、たまたま学園の中央庭園で四人は鉢合わせた。

 偶然――けれどそれは、避けようのない必然のようにも思えた。


「――あなたたちも……感じてたのね」


 フィアの言葉に、エリスが静かに頷く。


「帝国が動いてる……。

 しかも学園に向けて」


「森の奥に、明らかな殺気がいる」

 セレナが剣の柄に手を添える。


「魔族の監視も……増えてる」

 ミュリスが怯えたように呟く。


 四人は互いの情報を照らし合わせるまでもなく――

 一つの答えに行き着いた。


「「「「……リオを中心に、何かが動いている」」」」


 風が強く吹き、木々がざわめく。


 不吉な気配が、確実に学園を取り囲み始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ