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最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第4章:光と闇と軍勢――少年を巡る“三勢力の奪い合い”が始まる

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第23話:魔族側の評議会――“王として迎えるか、封印するか”

 闇の中に、淡い紫の光だけが揺れていた。

 その光は松明ではない。

 闇属性の魔力が凝縮されて生まれる“灯”。

 魔族の高位者だけが扱える、静かで冷たい輝き。


 その奥に、黒い玉座が三つ。

 闇の衣をまとった上位魔族たちが、互いに睨み合っていた。


 ミュリスは中央の壇の前でひとり立ち、唇を噛む。


(……嫌だ……この空気。

 リオのことを、あの人たちは……ただの“危険物”としか見てない……)


 胸の奥が熱くなるほどの怒りと不安が混ざり合っている。


「ミュリス・ナハト。」


 低い声が闇の奥から響いた。


「本日は、お前の“報告”を聞くために招いた」


 上位魔族のひとり、黒角の長い老人が先に口を開く。


「古代魔族王の欠片が宿る少年。

 その者は今、封印を揺らしておるのだな?」


「……はい。でも、彼は……」


「力が暴れ始めているのだろう?」


「……それは……」


 否定できない。

 リオが二度も暴走しかけたのを、彼女は知っている。


 しかしそれだけではない。

 彼が必死に抵抗していたことも、ミュリスは知っていた。


 別の席から、低い声が響く。


「我ら魔族にとって“欠片”とは王の証。

 復活の時を告げる灯火でもある」


 その声は重く、誇らしげですらあった。


「王として迎え入れるべきだ。

 あの少年は器を持っている」


 さらに反対側から、鋭い声が切り込む。


「器など幻想にすぎん。

 問題は“制御できるか”だ」


「制御? 我らの王だぞ。従わせればよい」


 ミュリスの胸がざわつく。


(従わせる……?

 そんなの、リオに似合わない)


 冷たい別の声が割り込む。


「むしろ、危険なのはその優しさだ。

 優しさゆえに、あの力は暴走する」


「封印を再度施すべきだ」


「いや、王として迎えるべきだ」


「いや、始末するべきだ」


 ――議場が揺れた。


「やめて!」


 声が反響し、闇が揺れた。


 ミュリスが一歩踏み出し、こぶしを握りしめる。


「リオは……リオはそんな子じゃない!

 誰より優しくて、誰より誰かのことを考えて……

 自分がどんなに傷ついても、人を助ける子なんだ!」


 空気が凍りつく。


 上位魔族たちの視線が一斉にミュリスへ向いた。


「……感情論は不要だ、ミュリス・ナハト」


「感情じゃありません!」


 思わず叫んでいた。


「私は……彼のそばにいた。

 彼がどれだけ自分の力を怖がってるか、誰よりよく知ってる!」


 声が震える。

 それは恐怖ではなく、悔しさの震えだった。


「彼は……王になりたいなんて思っていない。

 誰かを支配したり、傷つけたりしたくないだけ。

 ただ……ただ、普通に笑って生きたいだけなんです……」


 ミュリスの瞳に涙が滲む。


「そんな彼を……あなたたちは、“封印”だの“処理”だの言うの?」


 沈黙が落ちた。


 闇の奥から、低い声が響いた。


「少年が優しいことなど……問題にはならん」


「ならない!? どうして――」


「優しければこそ、欠片は暴走する」


「……っ!」


 言葉が詰まる。


 理解している。

 ミュリス自身、分かっている。

 リオの優しさはときに彼自身を追い詰める。


「だからこそ、判断が難しいのだ」


 別の声が続ける。


「器を持つ者として迎えるべきか。

 それとも再封印し、世界の均衡を守るべきか」


「決めるべき時ではあるが……まだ時期尚早だ」


「……意見が割れている以上、軽々しくは動けん」


 その言葉に、ミュリスは息を吸う。


(……保留……?)


 まだ救いは残っているのだろうか。


 やがて、議場の中心に座る最長老が静かに言葉を落とした。


「結論は……保留とする」


 ミュリスの胸にわずかな希望が灯った。


「ただし――」


 その光が揺れる。


「“監視を強化せよ”」


 闇が低く響き渡る。


「封印が揺らぎ続けるのなら、いずれ決断の時が来る。

 王として迎えるか。

 あるいは……再び封印するか」


 ミュリスの心臓が強く脈打つ。


(……リオ……)


「ミュリス・ナハト」


「……はい」


「お前は、少年の行動を逐一報告せよ。

 誰より近くにいるお前の目が、確かな判断材料となる」


 その指令に、ミュリスの胸が痛んだ。


(“報告者”としての私なんて……リオが知ったら……)


 でも。


(……それでも私は、リオを守る)


 ミュリスは静かに頭を下げた。


「……分かりました。

 でも――」


 最後に、正面を見据え、きっぱりと言った。


「彼を傷つける判断が下ったなら……

 私は絶対に従いません」


 闇の奥で、誰かが小さく息を呑んだ。


 ミュリスは涙をぬぐい、評議会の視線を真っ直ぐ受け止めた。


(リオ……絶対に……あなたをひとりにはしない)

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