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最弱と蔑まれた俺、実は世界唯一のチートスキル持ちでした ~隠して無双して学園生活を満喫します~  作者: トワイライト
第2章:学園を揺るがす影――無能少年の“正体不明の英雄譚”が始まる

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第13話:追い詰められる嘘。ヒロインたちの“確信”とリオの葛藤

 暴走した魔導具が沈黙し、校舎に静けさが戻った頃。

 僕はようやく深く息を吐くことができた。


(……止められた……良かった……)


 安堵して振り返った瞬間、胸が強く締めつけられる。


 フィア、セレナ、エリス、ミュリス。

 四人がこちらを見ていた。


 ただの驚きではない。

 困惑でも、驚愕でもない。


 もっと深いところに触れようとする——そんな眼差し。


 逃げたいのに、足が動かなかった。


「リオ」


 最初に声を発したのはフィアだった。


 金色の瞳が揺れ、僕の心をそのまま映し返してくるような視線。


「もう……嘘はやめて。

 昨日からずっと、あなた……誤魔化してばかりじゃない」


「……嘘なんて……」


「言い訳しようとするその声が、もう嘘なのよ」


 言葉を遮られた瞬間、胸に鋭い痛みが走った。


「魔力ゼロのはずなのに、高度魔法を理解し、実戦科トップを避け、

 影を弾いて、帝国兵まで倒して……今日は暴走魔導具まで止めた。

 全部、説明がつかないわ」


「……でも……」


「ねぇ、リオ」

 フィアの声が少し震えた。


「私……あなたが怖いわけじゃないの。

 ただ、本当のあなたを……知りたいの」


 胸の奥に刺さる。

 彼女の言葉は、優しすぎるくらい優しかった。


 次にセレナが口を開く。


 風のように静かで、鋭い声。


「私は……君の強さを否定しない。

 でも“何も話さない”まま戦うのを見ているのは……耐えられない」


「……セレナ……」


「昨日の帝国兵との戦い。今日の魔導具。

 あれほどの動き、私は見たことがない。

 あれは——訓練や経験では届かない領域だ」


 セレナの瞳は真っ直ぐだった。

 誇り高い剣士の目で、決して僕を責めるためのものではない。


「リオ。

 君が“何者なのか”。私は知りたい。

 知った上で……同じ前線に立ちたい」


 その言葉は、静かな決意に満ちていた。


 次に、エリスが震える声で言う。


 彼女の白い髪が揺れ、潤んだ瞳が僕を映す。


「リオ……私ね……ずっとあなたを見てきたの。

 村でも、学園でも……

 あなたが誰かを助けるときの顔、ちゃんと知ってる」


「……エリス……」


「だから……“本当のあなた”を隠されるの……すごく悲しいの。

 怖いことがあるなら……私に話してほしい」


 幼い頃から僕のそばにいたエリスの言葉は、誰より重く響いた。


 逃げることの方が、彼女を傷つけてしまう。

 そう思わせるくらいに、彼女の瞳はまっすぐだった。


 そして最後に、ミュリスが歩み寄ってきた。


 紫の瞳が細められ、楽しげな笑みを浮かべながら。


「リオはさ……無理に隠さなくていいよ?」


「ミュリス……?」


「だって私、全部知ってるもん。

 あなたが“同族の因子”を持ってることも、

 普通の人間じゃないってことも……

 全部ね」


 楽しそうに笑うのに、その瞳の奥は真剣だった。


「だから、怖くないよ。

 何を隠してても……私は味方だから」


 その言葉は優しく、救いのようで、同時に逃げ場を奪うものでもあった。


 四人の視線が絡み合い、僕の心を閉じ込める。


 逃げ道はひとつ残らず塞がれ、

 胸の奥に溜まっていたものが一気に押し寄せてくる。


(……どうして僕は……こんなに隠さなきゃいけないんだろう)


 本当は、誰かに話したかった。

 誰かに頼りたかった。

 でも——


 僕の力は“禁忌”だ。

 世界の均衡を壊す力。


 知られれば、精霊にも、魔族にも、人間にも、どこからも狙われる。

 巻き込みたくない。

 誰も傷つけたくない。


 だから——


「リオ……」


 名前を呼ばれ、胸の奥が痛くなる。


 気づけば、唇が震えていた。


「……僕は……」


「……?」


「僕は……誰も傷つけたくないだけなんだ」


 四人が息をのむ。


 フィアがそっと手を胸へ当てた。


「……リオ……」


 僕は続けた。

 もう、止められなかった。


「自分の力が……怖いんだ。

 抑えられなくて……暴走して……

 気づいたら誰かが傷ついてるかもしれない……」


 言葉と一緒に、胸の奥から熱いものが込み上げてくる。


「僕は、本当に普通でいたかった。

 強くなくてよかった。

 目立たなくてよかった。

 ただ……誰も傷つけずに……生きたかっただけなんだ……」


 小さく震える声が、教室の空気に溶けていく。


 四人は、誰も僕を否定しなかった。


 フィアは優しく。

 セレナは真剣に。

 エリスは今にも泣きそうに。

 ミュリスは静かに微笑んで。


 ただ——僕の苦しみを受け止めていた。


 優しさが、逆に胸を締めつける。


(……本当は……誰かに言いたかったんだ)


 心の奥にあった黒い塊が、少しだけ溶けるような感覚がした。


 でも同時に——

 遠くで、ひどく冷たい“別の視線”が僕を見ている気配もした。


 その視線だけは、優しさとは無縁の、敵意そのもの。


(……誰か、近づいてきてる……)


 胸の奥がひやりと冷たくなる。

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