生々しいクズ
瑠璃子が主犯格のぽんたろうよりも、今憎悪の感情を向けたのがこのピッピだった。
ピッピは吃音の男子生徒だ。
喋りだした瞬間変な音が出たり吃ったりしてしまう。
ピッピは自体は極平凡などこにでもいるような人間だ。一度街に出て見れば二三人はピッピを発掘できるだろう。
完全な邪悪でもない、時偶に善行も働けば悪行も働くし、人より秀でた点もないわけではない。
友人達の間ではどちらかというと弄ばれるポジションであり、決して周囲に権力をふるえるタイプではない。
瑠璃子を嘲笑したのも周囲の友人の流行りに乗っかっただけである。
ピッピ本人としては多少の罪悪感は感じても周囲のノリを壊すほどでもないし、会話の話題として瑠璃子は優れているので使わない手はないのだ。
それに加え、馬鹿にしているうちにこのころピッピは本当に瑠璃子に対して嫌悪感を感じるようになっていた。
ピッピ(うわぁ……神谷いるじゃん……きしょ…)
このような善人といっていい人間は自分が受けた屈辱は平気で赦すが、自分が傷つけた人間だけは決して赦さないのである。
(吃音の癖に。)
瑠璃子は教室の隅で談笑するピッピを睨んだ。
(あっ!また吃った……!)
瑠璃子は口元を歪めた。
(ふふっ。あいつの特徴的な喋り方真似して馬鹿にしてやろう……!)
(待てよ……?
吃音であることは果たしてピッピのせいであろうか?)
(いや、何の責任もない。
ピッピが仮に吃音じゃなくて……禿だったら?障害者だったら?病人だったら?私はそれらの理由でもピッピを批判しただろうか?)
瑠璃子は前をふよふよしている雲雀をチラリと見た。
(雲雀はずっと病で苦しんできたのよね。ピッピだって吃音で苦しんできたのかもしれない……)
(ピッピが吃音であることを理由にするならば、私はピッピ以外の全ての吃音の人までも侮辱することになるのではないだろうか……?)
(そもそも何故、私はぽんたろうよりもピッピを憎んでいるのだろうか?)
(弱者として分類し下に見ていた存在から馬鹿にされたことが私は耐えられなかったのか……?
いや、ピッピを何がなんでも傷つけるために、吃音であることを指せば一番効果的だと思ったんだ……!)
(どう考えても吃音を理由として馬鹿にするのは私の人間としての格が地に落ちる。
ピッピを傷つけたいがためにそこまで下劣になる必要はない……!!馬鹿にさせておけば良いんだ!いくら奴らが私を侮辱しても私の価値は変わらない!!むしろ醜くなるのは奴らの方だ…!)
ピッピ「……み、みっ、見ろよ、あ、あいつ(瑠璃子)一緒に飯食べる奴もいないのかよ……」コソッ
瑠璃子「…!!!」
瑠璃子「おい!どもりのブス!!こっちに来な!!」机バンッ
ピッピ「!??」
周囲「!??」
雲雀




