詩小説へのはるかな道 第45話 犬のための工房 ー 犬は全身全霊で愛す
原詩:犬は全身全霊で愛す ー ただ愛する詩
老人が老いた犬と歩いている
犬はどうして
こんなにも全身全霊で
老人を好きになれるのだろう
それは
老人の手が
骨ばっていても
ゆっくりと撫でてくれるから
その温もりが
犬の心に安らぎを与えるから
それは
老人の声が
少し掠れていても
犬には音楽のように響くから
その呼びかけが
犬の一日を照らすから
それは
老人の歩みが
遅くても確かで
犬にとっては世界のリズムだから
その歩調に合わせることが
犬の誇りになるから
犬は知っている
老人が働くのは
自分のためでもあることを
だから犬は
尻尾を振り、瞳を輝かせ
「あなたがいてくれるから幸せです」と
全身で伝えるのだ
老人の労働は愛であり
犬の愛は感謝であり
その循環の中で
二つの命は
静かに寄り添い続ける
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詩小説: 犬のための工房 ー 犬は全身全霊で愛す
老人は町外れの小さな工房で働いていた。
木を削り、布を縫い、釘を打ち、油を差す。
誰も買いに来ない品々を、老人は黙々と作り続ける。
それは犬のための仕事だった。
木で作った小さな椅子は、犬が昼寝をするためのもの。
布で縫った袋は、犬のおやつを入れるためのもの。
油を差した古い時計は、犬と散歩に出る時間を知らせるためのもの。
町の人々は不思議がった。
「誰も買わないのに、なぜ働くのだ」と。
老人は答えなかった。
ただ犬と歩き、手を差し出して犬を撫でるだけだった。
犬は知っていた。
老人が働くのは、自分のためだと。
だから犬は尻尾を振り、瞳を輝かせ、工房の隅に座って老人を見守った。
ある日、町の子どもが工房を覗いた。
「ここは犬のための工房なんだね」と言った。
老人は少し笑い、犬は尻尾を振った。
その瞬間、工房の空気が変わった。
木の椅子も、布の袋も、古い時計も、すべてが犬と老人の愛の証として輝いて見えた。
町の人々はやがて気づいた。
老人の労働は愛であり、犬の愛は感謝であり、その循環こそが、町に静かな幸福をもたらしているのだと。
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:犬のための工房
木を削り
誰も買わぬ椅子をただ
犬の昼寝の
夢を支える
静けき工房
布を縫い
袋に満ちるおやつかな
尻尾振る犬
瞳は光り
感謝を告げる
古時計
油を差して時を刻む
散歩の合図
老人と犬
影を並べて
町人ら
「なぜ働く」と問いかける
答えはなく
撫でる掌に
愛は宿りぬ
子ども来て
「犬の工房」と声あげる
笑みを浮かべ
空気は澄みて
椅子も輝く
やがて町
気づきし循環 愛と感謝
静かな幸福
工房に満ちて
犬は見守る
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




