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宿屋無双~転生して付与魔法に目覚めた僕は神の御使いとして崇められてしまう~  作者: 中島健一


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第142話 焔色

〈バーミュラー騎兵隊隊長アクセル視点〉


 昨日ヌーナン村でマシュ王女殿下の保護を提案しにいった衛兵が門前払いを受けた。


 我々のところにマシュ王女殿下及び、エイブル殿下の落とし子を預けてくれれば、まだ安全ではあるだろうと思っていた。確かに王弟派閥もいる小都市バーミュラーの中や帝国の動きを見れば安全ではないかもしれないと思うのも無理もない。


 しかし、あのような木製の防壁等、千の軍勢が相手になればあっという間に攻略されてしまう。


 そんな心配をしている私は現在、今まさに攻略されようとしている国境警備施設を見つめた。


 とうとうこちら側からも帝国は侵略を始めたのだ。以前の失敗もあり、トラヴェルセッテ山脈東側からもう行軍してこないのではないかと思っていたが、やはりインゴベル陛下と王弟の内乱という好機を帝国は見逃さなかった。或いはヌーナン村にマシュ殿下と王弟殿下の落とし子がいるということを聞き付けたのかもしれない。帝国はヌーナン村を襲う、といったその一手で国内を揺るがす駒を2つ同時に手に入れようとしている。


 攻撃されている国境警備施設には煙が立ち、矢の雨が空を裂き、弧を描きながら落下していく様子がここから見えた。


 既に1度攻略されてしまった国境警備施設はもろい。報告にあった帝国軍の兵の数はおよそ4万だ。


 私が引き連れている兵は凡そ8千である。


 攻められている施設に我々が近付くと、その施設から来た衛兵が先頭の私に伝える。


「もって後、数刻で攻略されてしまいます!」


 私は言った。


「わかった。兵達は避難し、速やかに作戦を実行しろ」 


「ハッ!」


 そう言って、施設へと戻っていった。


 私は8千の兵に陣形を整えさせながら考える。


 昨夜、カイトス将軍が持ち前の機動力を生かしてザッパ様と談話していた。おそらく今日の夜には王弟殿下の軍がバーミュラーへと到着するだろう。


 ──そして明日……


 私はヌーナン村方面を見た。直接ヌーナン村が見える距離ではないが、明日の戦争に想いを馳せる。


 明日、ヌーナン村は王弟軍に襲われる。


 インゴベル陛下派閥の我々がヌーナン村を裏から手助けする方法と言えば、帝国軍を自国領土に招き入れ、ヌーナン村に攻撃を仕掛けている王弟軍にぶつけ、混乱させることだ。その混乱の最中、マシュ王女殿下を王弟軍より奪取する。


 戦列が整い、国境警備施設より続々と兵達がこちら側に避難しにやって来る。彼等を受け入れ、後方へと回した。直ぐにでもバーミュラーへと帰してやりたかったが、ここは少しでも兵を多く見せる必要がある。その為には戦列に加わってもらうしかない。


 施設を烈火の如く攻め入る帝国軍を私は遠くから観察する。


─────────────────────

─────────────────────


〈帝国四騎士フィリル・グレイス視点〉


 ゆっくりと攻めていたつもりだったが、陽が沈む前にはこの国境警備施設も攻略できてしまいそうだった。というのも、施設にいるシュマール王国兵は続々と退散していってしまうのだ。


 築き上げられた石壁ややぐらを置いていき、そこを徐々に我等の兵が占領する。


 一度落とされた施設なのだから流石にもろい。


 施設を占領し、向こう側の様子を窺った兵が私に報せた。


「向こう側では、騎兵と歩兵合わせて8千の軍が隊列を整えて待ち構えております」


 施設を攻略した兵をその場で休ませ、攻略に参加していない兵をその8千の王国兵達に攻撃させても良い。


 ──しかしその8千の兵は誘っているようにも見える……


 今回は王国兵の蹂躙ではなく、あくまでもこちら側に意識を向けさせる侵略なのだ。王弟軍やバーミュラーの兵がヌーナン村へ行軍する際にリディア・クレイルが介入すると予測され、混乱したところを私達帝国兵が突く。ここでバーミュラーに向けて侵略を開始してしまうのは当初の作戦ではない。


 私は言った。


「施設を占拠し、そこを拠点にするぞ!」


 私の命令によって、多くの兵がシュマール王国の国境警備施設へと入っていった。


 しかし次の瞬間、その施設が爆発した。


「は?」


 焔色えんしょくの眩い閃光が一瞬。次に黒煙が上がり、石壁は吹っ飛び火山が噴火したように我らに向かって降り注ぎ、瓦礫と化す。やぐらは火元となった。それらの下敷きとなる帝国兵達。爆発に触れた兵もいるだろう。


 やられた。


 私は急いで指示を出す。


「息のある兵を救出しろ!まだ陽のある内に、助けるんだ!!」


 見事シュマールの兵達は、我々をここへ釘付けにすることに成功する。


 だがこの爆発のお陰で、リディア・クレイルの介入を不自然に待たなくても良くなったことに、私は心苦しくも感謝していた。

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