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宿屋無双~転生して付与魔法に目覚めた僕は神の御使いとして崇められてしまう~  作者: 中島健一


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第135話 質疑応答

〈セラフ視点〉


 メイナーさんが質問する。


「まず始めに、セラフ君がインゴベル国王陛下の弟、エイブル殿下の息子というのは本当なのですか?」


 この質問には母さんが答えた。


「はい。私は元々エイブルの所で奴隷として働いておりました」


「大変申し訳ないのですが、その証拠となるモノはありますか?」


 今度は僕が遮る。


「ちょっと待って!次は僕の番だよ?まずは、マーシャお姉ちゃんは本当にこの国の王女様なのですか?」


 僕の質問にメイナーさんは答えた。


「そうです」


 当のお姉ちゃんも頷きながら言った。


「そうよ。そして隣にいるのが私のお兄様ではなく、護衛のファーディナンド。私の名前もマーシャじゃなくて、マシュですわ……」


 何故だか僕に「ですわ」口調で喋るお姉ちゃん。きっと、改めて自分が王女であることを皆に伝えるのを恥ずかしがっているのだろう。


 そしてセツナさんもその事に同意した。


「間違いないかと思われます……」


 僕は尋ねる。


「どうしてこんなところに王女様がいるんですか!?」


 するとメイナーさんが遮った。


「待ってください。次はこちらが質問をする番です」


 訊きたいことが有りすぎて、お互いが順番に質問すると提案したのは僕だ。僕は黙り、メイナーさんが質問する。


「さっきの私の質問に答えることはできますか?」


 さっきの質問とは僕が父さんの子であるという証拠についてだ。


「証拠はないけど…実は、この村は既に2回程危機に陥っているんですよ」


「2回?」


「昨日の領主様の騒ぎを入れたら3回になりますね」


「どういうことです?」


「順を追って説明すると──」


 僕はもう全部話しちゃうよ?と言った具合に家族を見渡した。皆が頷き僕は説明する。


「まず1回目は、この村を暗殺者ギルドと帝国兵が囲って、襲ってきたんです。合わせて450人くらいだったかな?」

 

「は!?」

「え……」

「何だと!?」

「ぅっ……」


 メイナーさん達がそのことに驚き、村長様は青ざめ、セツナさんは下を向く。メイナーさんは更に僕に尋ねてきた。この時既に、順番に質問し合うルールは消えていた。


「そんなことがあったなんて聞いてないですよ!?どのようにして対処したのですか!?」


「この2人と外にいるオーマとアーミーアンツのおかげですかね?」


 僕は背後にいるリュカとジャンヌに視線を合わせた。


「セラフ様に再び感謝されるなんて……」

「えっへん!」


 ジャンヌは照れたような笑みを浮かべ、リュカは胸を張った。


「この2人と外にいるヴィルカシスとアーミーアンツのおかげって……」 


 メイナーさん達は新しく出てきたアーミーアンツについての思考を始める。僕は説明した。


「この2人とオーマとアーミーアンツのおかげで450名を制圧し、事なきを得たのです。そして彼等の目的はこの村を帝国のものとし、僕と母さんの死を確実にさせることだった」


「…それを信じろというのは流石に……」


 メイナーさんは信じることができない様子だったが、セツナさんが言った。


「それは確かです。私がこの村を襲おうとした450人の内の1人ですから」


「え?」

「まさか!?」

「は?」

「……」


 既に何回驚かせただろうか。全て事実なのだが、それを一つ一つ明かしていくとどんどん嘘のように聞こえている気がしてならない。すると『黒い仔豚亭』に来訪者が訪れる。


「おい!セラフ!!大変だぞ!?」


 アルベールさんだ。

 

 僕らの声はジャンヌの魔法によってアルベールさんには聞こえないが、アルベールさんの声は聞こえる。アルベールさんを見て、メイナーさんとスミスさん、そして村長様が反応を示した。


「暗殺者ギルドの……」

「アルベール?」

「……」


 メイナーさん達はアルベールさんのことをやはり知っていた。ならば今いきなり、この宿屋に訪れたアルベールさんは少々不用意に入りすぎではないかと思ったが、それだけ何かに焦っているようである。


 しかし僕らも今大切な話をしている途中だ。僕はアルベールさんを手招きした。


「ん?ってケインズ商会の2人がいるじゃねぇか!?」


 そう言って、この場をあとにしようとした。どうやら僕の手招きがどこかへ行ってくれ、と受け取ってしまったようだ。しかしアルベールさんはジャンヌに捕まった。


「姉さん!?」


 ジャンヌは言う。


「良いから、こっちに来い」


 アルベールさんはしぶしぶこちらへやって来た。ジャンヌは言った。


「質問に答えろ、アルベール」


「はい?」


「お前が、この村を襲おうとしたことは事実だな?」


「はい…事実ですけど……?ってもうそういう流れか?」


 アルベールさんはそう言って、空気を読んでくれた。アルベールさんは「じゃあ」と続ける。


「村長も認めるよな?」


 僕は言った。


「僕らはもう知ってますよ?村長様がこの村を帝国へ売ってしまったのことを」


 村長様は背中を丸めて俯く。元々小さい村長様が更に小さく見えた。


「も、申し訳ない……」


 僕は言った。


「村長様のしたことも、アルベールさんのしたことも罪深いことです。だけど、2人とも僕の父さんに利用されていました。例えアルベールさんや村長様がいなくとも、あの日帝国は別の手段でこの村を襲ってきたと思います。それに僕らがアルベールさん達の襲撃を止めても、次の日帝国が侵略してきましたし」


 スミスさんが言った。


「それがあのバーミュラーで、王弟エイブルが帝国とバーリントン辺境伯を下した戦争だったというわけか」 


 ファーディナンドさんはそれに続く。


「確かに、あの時帝国は騎兵隊をヌーナン村に別動隊を派兵していましたね。その前夜に皆さんの言う襲撃を成功させていたらと思うと、帝国は優利に戦況を推し進められます……その戦況ならば、インゴベル陛下の派閥に属するバーミュラー都市長のザッパ様をも更迭こうてつできたかもしれない……」 


 メイナーさんは徐々にだが納得し始めた。


「この村を襲わせ、自分の障害となる人物を廃する一手ですね…しかしそれをセラフ君達が未然に防いだ……」


 僕は言った。


「でもさ、昨日襲ってきた領主様の引き連れてきた兵達も言ってたよね?僕と母さんを殺しに来たって」


「はい。しかし殿下が現れて、そのような方便をのたまい、我々を分裂させようとしていた可能性もあると思いまして……」


「信じてくれました?」


「…はい……」


 まだ釈然としない感じだった。


 しかし、僕は訊きたいことがあったので質問する。どうしてこんな田舎村に王女様がいるのかという質問だ。


「それは私から説明するわ──」


 お姉ちゃんが説明してくれた。


 僕の父さんの反乱から全てが始まったようだ。僕らはお互いの足りないピースを埋め合っては、答え合わせをしていくみたいに話し合った。


「え?じゃあバーミュラーの封鎖はお姉ちゃんを探してたってことなの!?」


 ファーディナンドさんが肯定した。ジャンヌは何か言いたげな表情をしていたが黙って聞いている。


 そして、話の時系列が追い付いてきた。


 僕は質問する。


「今、陛下と父さんの戦いってどうなってるの?」


 するとアルベールさんが思い出したかのようにして言った。


「そ、それがよ!インゴベル…陛下が王都を奪還したらしいんだ!!」


 皆が驚きと歓喜を滲ませる表情をしながら、語り手であるアルベールさんに注目した。


「だ、だけどそれと同時に他国が攻めて来たって……でもおかしいな?ここから近い国境を帝国が越えてる気配がない……」


 メイナーさんは言う。


「いえ、これから越えてくる可能性は十分にあります!!今すぐ対応を──」


 僕は言った。


「たぶん、大丈夫かと思います……」


「何故そう思うのです!?」


 少し気まずかった。僕は悪戯した子供が、自分の悪戯を親に説明するよう躊躇ためらいがちに言った。

 

「昨日まで、帝国と神聖国が魔の森で戦争をしていたんですけど、昨日終わらせたんで…暫く主力を動かす余力は帝国にはないかと……」

 

「は?」

「え?」

「ん?」

「はえ?」

「ほぇ?」


 この事実を知らないメイナーさん達グループwith村長様は今日一番大きな声を、全員で揃えて言った。


「は~~~~!!!!?」

「は~~~~!!!!?」

「は~~~~!!!!?」

「は~~~~!!!!?」

「は~~~~!!!!?」

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