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宿屋無双~転生して付与魔法に目覚めた僕は神の御使いとして崇められてしまう~  作者: 中島健一


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第133話 目覚め

〈セラフ視点〉


 僕は自室のベッドの上で目を覚ました。


「ん……」


 息を吐き出して、身体を伸ばすと、アビゲイルが僕の顔を覗き込む。


「セラフ!?」


 僕は言った。


「あ…おはよう、アビー」


 目を擦りなが朝の挨拶をすると、アビゲイルは僕を抱き締めた。


「セラフ~!!」


 僕はアビゲイルの行動に戸惑い、咄嗟に身体を動かそうとしたけれど、身体が痺れていて上手く動かせなかった。


 ──あれ?なんでだ?


 手に違和感があった。その手には包帯が巻かれている。


 ──怪我したんだっけ?


 だんだん思い出してきた。


 ──そうだ。昨日、帝国と神聖国の魔の森での戦争が終わって、領主様がやって来て、マーシャお姉ちゃんが王女様だってわかって、僕が王弟の隠し子だってバレて……


 僕は言った。


「って早く何とかしなきゃ!!今、この村どうなってるの!?」


「えっとね──」


 アビゲイルは説明する。


 村はいつもと変わらないような雰囲気らしいが、皆どこか不安を抱いているようだ。領主様や彼の引き連れてきた騎兵は、村長様の地下牢にいれているとのこと。因みに騎兵全員が入れるスペースがなかった為、リュカがその牢屋の範囲を魔法で広げたそうだ。また、メイナーさんが説明を求めているが、僕が起きるまではお互い何も訊かず、自分達の仕事をすることになっているらしい。


「じゃあ僕が早く起きなきゃ……」


 しかし身体が言うことをきいてくれないので、アビゲイルが僕のことをおんぶしてくれることになった。僕はアビゲイルの背中の熱をお腹に感じながら言った。


「なんだか恥ずかしいね……」


 アビゲイルは言う。


「バーミュラーから戻ってきた時、ジャンヌにおんぶされてたじゃない?」


「あ、そうだった」


 僕はアビゲイルにおんぶされながら皆のいる食事処まで移動しようと、部屋から出た。しかし部屋の前で土下座ポーズをする金髪の男の人がいた。


 僕たちが部屋から出るとその男性は土下座姿勢から顔を上げて、僕らを見上げて泣き叫ぶ


「セラフ様ぁぁぁぁぁぁ!!!」


 その声が宿屋全体に響いたのではないかと僕は思った。


 男性は涙を流しながら僕が目覚めたことに対する喜びを表現した。

 

「おお、我が神よぉぉ!!永き眠りからお目覚めになられ、この迷える私の魂が、ただ真っ直ぐな信仰心となって、燃え尽きそうなほど喜ばしく思いますぅぅ!!」


 僕はその物言いに圧倒されながらもつっこんだ。


「も、燃え尽きないで良いんじゃないかな?」


「おお、何とも慈悲深きお言葉!!私に生をお与えになると仰るのですねぇぇ!!?」


 すると、ジャンヌとリュカが僕の部屋の前に駆け付ける。


「セラフ様!?」

「セラフ様ぁぁ!!」


「リュカにジャンヌ、元気だった?」


 2人は涙を流しながら言った。


「セラフ様ぁ~、ご自分のことを省みずリュカのことを心配してくれるなんてぇ~!!」


「セラフ様!何故、私のことを気遣う必要がありましょうか?私などは塵に過ぎません。今度はセラフ様の身に代わって、滅びを請け負う所存です!」


 2人とも大袈裟なんだよな。僕は涙を流す2人に話題を反らそうと尋ねる。


「えっとさ、こちらの方は…どなたなのかな?」


 僕はひざまずく金髪の男性のことを尋ねる。


 男性は言った。


「セラフ様ぁぁ~、私です!マルクです!!魔の森であなた様の従者になると誓い、それを許して頂けた……いえ、セラフ様に覚えて頂こう等、なんとおこがましいことでしょうか……」


 思い出した。マルクは魔の森最深部でマルティネス・ベルガーを倒した元マンティコアだ。


 ──リュカを救うために切り落とした腕を食べて、こうなったんだよね?


 僕が思い出している間中、マルクはずっとぶつぶつと何かを言っていた。


 僕はそれを止める為にも思い出したことをマルクに告げる。


「ごめんね。マルクだよね?思い出したよ。ちょっと昨日色々とありすぎて、記憶が混濁しているんだ」


「おお、セラフ様に謝罪をさせてしまったぁぁぁ!!!セラフ様が悪いのではございません私が──」 


 アビゲイルが割って入った。


「とにかく!早く皆のいる食事処にいこ?」

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