魔女と遭遇
ある素朴な私の人生を何気なく書いていく
人間には悪と善がある
人間には人にはいえない心境
人には言えない事実などある
だが私はここで明らかにしていく
小学生の私はまだ悪魔は存在しなかった
私には門限がある
5時だ。
男の子の母とお別れして、
帰るとき普段感じない緊張感にみまわれながら
歩く。
なんといっても
つまずいたり、かけたりでもしたら
ケーキぐちゃぐちゃになってしまう。
そして何よりランドセルの中には母にあげるための
男の子のお母さんが崩れないようにカップに入れてくれた
ケーキが入っている。
頭からつま先まで全集中だ。
あと一個先の曲がり角を曲がれば家だ。
ケーキをまっすぐランドセルも平行に
完璧だった。
♪〜音楽〜♪
!!!!!!!!!!!!!!!!
やばい!!!!
この音楽は町内でなる17:00に鳴り響く
私の門限がすぎる魔の音楽
門限がすぎると…
祖母のあの恐怖の顔が蘇る
またドラマのようなタイミングで後ろから
叫び声が聞こえる
『こんなとこで何しとんの!!』
その声を聞いて後ろを振り返ると…
祖母だ…
私 『今帰っとるよ…』
祖母 『そんなことわかっとる!門限何時や!』
そして祖母の目は私の手に下がった。
祖母 『これ何持っとんや!』
その言葉と同時に取り上げられた…
予想通り。
祖母 『早よー帰ってこい!』
なぜか私の持っていたケーキだけ持ち
去っていった…
その後ろ姿は魔女だった…
私の今日の最高の日は一瞬にして現実へと
引き戻された…
帰ると誰もいない祖母との時間だった…
門限のことは何も言わずに
また私の所定の位置に正座をさせられた…
祖母はテレビを見ていた
私はずっと母へのケーキが入っている
ランドセルが気になってしょうがない…
祖母に見つかったらそれこそ何を言われるか
わからないからだ。
姉 『ただいまー』
祖母 『おかえり〜。手洗ってから食べ〜』
そー言って冷蔵庫からケーキを取り出した。
姉 『わぁー!ケーキ!!ありがとう〜』
私は祖母がそういった行動取ることは
もう当たり前かのようにわかっていた
それよりも私は母のケーキだけは守る義務があった
小学校の頭ではケーキを冷蔵庫に入れ無いと!!
という考えは無かった。
そしてみんなが帰ってきて
夕飯を食べ
祖母 『2階に行って宿題しろ!』
と祖母に言われたので
ランドセルを持ちすぐに2階へ避難した
ケーキをすぐに取り出し仏壇の前にお供えした。
母が2階に上がってくるのを待った…
なかなか上がってこなかった。
どーせまた祖母にあれこれさせられているのだろう…
お風呂は必ず母と私は最後だった
一階から声が聞こえる
母 『お風呂入るよー!』
急いでお風呂に入りケーキを
守らないといけない一心で
寝る支度をした
ようやく母が全て家事を終え
2階に上がってきた。
母 『ん?これ何?
…え?どうしたの?このケーキ』
私 『これはお母さんの分だよ。』
母 『え?あのケーキは誰かにいただいたの?』
母は一連の流れを聞き
目を真っ赤にした…
母 『一緒に半分こして食べよう』
そー言って母は私の口の中にケーキを近づけた。
私 『これはお母さんの分だから、
私は食べたからいらないから全部食べて!』
そーすると母は嬉しそうに少し溶けたケーキを
一口食べてから言った。
今まで食べた中で1番美味しいと
満面の笑みを浮かべた
何より母が笑った顔が1番大好きだった
今日はハラハラドキドキの一日で疲れた私は
母にひっついて
ぐっすり眠った…
次回
初めての宿泊学習
皆さんの人生生きていく中で
苦しい時、幸せな時、悔しい時、悲しい時、
色んな物語があるだろう
どれもこれも素晴らしい
考え方によっては、あなただからその物語を描ける
あなたはこの世に1人
たった1人
大切な1人
かけがえない存在であることには
違いはないことだけは
忘れないでほしい