君を異性として見ることはできない
「君を異性として見ることはできない」
寝室に入って来るやいなや、今日私が結婚した旦那様はそう宣言した。
この人………良い人だわ!!!!
内心舞い上がりながら、おすまし顔をキープすることに努める。
「申し訳ないが、私は別の寝室を使う。
長旅を終えて疲れているだろう。
君はここでゆっくり休んでくれ。」
静かに寝室を出ていく旦那様の後ろ姿を見送る。
パタンと扉が閉まり、廊下を歩く足音が聞こえなくなるまで待って、大きなベッドに飛び込んだ。
「〜〜〜〜〜!!!!」
部屋の近くに使用人が待機しているかもしれないので、枕に顔を埋めて幸運を噛みしめた。
この結婚、大当たりだわ!!
異国の、顔も見たことのない男に嫁がされるのは人並みに不安だった。が、まさか女として見られないだなんて!
それに、私を追い出すのではなく旦那様が出て行かれたわ。私の立場もあるだろうけれど、横暴な方ではないのは確かね。
緊張が解けたからか、ふかふかなベッドのせいか、突然眠くなってきた。
色々考えなくてはいけないことがあるけれど、今日はもう幸せなまま寝てしまおう…。
◇◇◇◇◇
「奥様、ご朝食をお持ちいたしました」
メイドが扉を開ける音で目が覚めた。
「おはようございます。
昨晩はよくお休みになれましたか?」
「ええ。おはよう、メイ」
メイは祖国から私について来てくれたメイドだ。
私の素を知っている数少ない人物でもある。
メイの第一ボタンが開いている。よし。
「私、奥様できそうだわ」
「それはようございました」
メイが配膳してくれた朝食は、焼きたてのパンにバター、ふわふわのオムレツ、とうもろこしのスープ、りんごのジュース。
さすが、私の好みがわかっている。
この国に来て1番嬉しいことは、温かいご飯が好きなだけ食べられることね。
「さて、私がやるべきことを確認しましょうか」




