名前を呼んで
「私利私欲ですよ」
「え?復讐の為だけなんですか?」
「そうですね。あの会社を買収しても正直大した利益や得はありません。つまり特にしなくてもいい事をしようとしています。唯一使えそうな特許も、うちの強みと被ってまして。よくよく調査してみたらこちらの技術の方が上だということがわかり、まぁ、福利厚生がきちんと整っているとの実績で求人応募数が上がって、よりよい人材を集められる…かも?と言った感じでしょうか。それもまぁ、別にあってもなくても…って感じなんですけど」
東堂さんは苦笑いをしながら、要はこの買収の件は復讐の為だけにあるという話をしてた。
あまり深く考えても私には理解しきることは絶対出来ないだろうし、ふーん、富豪の遊びでチェスの駒みたいに組織を動かせるなんて凄いなぁって頭の中を感心だけに絞った。
復讐の為だけに買収された結果、路頭に迷ってしまいそうな真島さんの心配とか同情とかは微塵もなかった。
なんか、ただただ本当に興味がなくて、真島さんがクビを切られてどういう思いをするのかとか、心底どうでもよかった。
「来週、買収契約が正式に結ばれます。買収で人は切れないので、人事の件はおいおいですが。先日頂いた録音、あなただと分かりそうなところは加工して、契約の日にぶつけます」
ぶつけますとは?
送るってこと?
いやぁ、まさか
「流出させるってことですか?」
「はい。その録音がご自分のものだと思うともちろん抵抗はあると思います。ただ、あなたと彼以外、あなたの声だとは分かりません。どうか、自分には関係のないことだと思ってください」
東堂さんの言ってる事は無茶苦茶だなと思ったし、流出とかやばくない?って感じだったけど面白そうかもなぁとも思った。
まぁ私もよく分からないまま東堂さんが復讐の絵を描いてるわけだけど、この事になると結構強引な人なんだなってまた一つ新たな一面を知れた気がした。
それもまた、人間らしい。
話が終わった後ホテルに入って、いつも通りオナニーを見せあった。
触れ合ったりはしないけど、これはこれでハマってんなぁと自覚はしてる。
東堂さんが私の目を見ながら
「イクとき…名前呼んでくれませんか……はるきって。お願いします」
って懇願してきた。
何考えてるのか分からない時も多いけど、この人Mっ気強いのかな。
そういや、初めて名前知ったかも。
今日はなんだかお互い昂ってたみたいで、二人して連続で三回イった。
ちゃんと名前も呼んであげたら、嬉しそうにしてて可愛いなぁと思った。