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愛は図々しい

明希はイギリスに戻っていった。

あれからちょくちょく渡瀬と家で夕食をとるようになった。

渡瀬の料理の腕前は結構なもので、何作らせても美味しいし、私は料理は一切しないので任せてある。

私が料理しない理由は、めんどくさいから。

洗い物も出るし、めんどくさい上にめんどくさい。

だからやらない。

出来ないわけではない。

やらないだけ。


「はるさん、最近調子どうですか?」


「ん?うん、ずっと私だしいい感じなんじゃない?」


「東堂さんも真島さんも消えましたか?」


「さぁ?それは分かんないけど、勝手に出ちゃってたら知らないよ?」


「私の知る限りではないですよ」


「そっか、良かった。ずっと聞きたかったんだけどさ、あの女と関係続けてる私の事どう思ってたの?」


「どうって………好きなのかなと。ただ、お金の件もありますし、結婚されてるとも聞いてたので東堂さんと共に反対ではありましたよ」


「その時に相手の家庭がどうとか気にならなかったわけ?」


「いえ、さすがにそこまでは………プライベートですので踏み込みませんでした」


「そっか」


「それで、……結婚しませんか?」


結婚しませんか?って言った?

言ったな。

え、この流れで?

それでってなに?


「え、なんで?」


「はるさんと夫婦になりたいからです」


「いや、だからなんで?」


「愛してます」


「あぁ、なるほどね」


「だから、結婚してください」


「でも私、子供いらないしさ」


「はるさんの傍に居られればそれで」


「渡瀬はさ、絶対いい夫になるし父親になれるよ。幸せになっていい人なんだよ?」


「はるさんと夫婦になれたら幸せですよ」


「もし自分が一番じゃなくても?寂しくない?愛して結婚した人なのに、自分が一番じゃなかったら」


「それでもいいです」


「寂しいは、怒りに変わるよ?それに、私が言うのもなんだけど、私に一番に愛されたいって思ってくれないのは嫌だし」


「私を一番にだとかはあまりに図々しいというか。なので、今までもこれからも、東堂さんや真島さんを想うはるさんであってもそれはそれで、といいますか」


「一番に愛されたいって求めない人と結婚するって、それは私側の気持ちとしても寂しいと思うんだよね。人間ってさ、欲深いよ?誰かの事を好きでもさ、別の誰かには自分だけを見ててほしいって思うんだもん。愛って、図々しいんだよ」


「私が誰よりもはるさんを愛しててもだめですか?」


「愛されるよりも、愛したいマジでのタイプ?」


「真面目に聞いてください。東堂さんがお見えにならなくなった今、私があなたを守りたいんですよ」


「今も十分守ってもらってるよ。渡瀬は、ちゃんとした人と幸せになりなよ」


「本気で言ってます?」


「本気よ?大マジ。あなたはちゃんと、一番に愛されなさい」


渡瀬は何も言わず、微妙な空気が流れた。

渡瀬からのプロポーズは唐突すぎて驚いたけど、本心を言えばめちゃくちゃ嬉しかった。

私を求めてくれている真剣な眼差しと、その相手が渡瀬だってことにも喜びを覚えた。

でも、今の私には渡瀬の愛情を受け入れる強さや余裕を持ち合わせていなかったし、矛盾だらけの私に、渡瀬は勿体なすぎるほどまっすぐで。


なにより、渡瀬を一番に愛せる自信がない。

一番に愛されない寂しさは、痛いほど私が一番よく分かってるから。

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