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幽霊退治屋セリスと魔王バルドル。その2

「さあさあ!バルドルさん!キリキリ吐いて頂きましょうか!」

クルリと椅子を回転させて魔王バルドルの真横にジャンピング正座をして真正面から顔を覗き込むセリス。監査令嬢再びである。


3つ子の妹達も大好きなお姉様が自分達の近くに寄って来たのでバルドルの腹の上からセリスの膝へと移動をして、「まおーはけー」「はけーはけー」「はけー」と魔王を裏切って監査令嬢セリスの援護に回る。


そしてやっぱりセリスの超ド正論に対して良い言い訳など考え付くはずもなく・・・とうとう願念して本当の事を話し始めた魔王バルドル。


「むう・・・そうじゃなぁ・・・実の所でアレはのう「儂や真魔族にはあんまり直接関係ない戦争なのじゃ」」


「どゆこと?」


「言葉の通りじゃ。真魔族は「ヴィアールから注文を受けた個数のゴーレムを作ってヴィアールに出荷している」だけで今まで真魔族の者は誰1人もあの戦争には参戦しておらん。

首都圏に住んでる若い一般吸血鬼達などはヴィアール戦争の存在すら知らんのではないのかな?」


「そなの?!」


「そうなんですよ。あの戦争において戦死や負傷した吸血鬼は0人なんすよ。

ああ・・・個人で冒険者になって金稼ぎに走って死傷している奴等は知らんぞ?

その辺は自己責任でどうぞって感じじゃな」


数こそ少ないが真魔族から離れて冒険者として個人活動をしている者は一定数居る。

なので個人的にヴィアールの戦いに参戦している吸血鬼も居るのかも知れないのだが魔王としてもそこまでは面倒は見切れない。


「そりゃそうよね」


日本人でも個人的に紛争地帯で戦闘活動をしている者は一定数居る。

そして仮にその者が敵方に殺害もしくは捕らえられても日本政府は一切の容認もせず、一切の責任も負わない、そして解放交渉等も一切しない、との姿勢が国際法的に見ても当然なのである。


それどころか直接参戦は無論の事、間接的にも戦争に協力していたのがバレると「私戦予備・陰謀の罪が成立する可能性があり国外における殺人行為にも日本の刑法は適用される」

実際にSNSの募集で後方での軍事物資の運搬のアルバイトをしただけでも帰国して空港に到着した瞬間に公安に逮捕された者も居るので怪しい求人広告にはご注意下さい。

要するに「国外で戦争活動をしたければ国を捨てる覚悟でやれ。そして2度と国に帰って来んな」と言う事である。


戦場カメラマンや個人での支援活動等についても「個人もしくは所属機関が当該国と直接交渉を行い活動許可と入国許可を取り、入国後の活動は当該国の監督保護と責任の元で行われる」と言うのが世界の通例で何か問題が発生しても母国政府が何らかの保障や当該国と交渉等をする事はありません。


一見すると冷たい対応の様ですが政府が下手に公認をすると国が守ってくれると勘違いしたYouTuberあたりが「戦場カメラマンをやって見た」とかの頭の足りない企画をやったりする可能性が有り(本当にやりそうで怖い)際限が無くなるので仕方ない事でもあります。



話しを物語に戻しましょう。



「たまに新型ゴーレムのテストの為に儂がヴィアールに赴く事もあるが基本的にヴィアールがゴーレムをどう使っているのかは儂もリアルタイムでは知らんのじゃ。

毎月の月の終わり頃にヴィアールから次の月のゴーレムの発注書と報告書が来る感じでのう。

その10日前の砲撃とやらもおそらくは今月末にまとめて報告が来るから儂はまだ詳しくは知らんのじゃ

付け加えるならそのヴィアールからの報告書とやらも凄く事務的である」


「うーんそっかぁ。やっぱりヴィアールの自作自演なのかぁ・・・」

何と無くそんな予感はしていたセリス。


「それは少し違うな。自作自演と言うよりはゴーレムを対戦相手に使って新型兵器の性能テストや兵士や冒険者の訓練をしていると言うのが正解だろうのう。

それから当たり前の話しじゃが王家も裏ではガッツリと絡んでいてのう。

軍事政略の一貫としてピアツェンツア王国の敵性勢力に対する戦争パフォーマンスとしてヴィアールの戦いを利用しておる。

下手にピアツェンツア王国に攻めて来たら「お前らも魔王軍同様に要塞砲でぶっ飛ばすぞ!」って脅しておるのじゃな。

そして儂ら的にも加工後に出るクズ魔石を数百個単位で大量に捌けて金も儲かるから喜んで協力しているのじゃ」


「うわ?!ぶっちゃけたよ!この魔王様!」


要するにヴィアール辺境伯家的には新型兵器の実験と兵士と冒険者の訓練目的に加えて王家からの補助金が目当てで、ピアツェンツア王家的には他国への牽制、真魔族的には外貨稼ぐ武器の輸出って感じかな?

確かに誰も損をしていないね。


「でもそれだと魔王軍の威信が失墜しない?たとえ建前上でも魔王軍は負けてるんでしょ?魔王軍は弱いとか敵対相手に舐められたりしない?」


元日本人のセリスの感覚だと連戦連敗の魔王軍などあってはならないのだ。

しかし今のヴィアール城塞は「この城塞がある限り魔王軍の侵攻すら許さない!」がキャッチフレーズになっている。

一応公式な通算だと183勝26敗でヴィアール城塞側が圧倒的に優勢である。

適度に負けないと怪しまれるので発表を偽装している。


「ふむ?それは良い着眼点だが、本当意味で強い強い魔王軍には本当の敵はおらんのでな?

魔王軍はリアルに超強いので架空の威信などは別に必要ではない。

むしろドンドン舐め腐ってどうぞ?って感じじゃ。

相手が舐め腐って掛かって来てくれた方が戦い易いからのぅ」


もう大昔になるが真魔族を完全に舐め腐って真魔族領に侵攻してきたゴルド王国軍(現在のゴルド王国とは別の国)はバルドル1人を相手に一夜にして戦死者3万を超える大惨敗を喫した事がある。


バルドルが単体でもめっちゃ強いのも理由の一つだが原生林地帯はバルドルに対して強烈なバフ効果を与えるのだ。

たとえ高位の龍種と言えど原生林地帯ではバルドルに勝てる者の方が少ない程に強烈なバフである。

真魔族領の外周を覆う広大な原生林地帯は天然の城壁と言う訳なのだね。


「そんな天下無双、無敵な魔王様なのにフラグでも負けて気にならないの?」


「天下無双???無敵???いやファンタジーの魔王と本物の魔王は違うぞ?

お主は知らんだろうが過去のタイマン勝負において儂の勝率はお世辞にも高くはない。儂にとっては10や20の黒星が増えた所で別にどうと言う事もないんじゃ。

普通に負けておるからな。客観的に見て儂の強さは世界上位100位にも入らん」


「ええ?!」


まぁ、「上位100位にも入らん」は謙遜でバルドルは暗黒時代に悪魔公デーモンロードを撃破して魔法世界から悪魔族を追放しているのでめちゃくちゃ強いのは間違いない。


その時ついでに天使族も一緒に追放しているので魔法世界には悪魔や天使は居ません。

何で天使まで追放したかと言うと天使が居ると悪魔が必ずやって来るからである。


『何も悪い事してないのに世界からの追放なんて酷いですわ!この悪魔王!』


「悪魔王?!?!儂は吸血鬼なんすけど?!後、儂の一存でもないんすけど?!」


『わああああんんん!!!』


一応、三龍王を中心にした守護者達の総意で「天使さん追放」が決まり、パシリに任命されたバルドルが決定事項を天使側に伝えたら、「天使協会魔法世界支部」の天使長に泣かれて暫く罪悪感に苛まれた魔王バルドルだった。


それからバルドルに黒星を付けているのは、文字通りの天下無双の大怪獣である「九頭龍王」、女神アテネの側近である「蜘蛛の亜神アラクネ」、と言ったガチモンの闘神様達なのだ。


なのでバルドル自身も負けた事を大して気にしていないし最初から勝てると思って勝負を挑んでいない。

こんな感じに若い頃の魔王バルドルは割と脳筋で自分より強い相手にも修行と称して喜んで突っかかっていくタイプだったのだ。


「え~?でも魔王が弱いって・・・」

話しを聞いてもやはり魔王が弱い事にイマイチ納得出来んセリス。


「そもそも儂らと戦うとしてだな?「真魔族に喧嘩を売って、お前らって魔王バルドルよりも強い覚醒魔王のマクシムを倒せるの?」って話しなのじゃ」

バルドルとマクシムは本気で戦った事は無いが「マクシムの潜在魔力量はバルドルの5倍程度」と思われるのでバルドルが勝てる可能性はかなり低い。


「覚醒魔王マクシム・・・原初の闇から産まれたと言われる吸血鬼の大魔王・・・

やっぱり実在していたのね」


と、深刻な顔のセリスだが?


「え?」


「え?」


「いや・・・実在もなにもアイツは最近もピアツェンツアに観光に来てたぞ?

到着して10分で帰宅したがな・・・

あっ・・・・・・・・・・思い出したらムカついて来た」


「ええーーー?!」


ヘビモスさんを大量に置き去りにした事件の時だね。

その後、バルドルさんが3ヶ月掛かりでヘビモスさん全員を転移魔法で故郷に送りました。


「あー・・・後は少し前になるがセリスの通う王立学校にも出没してたな。

・・・・・・いや、結構な頻度でピアツェンツアに現れとるなアイツ」

「上級生ひき逃げ事件」の時に地面の中からマクシムが登場してまた地面へと消えたのだ。


「覚醒魔王が何をしに王立学校に?!」


「知らん」

んなもん本人に聞けと言うヤツだろう。 


「・・・・・・・・・魔王って暇なの?」


「農繁期以外は割と暇かも知れんな」


魔王業は普段は暇な分だけ春秋の農繁期は地獄である。

あのマクシム君ですら遊びに行かずに机に齧り付いて事務仕事をしています。


「農繁期・・・だんだんと魔王のイメージが・・・」


「悪くなったか?」


「いえ、逆になんか親近感が・・・」

セリス達、ピアツェンツアの農政貴族達も農繁期は忙しいのです。


「国や地域、種族は違えど為政者などやってる事はあんまり変わらん証拠じゃな。

しかしな?純粋な武力で戦うなら三龍王を同時に相手する事が出来るのがマクシム君なのじゃ」


「やだ!何それ?怖い!」


地龍王クライルスハイム曰く「この世界で一番強い種族は龍種ではなく真魔族やも知れぬ」との事。

オラオラー!ヴァンパイアを舐めんよ!って感じだろう。


現実的にもし真魔族が野心的な種族だったなら魔法世界は未だに混沌とした時代が続いていた事だろう。


「でも吸血鬼って強いのか弱いのか怖いのか怖くないのか・・・」


「ん?セリスは吸血鬼を恐れる派なのか?」


「いえ?全然?」


ここまで魔王の話しを聞いたが実際に自分の目で見て来た真魔族ヴァンパイア達に対するセリスの印象は「人間と吸血鬼ってどこら辺がどう違うん?」である。


なにせセリスの通う王立学校にも普通にヴァンパイアの生徒は在籍しているし当然ながらセリスの友達にもヴァンパイアは居る。

そしてカターニア公爵家の使用人にもヴァンパイアの女の子が居る。


最近、その使用人の女の子が結婚をして結婚式を機に旦那さんも吸血鬼になると言うので、セリスもその結婚式に参列して人間が吸血鬼になる瞬間を見たのだが・・・

何と言うか・・・凄く幻想的で加えてエッチくてドキドキした。


吸血鬼が人間の血を吸い、血を吸われた人間が吸血鬼化するのは事実だったが前世の記憶の様なホラー映画の「スプラッタは要素」は皆無でむしろ神聖な儀式にしか見えんかった。


白いウェディングドレスとタキシードに身を包んだ新郎新婦が見慣れない祭壇を前に司祭の祝詞に従い踊りを舞い、最後に新婦が新郎の首にカプッと噛みつき少し血を吸うのだが・・・何と言うか幼い子供には見せられんエッチぃ雰囲気があってセリスも「きゃー???」と顔が赤くなったのだった。


この事を魔王バルドルに伝えると、「ほう?また随分と懐かしい儀式をしたものじゃのう。最近は吸血鬼が人間と婚姻するに人間側での教会式の儀式でパパっと済ませるのが主流じゃから古の吸血鬼の儀式を見学出来たセリスはツイておったな」と、吸血鬼式の結婚式は現在では真魔族の本国でも珍しいとの事だった。


何でも吸血鬼化の儀式を執り行える司祭の数が少ないらしく領内の聖域(神社の様な所)から専門の儀式団を呼び寄せる必要があって結婚式の予算がかなり高くなるらしい。


・・・・・夢も希望も無い経済的な理由だった・・・


「やっぱりお金は大事だよね~。

あ!そう言えばさ?吸血鬼と人間の子供ってどうなるん?

やっぱり吸血鬼として産まれるの?」


「それは文字通りの半々(ハーフ)として産まれる。

双方の特性を受け継いだ体質的にもかなり丈夫な子が産まれる傾向が強いな。

そう言えば・・・儂が幼い頃の話しで記憶もかなり朧げな大昔じゃが・・・とある国で女吸血鬼に丈夫な子を産ませて兵士化とすると言う頭の悪い計画があって女吸血鬼狩りなんて事もあったのう」


「女吸血鬼狩りぃいいい?!」


吸血鬼の女性を攫い自分の子を産ませて屈強な兵士を量産する・・・これは当時の人間の倫理観でも完全アウトな腐れ外道な所業である。


「まあ、当代の魔王マクシムがそんなモンを容認する訳もなく問答無用でその国は跡形もなく滅んだがな」

マクシム君が魔王全盛期の時代と言う事は「少なくとも5000年以上も昔」の混沌時代の話しだろう。


暗黒時代のマクシム君は大魔王らしく敵対するなら容赦なく人間の国を滅ぼしていた時代だ。

そもそも数多くの種族や勢力が魔法世界に誕生しては消えて行っていた暗黒の時代である。

敵に情け容赦などしていたら自分達が滅びるだけなので不可抗力だったとも言える。


その混沌を納めるべく天界より女神ハルモニアが魔法世界に赴任して乱れに乱れきった調和の管理を行ってようやく魔法世界は平和な安定期に突入したのだ。

我らのパシリ女神様は実の所でもの凄い神様なのだ。


『煽ても何も出ません。それより早く応援の神を寄越して下さい』


そんな話しをチラッとバルドルから聞いたセリスの反応は・・・「ふあ~?」・・・だった。


「いやはや、何と言うかヴィアールから話しが思い切り逸れたのう。

セリスの言う通り今のヴァンパイア達は人間とあまりにも身近に存在し過ぎててヴァンパイアが龍種より強い・・・かも知れんと言われてもピンと来ないだろうな」


一応補足の説明すると現在の一般吸血鬼は平均寿命が180歳とメッチャ長い他は見た目にも身体的にも能力的にも人間とあんまり変わらない。


「でも吸血鬼なら儀式以外でも血を吸うんでしょう?」と言われると、この世界の吸血鬼は「全くと言って良いほどに血を吸わないです」何なら血を好んで飲む吸血鬼は仲間内からも「変態」とドン引きされます。


何で?と言われると「ヴァンパイアの味覚が人間と一緒」だからです。

想像して下さい。貴方はコップいっぱいの血を差し出されて「飲め」と言われて飲めますか?ほぼ全ての人は「嫌ぁああああああ?!?!無理ぃいいい?!」となる事でしょう。


「確かに想像しただけで鳥肌立ちますね」


「そうじゃろう?儂などは牛のレバーすら苦手派なのじゃ。血など以ての外じゃ

しかしヴァンパイアは身体に潜在している魔法的な能力は人間とは桁違いに高いがな。

しかし安定期である現在では魔法能力に覚醒する事もなく平凡に吸血鬼人生を終える者が大半じゃ。

・・・あえて人間と違う点は「全員もれなく大食い」と言う所かのう」


吸血鬼が長期間血を吸わないでいるとデバフとて「食欲旺盛体質」になる。

具体的に言うとヴァンパイアは人間の1,5倍以上つまり1日に平均すると5食、食事を取っている。

それを食欲を支える為に真魔族領では農作物が大量に必要で農繁期になると地獄の忙しさになるのだね。


「セリスの所にいる儂の同輩達もたくさん飯を食わんか?」


「ウチは皆んな大食いだから・・・」

カターニア公爵家が貧乏な理由の一つが「一族郎党、使用人を含めてめっちゃ飯を食う」からである。

自分は令嬢らしく少食なのに皆んなの大食いの為に頑張っているセリスなのだ。


「・・・・・・・・・後で少しセリスに食費を渡しておこう」

これは素直に「セリスごめん」案件だろう。


「お願いします」


余談の余談になるがピアツェンツア王国にヴァンパイアが多く住んでる理由として、ピアツェンツア王国は食糧自給率「脅威の250%」を誇っている食に関して裕福な国だからである。

大食い達がどんだけ好きな様に飯を食っても怒られない数少ない国なのだ。


無論、こうなるまでに13代国王から始まり現王ヤニック(18代国王)まで200年間の努力があってこその成果だろう。


元々、中央大陸は他の大陸と比べても肥沃度の低い平原地帯で砂漠化傾向が強い土地柄で天候不良などあれば直ぐに飢饉に見舞われていた。


その為に考えられるあらゆる方面からの食材調達が必須で多種多様な作物の農業拡大は無論の事で養鶏、酪農や漁業が急激に発展したのだ。

セリスが異常なくらい酪農に拘る理由だね。


そして漁協の点で言えば海軍戦力まで導入して国を上げて魔物が蔓延る危険な海で遠洋漁業を行うのは世界広しと言えどピアツェンツア王国だけである。


その海の魔物へ対抗していた副産物として高性能火力を誇り高速航行が可能な新型戦艦が次々に生み出されてラーデンブルグ公国を抑えて世界最強の海軍となったのだ。

この話しは物語の終盤で重要な話しとなります。


「地政学的な観点で話しをすると今の真魔族には敵がおらん」


「あー・・・確かに」


真魔族の支配領域を地政学に当てはめて考えると南の大陸の北方全域から西方地域の半分に跨いで支配している超大国ラーデンブルグ公国の領土が広がり、中央から東方を支配している真魔族とラーデンブルグ公国は長年(2000年同盟)に渡る強力な同盟関係にある。

そして真魔族領より南方にはヘビモスさん達が支配する領域が広がるがヘビモスさん達はスイーツ関連の事以外は人型生物のやる事になど関心は無いのでヘビモス領を荒らさない限りは真魔族との領土問題など発生しない。

更に最南端に広がる大ジャングル地帯に関して言えばマクシム君の遊び場所である。


世界地図を見ても南の大陸は西の大陸や中央大陸からかなり離れているし、比較的距離が近い東の大陸は発展途上で真魔族に対抗出来る様な強い勢力は無い。

四方八方敵だらけの中央大陸のピアツェンツア王国に比べて真魔族領は地政学的に凄く恵まれているのだ。


「それから政治的、政略的な観点から言うとな中央大陸に住む人族の政治不安定化は南の大陸に住む儂ら亜人種達にとっても好ましいものではないのじゃ」


「なして?」


「海流的に海上の航路が中央大陸に集中しておるからじゃ。

なので亜人種とも比較的友好的なピアツェンツア王国に潰れてしまっては儂らも色々と困るのじゃ。

ヴィアール戦争へのゴーレム提供も今回のカターニア大城郭建造の協力も支援戦略の一環じゃな。

おっと。誤解がない様先に言っておくとゴーレムの輸出もカターニア大城郭の建造支援も儂の一存ではなく「亜人評議会」の採決によって動いている。

あまり公には知られておらんが真魔族もエルフ族やドワーフ族を中心に構成されている「亜人種評議会」に参加しているのじゃ」


「うええええ?!?!」


人族の一般的な常識で言うと真魔族と亜人評議会は中立状態と言われている。

ただでさえ世界的にも巨大な勢力を誇る亜人評議会に真魔族まで加わるとなると人族ではまともに対抗すら出来なくなる。

そんな世界の軍事バランスの安定面から龍種から真魔族の亜人評議会入りへのストップが掛かったからだ。


その完全独立勢力としての印象を人族に対して強める為に「魔王」や「魔王軍」の呼称が公式に確立されたとも言える。


「・・・とは言われておるが裏では亜人評議会結成当初から参加しておる」

元々、亜人評議会を作ったのはマクシム君とエルフの初代女王ルナである。


「あっ!そこは聞かない方が良かったぁ!」

「実は真魔族と亜人評議会って裏では始めから手を結んでるんっすよぉ」との世界の裏の秘密を知ってしまうセリス。


頭を抱えるセリスを見て、「だから聞かん方が良いと言ったろうに・・・しかしまあ、世界の裏事情を知ってしまったセリスはカターニアの女公爵へのゴールへ一歩また近づいたのう」ニヤリと笑うバルドルに釣られてニヤリと笑う妹達。


「ええ?!いや!いやですぅ!だから女公爵なんて嫌です!っての!」


「儂はピアツェンツア王家がセリスをカターニア女公爵にしたがっている事を国王ヤニックから直接聞いて知っておる」


「なにその確実なソース?!」


「セリスを女公爵にしたい理由として「あのセリスなら妙な事(権力闘争)をしない」だろうし能力も高いので国に有用だからだ。

欠点である金に汚い所は・・・・・・・・・一応は容認で!とか言っておった」


「はい!分かりましたから!もうこれで大丈夫っす!教えて頂きましてありがとうございます!これでお開きです!」


自分から仕掛けておいてなんだけど、これ以上は自分に都合が悪そうな話しになりそうな雰囲気をヒシヒシと感じてそろそろお開きにしたいセリス。


しかし魔王はそれを許さない。


「まあまあ、そう言うでない。儂もかなり興が乗って来たわい」

基本的に魔王バルドルは人にモノを教えるのが好きな先生気質な面がある。

魔王になる前の役職は宰相と文部省大臣を兼任しており自らも教壇に立ち真魔族の子供達の教育に勤しんでいた。


・・・先生気質ではなくガチモンの先生でしたね。


それにいずれはセリスは知らないといけない話しも多いのでバルドルはこの機会に色々な事柄をセリスに話す事にした。


「ああ~。もう聞きたくないかも?」


セリスの思いも虚しく講師バルドルによる人間世界の秘密についての講義は続きます。セリスが自分から仕掛けたからね仕方ないね。

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