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幽霊退治屋セリスと魔王バルドル。その1

このお話しは魔法世界の解説者シリーズ全体の説明不足を補う説明回です。

なのでとにかく文字数が多い割にはあんまし面白くありません。

読み飛ばしても特に問題は無いので興味がある人は読んで下さいね。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  

「そう言えば・・・私、バルドルさんにどうしても聞きたい事があるの」


ある日の事、机で勉強をしながら自分の部屋で寝転びながら3つ子の妹達を構い倒している魔王バルドルに横目で視線を移すセリス。


当初は魔王が自分ん家を彷徨く事に強烈な違和感が有ったのだが慣れて来ると魔王バルドルの性格が前世での親戚のオッサンとあんまり変わらない事が分かり今は別に気にもならない。


実際にバルドルは観光目的で「異界門」潜り明治の後期から平成の中期までの100年以上も日本に住んでいて日本的な倫理観の持ち主でもあるのが違和感が無い理由だ。


ちなみに日本在住中のバルドルは大日本帝国海軍軍人として活動しており太平洋戦争終戦後は戸籍を更新して海上自衛隊に勤務していた。

要するに異世界チートが全く通用しないヴァンパイアなのだ。

何なら元軍人だった言う職業柄、他の一般転生者よりコアな知識を持っている。


実の所で前世のセリスとも生きた年代がドンピシャだったりする。

しかしこの話しを書いてはいますがアホほどに長い話しになっているので割愛します。

その内「龍騎士イリス」にて完成品を公開しますが完成まで何年掛かりになるのか分かったモンじゃありませんので気にしないで下さい。



「んー?何じゃ?」「きゃー」「まおーあたしもー」「おー」

絨毯の上で仰向けに寝転んで自分の胸の上に乗っかって来るセリスの三つ子の妹達のほっぺをミョーンミョーンして遊んでいる魔王バルドル。


今日の魔王は鎧も着けずワイシャツ姿のとてもラフな姿である。

鎧を脱いでしまうと白金髪のお髭が素敵なイケオジが吸血鬼の真祖だとは誰も思わないだろう。

幼い妹達も優しいオッサンがいたく気に入ったらしくずっと纏わりついている。


「・・・とても魔王様には見えませんね?バルドルさんはこの子達のお父様ですか?

・・・私以上に妹達が懐いているのでお姉様の心の中では嫉妬の業火が燃え上がってます」


「んー?なぁに気にするでないわ。

こやつらは珍しい生き物に興味を示してるだけじゃ」


「バルドルさんって「珍しい生き物」なんですか?」


「そりゃ吸血鬼の真相なんてSSRのレアモンスターじゃろ?

儂より珍しい生き物なんざそうそうおらん」


「自分でレアモンスターって言っちゃうんだ・・・

まさか妹達の処女の血を狙っているなんて事は・・・」


「・・・幼児相手にソレやった瞬間に嫁に捨てられるじゃろうのう。

血を吸う行為と言うのはな?相手と繋がる魔法儀式じゃから儂が血を吸うと婚姻の儀を結んでいる嫁にもダイレクトに情報が伝わるのじゃ。

つーか、産まれてこのかた嫁以外の者の血を吸った事は無いのう」

魔王バルドルは世界的にも有名な「愛妻家」なので他者の血を吸うなど100万の1の確率でもあり得ない話しである。


「?!?!バルドルさんって結婚してるんですか?!」


「しておるぞ?・・・おや?世界的にもかなり有名な話しじゃと思ったのだが?

公爵令嬢たる者が他所の国の王の婚姻状態を知らんとは・・・」


「え?え~と~?他所様の結婚話しにはあんまり興味無いので」


「公爵令嬢として色々と不味いじゃろソレ?」

高位貴族の令嬢は他国の王侯貴族の婚姻関係を頭に叩き込んでいるのが普通である。


「うう・・・過去の偉人達の婚姻関係は全て頭に入ってるんですけどね」

割と知識にムラがあるセリスなのだ。


「ふむ?これが頭が良い弊害と言うヤツかのう?

自分に興味が無い知識は頭に入れんタイプじゃな?」


「反省します」

セリスは反省が出来る公爵令嬢なのだ。


「しかし女の子は可愛いものじゃ。儂には息子しかおらんからのう。次の我が子は娘でも良いかも知れんな。

なにせ息子ちゅうもんは大きくなると直ぐに親離れしてしまう故に親には近寄って来んくなるからのう」


「え?!バルドルさんって子供いたの?!」


一応説明しておくと真魔族四天王の2番手である農政大臣アッシュが魔王バルドルの実の息子である。

親子の照れ隠しなのか四天王の中でも父親の魔王バルドルに素っ気ない態度を取る事でも有名だ。


「ん~?知らんかったか?これまた人間社会でも割と有名な話しだと思ったが・・・」


「うう・・・反省します」


セリスに呆れたのかグデェ~と脱力するバルドル。釣られて妹達もグデェ~となる。

今は完全にだらけモードの魔王である。公私のメリハリがハッキリしている魔王でもあるのだ。


「んん??・・・・・・ああ!次期魔王と言われる四天王のアッシュ卿!!」


「そう言う事じゃな。ようやく話しが通じたのう」


次期魔王候補の情報は当然ながら各国の高位貴族家は持っている。

貴族として幾ら何でも知らないでは済まされない重要な情報なので少しホッとするバルドル。


《まぁーたくイリスは何をしとるんじゃ?これ儂が少し教育した方が良いか?》とセリスに視線を移す。

バルドルの言う教育とは文字通りの教育である。この時にバルドルはセリスを「生徒」と見なしたのだ!


ちなみにアッシュ卿と言う名前は便宜上での通名で本名は全然違う。

真名(本名)は悪用されると精神支配を受ける危険が有るので重要国家機密扱いでアッシュ卿本人と両親しか知らない。


「まあ・・・アッシュ本人は絶対に魔王にはならんと言ってるがな。

時期魔王は四天王の筆頭で決まりじゃ。と言うか実の所での?筆頭への権力の譲渡は殆ど終わっているのじゃ」


とうとう魔王バルドルの「教育」が始まってしまう。


「真魔族(ヴァンパイア族)においての「魔王」とは絶対権力者では無く人間社会で言う所の「元老院の長」と言った方が正解で魔王の独裁体制では無い。


長かった元老院の長の任期も200年前には切れており元老院の長から離れた今の儂の権限は真魔族内でもかなり制限されておる。

元老院の許可が無いと今の儂は何も出来ないのだ。


ちな、儂は最初から院生政治などやる気は無い。と言うか先代魔王マクシム君に超強引に魔王の座を押し付けられただけなので清々しておってのう」


今回のカターニア大城郭の建造も元老院からの依頼で魔道具の開発と技術屋でもある魔王バルドルが真魔族から派遣されていると言うのか正解である。

とっくに政治からは離れているから魔王がピアツェンツア王国に長期滞在してても本国は混乱せんのだね。


この様につらつらと流れる川の如く真魔族内の暴露話しを始めたバルドル。

これぞ魔王流の「教育」でいきなりコアな核心部から話し始めるのだ。


「ちょちょちょーーー?!

そんな世界的な超重要機密を私にホイホイと教えないでいただけるかしら?!」

当然ながら今の話しはピアツェンツア貴族の中でもセリスが初めて知ったのだ。


「だからこうして子供と遊んでおってもあんまり文句言われんのじゃな。

要するに儂は隠居爺様の黄門様なのじゃ」

異世界探検が趣味のバルドルは割と長期間(明治後期から平成中期の間・・・以下略)日本に住んでいてかなりのTVっ子だったのだ。


「何で魔王様が水戸黄門の事を知ってるの?!」


「そりゃ無論、テレビで見ておったからじゃ。個人的にはやはり佐野浅夫が1番じゃのう」


しつこい様だがなにせバルドルはリアルタイムのテレビで歴代の水戸黄門を見ていたのだ!

そして凄いスピードで話しが明後日の方角に脱線するのも魔王流の「教育」である!

・・・・・・・・・・・つまるところ単純に話し好きなオッサンですね。


「佐野さんって、また古いな!でもめっちゃ分かる!

・・・・・・・・・・・・・・・いや黄門様の話しでなくてですね?

もう!質問の本題に入ります!なんでバルドルさんはピアツェンツア王国に居るの?」


話しの脱線は許さん!と、話しを引き戻すセリス。

とんでもなく長い前置きから話しの主題に入ります。それでは本編スタートです!


「・・・だから国王やお主の父の依頼でカターニア大城郭を建造しに来たと言わんかったかな?

それにまだ浮上システムが安定しておらんからな。

調整の為に暫くはまだここに滞在する予定じゃ」


システム不具合で地上に出っ放しだったカターニア大城郭も最近ようやくシステムが改善されて無事に予定されてた定位置に沈下して魔王バルドルも肩の荷が降りてのんびりしている。


しかしまだ全ての不具合が解消されておらず、試験と調整の為にセリスん家(カターニア公爵家)は頻繁に浮上したり沈下したりを繰り返している。

試験の度に警報と共に自分の部屋も上下するので鬱陶しい事この上ないセリス。


「もう!そうじゃなくて・・・そうですね。もう単刀直入に聞きましょう。

なぜ「ピアツェンツア王国と戦争状態の魔王バルドルさんが敵国に居るんです?」」


「・・・・・・・・・・・・・戦争?」

マジで何の事を言われているのか分からない魔王バルドル。


「えらく物騒な単語が出て来たモンじゃのう?」と、首を傾げる。

そして「てんとう?」と、魔王の真似をして一緒に首を傾げるセリスの妹達。

「はははは。可愛いものじゃのう」すっかり妹達にデレデレの魔王。気分はお爺ちゃんである。


「いやん!私の妹達が可愛いーーー!!!じゃなくて・・・もう・・・

いえね?バルドルさんって「ピアツェンツア王国のヴィアール辺境伯領」とピアツェンツア王国の東部沿岸地区の領有権を巡って長年に渡って戦争してますよね?」


「ん?」


実の所で昨日も『ヴィアール辺境伯領で魔王バルドルからの襲撃が有った』との情報がグリーンランド王国のマリウス殿下よりセリスにリークされたのだ。


しかし王都内では一切の襲撃報道は無し。それどころか現在進行形で戦争相手のはずの魔王バルドルが自分の部屋で遊んでいるのだから、こんな質問の一つもしたくなるだろう。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうじゃな」



ポリポリと頬を掻くバルドル。そして魔王のポリポリを真似する妹達。



「なんか「あ~・・・今、思い出しましたよ~」って顔ですね?

我が国のヴィアール辺境伯領と真魔族が戦争状態なら必然的に母体であるピアツェンツア王国と真魔族は戦争状態になってますよね?

なのに、な~んで誰も何も言わないんですかねー?おっかしいですよねー?」


確かに魔王バルドルとヴィアール辺境伯領は、もうかれこれ150年に渡る戦争を繰り広げている最中だ。

当然ながらピアツェンツア王国と真魔族は長期の戦争状態とも言える。


なのに王家は真魔族にカターニア大城郭の建造依頼を出すし真魔族の長は自分ん家に滞在しているで、まぁ~たく戦争の「せ」の字の言葉も無いのだ。

然るに「ピアツェンツア王国のヴィアール辺境伯領」では現在も魔王軍が進撃して来ている状況なのだ。


「セリスよ・・・世の中には知らん方が良い事も有るのじゃぞ?

知ればセリスも余計な事に巻き込まれる事になるぞ?」

やっとヴィアールでの戦争を思い出して何とか言葉で脅して誤魔化そうと頑張る魔王。


「そうですよね!すみませんでした!私が悪かったです!

・・・って言うと思った?そんなベタな脅しなんて何回も通用しません!

詳しく伺いましょう!

なぜバルドルさんはヴィアール辺境伯領と戦争しているんです?

私が調べた限りだと広大な土地を支配しているバルドルさん的にも中央大陸の一地方になんて重要性はないですよね?」


バルドルが支配している真魔族領は南の大陸に有る。

その広さはアメリカ合衆国より更に広いのだ。

しかも国土の大半が原生林のジャングルで覆われており首都近辺を除いて開発は全く進んでいない。

他所の大陸に手を伸ばす前に先ずは自分の所の開発しろ!って話しである

まあ、これは「呪術的な意味合い」から「敢えて原生林を開発をしていない」のだがね。


「・・・・・・・」セリスに痛い所を突かれて不自然に黙り込むバルドル。


「いやー、実はですね?このピアツェンツア王都内にも幾つかの投資型の物件を私は持ってるんすよ~」とか言いそうになり口を紡ぐ経済型魔王のバルドル。


その他にもピアツェンツア王国を中心にして中央大陸の各国に150以上の店舗を展開している大手外食チェーン「しまず」のオーナーもバルドルである。

魔王的には決して中央大陸に投資的な重要性が無い訳ではない。

しかしセリスにそれを言うと主に金の面で凄え面倒臭い事になりそうな直感がしている。


そしてセリスはツッコミを続ける。

「そしてヤニック陛下も含めてなぜ偉い人も皆んな「その戦争の事実を忘れているんですか?」

しかも渦中の家門「ヴィアール辺境伯家出身のファニー王妃殿下」ですら「戦争の事を忘れている」なんて異常状態以外の何物でもありませんよね?

何ならバルドルさんも「今まで完全に忘れてましたよね?」」


「・・・・・・・・」


セリスが知る限りでも王妃ファニーが「実家のヴィアール辺境伯家が魔王バルドルとの戦争している」事に言及した事は無い。

それどころか実家と戦争状態のはずの魔王バルドルとはめっちゃ友好的に交流をしている。


「更に更にですよ?ヤニック陛下とファニー様はバルドルさんの事を「師匠」とも呼んでますよね?」


「・・・・・・・・・・」

奇妙な縁があり学生時代の国王ヤニックと王妃ファニーは魔王バルドルの弟子だった。

なので国王夫妻はセリスの前でもバルドルを「師匠」と呼んでしまっていたりする。


「もう、1から10まですっごく変ですよね?おっかしいなぁ~?」


こんな感じに矢継ぎ早に疑問をぶつけるセリス。こうなると弁戦令嬢セリスはとても強い。

なまじ地頭が良いので一度論戦で攻勢状態に入ると全く隙が無いのだ。


ちなみに真面目な話しで解説をするとヴィアール辺境伯領と真魔族との戦いに関してピアツェンツア王国の正式な見解は「私闘」と位置付けられており国とは無関係で魔王バルドル個人とヴィアール辺境伯個人の土地を巡る戦いとされている。


「うふふふふふ。さあ反論どうぞ?」

セリスは先のカターニア大城郭の建造費監査の時でも古狸宰相エヴァリストですら論戦で一気に凹ましてしまったのだ。

ただ攻勢には強い一方で守勢に回るとめっちゃ弱く、直ぐに小鹿のプルプル状態になるんだけどね。


「・・・・・・」

そしてセリスの指摘通り色々様々な事を完全に忘れていた魔王バルドル。


かねてよりセリスはずっと不思議に思っていたのだ。

王妃ファニーと魔王バルドルが「自分の部屋のテーブル」を使ってお茶会を開いて談笑している光景を・・・


なぜセリスの部屋が王族達のお茶会の会場になっているかと言うと浮上時のセリスの部屋は窓からの眺めが最高だからだ。

すっかり偉い人達の秘密の息抜き部屋に使われているのだ。

もうそろそろ王家から部屋の使用料を取ろうかとも考えているセリスである。


「更に!さらーに、それにですよ!

つい最近もバルドルさんの軍勢を相手に新型の要塞砲がヴィアール城塞から発射されてますよね?」


「?!?!?!」・・・・・・めっちゃ驚いた顔のバルドル・・・あれ?お前マジでこの話しを知らんかったの?


セリスが持つ情報だと『10日ほど前にもヴィアール辺境伯領から魔王バルドルの軍勢に対して猛烈は反攻砲撃が有った』とされている。

ちなみに、この話しの情報源はセリスの友達の行商人さんである。


「・・・・・・・」

「へえ~?10日前にそんな事があったんだ~?」とか思っている顔になってしまっているバルドル。


「そしてですね?

10日前と言うと・・・バルドルさんってヤニック陛下とファニー様とで「私の部屋」でチェスをして夜遅くまで遊んでましたよね?

なのに陛下には何の報告も無し。おっかしいですよね~?

色々と不自然過ぎるんですよ?ヴィアール辺境伯領は一体、誰と戦っているんです?」


「・・・・・・・」

「イヤー。ホントに誰と戦ってるんすかね~?」とか言ったら怒られるんじゃろうなぁ~とか思っているバルドル。


自国の領土の一つが魔王軍に攻められて、それに対して要塞砲で反撃したなど普通に考えたら王都にも厳戒態勢が敷かれても不思議じゃない国家的な緊急事態である。


にも関わらずその両勢力のトップ同士と実家のヴィアール辺境伯領が攻められている王妃が公爵令嬢の部屋でチェスして遊んでいる。

・・・・いや確かに色んな意味で1から10まで変ですね・・・


「・・・・・・」


セリスからのド正論攻勢にこれは苦しい魔王バルドル。

果たしてここから上手い言い訳が出来るのか?

本編、「魔法世界の解説者」内でも「話すとクッソ長いので特に何の説明も無く華麗にスルーされた」ヴィアールでの戦いの真実が物語的に直接的には関係ない幽霊退治屋セリスにて明かされる!

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