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幽霊退治屋セリスのデビュータント。その1

「まあ・・・今はデビュータントに集中すると言う事で・・・」


「旦那様はすぐにセリスを甘やかして・・・」


王城から帰宅してバーバラ夫人から一連の話し(チクリ)を聞いた父コーバ公爵の第一声である。


娘のセリスからの抵抗が想像以上に激しくてセリスの婚約者を決める話しは一時的に停止になったのだ。

やっぱり鼻血ブーが効いた様子だ。流血をした甲斐が有ったね!


「お父様!やっぱり私のデビュータントでのエスコート役はお父様しかおりませんわ!」

そう言いながら父の腕にまとわり付くセリス。


「そ・・・そうかい?」娘の可愛い行動に一気にデレデレになったコーバ公爵。


「もう!あなた!懐柔されてはいけませんわ!」


ぶりっ子セリスにまんまと騙されそうになったお父さん。なかなかえげつない娘である。

とは言え確かにデビュータントに集中しないといけないのも事実なのでカターニア公爵邸は見合いの話しは保留してセリスのデビュータントへ向けての一色となる。




「おお?!馬子にも衣装!」


「お嬢様・・・それ自分で言っちゃいますか?」


「でも冗談抜きにして美しいのが何かムカつきますね」


「美しいとムカつくんですか?!」


デビュータントで着る純白のドレスの最終調整をしているとワラワラと妹達が着付け部屋に入って来て歓声を上げ始める。


「おねえたま!きれいー」


「きれー、きれー」


「きれー、ねえたま、だっこー」


「えへへへへ?そう?良い子達ですねぇ。はーい、だっこですね~?順番にねぇ」


ミミリーとフェナに褒められてもあんまり嬉しくないが幼い3つ子の妹達にドレス姿を手放しに褒められると悪い気がしないセリス。

柔らかい妹達のほっぺに自分の頬をグリングリンとさせる。


「きゃー」「きゃー」「おおー?これは?やーらーかーい」大喜びの3つ子の姉妹・・・ん?1人変なのが混じってないかい?


それを見て元祖シスコンな双子の妹達も「あー・・・いーなー」と言った感じの顔だが彼女達も13歳になり妹達に姉を譲る事を覚えたのだ。でも後からセリスにグリングリンして貰うけどね。


美しい金髪を靡かせてデビュータント用の純白のドレスに身を包んだセリスは正しく白い妖精タンだった・・・まあそれも口さえ開かなけばの話しだけどね。


今年のデビュータント会場になる王宮の舞踏会会場には今年成人を迎えた貴族の女性約500名にエスコート役の今年成人を迎える男性150名ほどが国中から集まって来るんだそうな。

保護者と侍女に侍従、護衛などの同行者も含めると3万人を超える人間が集まる一大イベントである。


あれ?でもエスコートの男と令嬢の数が合わなくね?と思われるかもしれないが親族がエスコートを務める令嬢が大半なのだろう。実際にセリスのエスコート役も父コーバ公爵が務めるしね。


「はあ・・・お姉様のエスコートが出来なくて残念ですわ・・・」


「本当に残念ですわねぇ」


双子のシスコン公爵令嬢姉妹のステファニーとクリスティーナがため息を吐く。

2人は母のバーバラ夫人に似たので父親似のセリスと顔はあんまり似ていないが目元がスラリとした綺麗系統の美少女である。


「2人はまだ13歳だからね、仕方ないね」


成人している親族に限定されるがピアツェンツア王国ではデビュータントにおいての令嬢のエスコート役は男性でなくとも良いとの裏の習わしがある。

それと言うのも昔にエスコート役の男性を巡り様々な問題・・・ぶっちゃけると愛憎劇の末に殺人事件まで発生したからだと言われている。


ただし、女性がエスコートする場合は男装する必要があるので宝塚系のお姉様が好きな女子的には、ご飯10杯はイケるたまらないイベントだろう。

今年も舞踏会会場前の広場にはお姉様目当ての見学女子達が大勢殺到して黄色い歓声を上げるのだろう。

デビュータントとは一応は宗教的、社交的にも厳かな儀式なのだが「盛り上がるんなら別に良いんじゃね?」と王家の方でも見学女子達の事はスルーされている。


10日ほど前の話し。


「セリスお姉様!わたくし達2人がエスコートしますわ!」

セリスのエスコート役は女性でも可の話しを王妃ファニーから聞き付けたステファニーとクリスティーナがセリスのエスコート役に立候補したが残念ながらエスコート役は成人に限られるので却下された。


「それなら・・・わたくし達のデビュータントのエスコート役はセリスお姉様に!」


「おっおう?私がかい?」

2人揃ってグイグイと姉に迫る妹達。2人のデビュータントの時にはセリスは成人しているので無問題である。


「い・・・良いけど。クリスとステラの婚約者達が泣くぞ?」

コスプレ好きなセリスなので男装もウェルカムなのだが・・・既に双子姉妹には婚約者達が居る。男子達も婚約者の姉ちゃんにエスコート役を取られたら泣くだろう。


「いいえ!大丈夫ですわ!あの方達はわたくし達より1才年下ですから!」


「え?!?!そうなん?!」

別に狙った訳でもないが偶然にも2人の婚約者は共に彼女達の1才年下なのだ。


2人の婚約者達と父コーバ公爵もエスコート令嬢セリスを承諾したので2年後にデビュータントを迎える双子の妹達のエスコート役には男装令嬢セリスで決定する。


・・・そしてお前は自分の妹達の婚約者(未来の義弟)の年齢を今の今まで知らんかったのか?


「ふわ~?これは・・・お嬢様が男装をするとか直ぐに噂が王都中に広がってメチャクチャ騒がれそうですね~」


「絶対に新聞や雑誌の取材とかも来そう・・・まあ、私も写真はたくさん撮りますけどね」

魔法世界にもカメラは普通にあります。スマホのパチモンの様な通信器具まで有るんだからそりゃあるか。


「なして?私の男装なんて毎日見てんじゃん?」

ミミリーとフェナの言葉に首を傾げるセリス。朝夕の農作業や酪農作業のセリスは作業着(男装?)である。


「そりゃ正装と作業着じゃ違いますよ~」


「お嬢様はそろそろ自分の容姿と人気を自覚した方が良いですよ?

冗談抜きの話しでお嬢様はお姫様同然です。お嬢様の行動は国民の皆んな見てますからね」


「なして?!本物のお姫様のラーナ様が居るじゃん?!」


「ラーナ様って・・・目立たないですからね」


「不敬?!」


確かに目立たない王女より限りなく王女に近く容姿端麗で行動力のあるセリスの男装姿を見て興奮して気を失ってしまう夫人や令嬢達が続出しそうだね。

歴史に波に翻弄された皇女と言えば男装の麗人と言えば川島芳子さんやね。


しかしクリスティーナとステファニーからセリス男装の話しを聞いた国王ヤニックから「んー?何か嫌~な予感がするね。クリスとステラのエスコート役をセリスが務めるのは構わないがセリスの男装は禁止する。当日のセリスは目立たない色のドレスを来て地味メイクにしなさい」との「王命」が降ったのだった。


「えー?」「叔父様のいけず~」「お父様・・・最低です」

クリスティーナとステファニーと王女ラーナから集中砲火を食らう国王ヤニック。


「いや?!?!ラーナもデビュータントの年だからね?君の為でも有るんだよ?!」


王女ラーナのデビュータントも双子姉妹と同じ2年後なので主役の王女ラーナよりデビュータント済みの無関係代表のセリスが変に目立つのは色々な不都合が起きそうではある。


「私は構いませんよ?むしろセリス様に目立って頂いた方が楽で助かるのですが・・・」


「それより何でラーナはそんなに疲れているんだい?!」


この頃のラーナ王女殿下は日々疲れ果てていた。

目立たないと言うよりは「消滅」しそうな勢いで疲れているのでデビュータントなどどうでも良いのだ。

国王ヤニックの予感の通り2年後のデビュータント時に王女逃走のドタバタ大騒ぎが発生するのだ。


ちなみに現在の所でセリスの影に隠れて全く目立たない王女ラーナですが数年後に強烈なインパクトを伴いセリスの前で正体を現します。

コイツまじでヤバい奴ですよ。姉の王女シーナは良くも悪くも天真爛漫ですがコイツの場合は全ての桁が違うと言うか次元が違うレベルでヤバいです。

今現在大人しいのは猫を被っていると言うよりは来る日に向けて「大人しくして力を溜めている」のです。

その力が解放されし時にはエルフの女王イリスと冒険者ギルドマスターのイノセントが悲鳴を上げて国王ヤニックが各方面から怒られます。そしてセリスは半べそかきながら震えて眠ります。




話しを現在に戻しまして父コーバ公爵が何かを思い出してポン!と手を叩く。

「あっそうだ!それからセリスは王家が選出した男性と舞台の中央でファーストダンスを踊ってね」

「なして?!お父様とじゃないんですか?!」父の言葉に驚愕の表情になるセリス。


「セリス?当然です」ピシャリと娘を〆る母。

これは婚約者が居ない公爵令嬢なので仕方ない。

一応今年のデビュータントの主役は1番身分が高いセリスである。

婚約者が居ない以上はデビュータントでのダンスは儀礼的にも社交的にもヤニック国王もしくは既婚の偉いオッサン連中の誰かがセリスの相手をするとの事。

公爵令嬢も楽な商売ではないのだよ。


「セリスが早く婚約者を決めていればこんな事になってません」


「あううう?」


ここで王家に若い王太子殿下とかが居れば良かったのだが肝心のロミオ王子はまだ8才と若過ぎるのだ。ステファニーとクリスティーナのデビュータントにも間に合わないね。


「はあ・・・仕方ないですわね。んじゃあロミオ王子様のお相手をするのは君達だね~」

ミョーンミョーンと三つ子姉妹の頬をムニムニするセリス。


「おねーたまがいー」「おーじたまよりねーたま」「がきんちょきらい~」


「え~?なんで~?王子様だよ~?そうかそうか~王子様よりお姉様が好きなのか~。

・・・・・・・いや!テレーズ!今なんて?!今聞き捨てならない単語が?!?!」

このセリスと言う女は自分の事を棚に上げて妹達のマナーの教育には熱心なのである。


「てれーず、なーんもいってない~」


「そ・・・そう?日本語での「ガキンチョ」とか言うパワーワードが聞こえた気がするんだけど?」


「ひほんご~???」


「気のせい・・・だよね?」


ちなみに三つ子姉妹の名前は上の子からクレア、ジャネット、テレーズである。

セリスの妹の中でもステファニーにクリスティーナ、クレアとジャネットは普通の女の子なのだが6女のテレーズだけにはオモロイ秘密があります。




そしてあっという間に時間は流れてデビュータント当日。



「いや!ほんとに女子ばっかだな!周囲があまりにも白過ぎて目が痛い!」

王城の舞踏会用の大ホールは後宮にあるのでカターニア公爵邸に馬車を駐輪して歩いて後宮の控室に入って行く白いドレス姿の令嬢達。

馬車で会場にinしないといけないセリスはまだ自分の部屋にいて窓からボケ~と他の参加者達を眺めての感想である。


「やっぱり女の子が多いね~」

余談になるがピアツェンツア王国全体で見てもセリスの生年は子息より令嬢の数の方がめっちゃ多い年でなのだ。これは単なる偶然らしい。

セリスの年代と2つ下の双子の姉妹の年代には令嬢が多く逆にセリスの1つ下と3つ下の年代は令嬢が極端に少ないのだ。

なので子息不足年代のステファニーとクリスティーナの婚約者は一つ年下なんだね。


「しろいおねーちゃんいっぱーい」

 

「ちろい~きれー」


「おんだまつりみたい~」


「そうだね~。女の子が皆んな白いもんね~。

・・・・・・・って?!なしてテレーズが阿蘇神社の御田お祭りを知ってるの?!」


いや!生粋の北海道道民だったはずセリスが鹿児島の神社や割とマイナーなお祭りの事を当然の様に知っているのも凄いと思うがな!


「あそ~?」


「もしかしたらテレーズも日本からの転生者?」


「???てれーず、しらなーい」


はい。もうぶっちゃますと、このテレーズちゃんも日本の鹿児島県からの転生者です・・・ん?日本の鹿児島?・・・うっ!頭が・・・どこかの魔王と出身地が同じ?


「「お姉様!頑張って良いご子息を射止めて下さいまし!」」


「妹達の激励が心に刺さる?!」






王城でデビュータントを迎える令嬢と令息は貴族院が国内全ての若者の中から様々な観点から厳選し選ばれた若者達である。

なので自分の今年達の嫁さん婿さん探しにうって付けのイベントなので大勢の見学者達が訪れる

特に今年は婿不足の年代なので今回のデビュータントが終わった瞬間から各地で婿探し競争が激化する年と予想されている。

尚、選ばれなかった者は日本の成人式の様に地元の会場でデビュータントを迎える。


「あー・・・うん、頑張って来るよー」恋愛関連では自分に全く期待が持てないセリス。

ちなみにセリスは学校では男子生徒より女子生徒に異常なほどに人気があるのでセリス親衛隊の女子生徒が怖くて男子生徒は容易にセリスに近づけないのだ。


こんな感じで留守番の双子の妹達に送り出されて両親と王宮へと向かうセリス。

徒歩でも余裕で行ける距離なのだが公爵家の威厳と権威の為にわざわざ遠回りして4頭引きの馬車で会場正面玄関に横付けしないていけない。


《ほんとに無駄~》

高位貴族のこう言う所が貧乏性のセリスに合わないのだ、お金も掛かるし・・・


遅参して他家の迷惑にならない様に予定より15分前に舞踏会会場の正面玄関に到着すると(一応大まかに言うと公爵家→侯爵家→・・・・と到着順番が決められている)何故か王妃ファニーが盛大に出迎えてくれた。


「うふふふふ、デビュータントおめでとうございます。

・・・・・実はですね?セリスにお願いがございますの」

セリスが馬車から降りるなりニコニコしている王妃ファニーに手を取られてエスコートされて予定されていた控室とは別の部屋に連れて行かれそうになる。


「?????」何か嫌な予感がするセリス。

なぜならば昨日の夕方に王妃ファニーに会ったばかりである

何か用事が有るならその時に言うはずなのに今お願いを言い出す理由とは?


「お父様?」エスコート役の父から離れて良いのか判断出来ないセリスが父を見ると・・・


「まぁ、お話だけは聞いてあげなさい」

どうやら父コーバ公爵も王妃ファニーからの「お願い」を把握している様子。


それから続々と参加者達の馬車が到着する。ちなみに先程セリスん家から会場へ直接inした者達は準男爵と騎士爵以下の令嬢と子息達である。

彼らまで馬車で乗り付けると舞踏会会場玄関前が大渋滞してしまうので先に入場して待機している。


これからが男爵以上の爵位持ちの家門の者の入場になる。

色々と入場に際して貴族的な何やらかんやらが沢山有るのだが儀礼を長々と書いても面白くないのでバッサリと割愛する。



そんな訳で全参加者の会場in完了です。



《あー・・・早く終わんないかなぁ》

演説をする国王ヤニックの真ん前の先頭に立ち公爵令嬢の笑みを浮かべなからどうしようもない事を考えているセリス。

ヤニック国王の祝辞を立ち澄ました顔で聞いているがやる気がゼロなのだ。


セリスのやる気ゼロの理由は王妃ファニーからのお願いのせいである。

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