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そしてパツキン少女がボタノ炭鉱でネクロマンサーとガチ決戦をかます。その6

戦いは人間側が優勢となり掃討戦となる。

第一陣、第二陣が前線を押し上げ後方からも魔導士達の援護魔法がビュンビュンと飛んで来てゾンビ達をドンドンと破壊して行く。


ドオオンン!ギィイインン!!ドンドンドンドン!!アオアアアアアアーーーー!!!

断続的に不快な戦闘音がとゾンビの断末魔が坑道に響き渡り音が反響してそれぞれ隊の位置の把握が困難になる。


そこでセリスの出番だ。

セリスの役割は霊視で敵を発見するので無くて味方の位置を特定する事だ。

チェスの駒を坑道の全体図の上で動かして行く。


「これがこうなって・・・」

最初はぎこちなかったが楽しくなって来たのかホイホイと駒を動かすセリス。

そのセリスが動かす駒を見て通信用の魔道具で作戦指示を出すイノセント。


ちなみに指揮を取るイノセントはめっちゃ必死なのだ。

何せ核撃エルフから「ヤバくなったらアークトルネード・ブラスト」をぶちかます宣言が出てるからだ。


脳内で炭鉱が埋没した時の損害金額を計算したら白目を剥きそうになっている。

もう絶対に圧勝しなければならない!


「第15班!右の坑道を抑えろ!」

この時のイノセントの采配はキレッキレだったと後に評判になった。


冒険者達が次々と坑道を制圧して行くのを影見をセリスの霊視に同化させて見ている霊視さんβ。

《んー?なんか想像してたのと違う?》


「何が違うんだ?」


《もっとこうガチャガチャすると思っていた》


今回は言ってしまえば強い者をゴッチャ煮したゴリ押し脳筋制圧隊なので個人プレイがメインになると思っていたが意外に戦術的な集団行動をしている。


「そりゃ正規の軍人の方が多いんだから当然じゃね?」


《フーン・・・そっか、アーク・トルネード・ブラストの出番はないかな?》


「撃たさねえよ?」

少し残念そうな爆裂師匠を諌めるイノセント。

そうさせん為に頑張っているので当然だろう。

今回の遠隔操作での極大魔法発動は世界初の試みなので霊視さんβも地味にワクワクしていたのだ。


「少しは自重と言うモノを覚えて下さい師匠」


《あい》

弟子の中でも一番自重と言う言葉から縁遠い弟子から怒られる師匠。

とは言え、イリスの弟子はかなりの変わり者集団なので50歩100歩である。


「あっ!イノセントさん!地下4層の制圧終わったよ!」


「おーし。順調だな。後はバックアタックへの警戒だな」


「あっ。その事なんだけどね?私に考えがあるんだ」


「ん?」


セリスの霊視とイノセントの通信魔道具を使った最新の戦術にネクロマンサーにとっては完全に未知なる戦いに引き摺り込まれているのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ふんふんふーん♪」

かなり戦況も落ち着いて来て出番が少なくなったセリスは鼻歌を歌いながらネクロマンサーが用意していた転移陣の前で何かの作業をしている。


「セリス、お前それ何やってんだ?」不思議にセリスの手元を覗き込むイノセント。

セリスが怪我なんかしたら大暴れするエルフが居るので本陣で大人しくしていて欲しいと思っている。


「うふふふ~、このネクロマンサーの転移の魔法陣はね「複合型転移魔法陣」と言ってね、200年前に流行ったって言われる術式なのよ。

これは複数の魔法陣を同時に連動させて魔力消費を低減させる事が出来る優れ物なんだけど致命的な欠陥があってね」


「そう言や俺も全然見た事の無い術式だな。何で産廃になったんだ?」


セリスはカキカキとネクロマンサーが書いたと思われる魔法陣に何かを書き足している。


「はい!こうしてここに逆流の術式を書き込むだけで全ての転移陣が使用不能になりました!

全てが連動しているから一つ駄目になると全部駄目になる致命的な問題があるのですよ!

いやー、王宮の書庫で本を読み漁っててよかったわー」

めっちゃドヤ顔のセリスだが実際にこれは凄い。


普段は馬鹿っぽく・・・アホの子・・・何も考えていない様に見える自走セリスだが実は今までコツコツとやっていた勉強量は半端な物ではない。

特に魔法の術式の歴史は面白くて何百冊もの魔導書を読み漁っていたのだった。


ただこの術式は戦闘以外では有能なので産廃にはなっておらず物流関係で今でも改良版が使われている。


「おーーー???へー?お前って頭良かったんだな・・・」


「私ってかなり馬鹿っぽいけどそうなんですよ?イノセント君」

それ自分で言うんだ・・・

こう言った発言が自分の評価を落としている原因なのだが・・・仕方ない、セリスだから。


こうしてセリスがネクロマンサーの最後の逃げ道を塞いでしまっていたのだ。

そして追い込まれたネクロマンサーは最後の賭けに出るのだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「おりゃあー!!」ゴオオオン!!

ジャックの正拳突きが数少ないスケルトンアーマーを突き刺さる!

ジャックの拳撃で砕けた肋骨を飛び散らせながらスケルトンアーマーはヨロヨロと後退するが踏み留まる。

ジャックの攻撃を耐えるとはさすがはAランクのアンデットである。


ピカピカ(むっ?!生意気な骨ですわ!)


「スケルトンアーマは物理攻撃にめっぽう強いからな。

霊的な攻撃手段って何かねえかアイギス?」


ピカリーンピカピカ(わたくしはご主人様の能力を最大限に引き出す神器ですので)


「つまり俺が苦手なモンはアイギスも苦手って訳か。

そう都合良くは行かないか・・・・」


ぺカーピカリーン(むっ?ご主人様なら魔法なんかに頼らなくても強いですわ)


ここ最近は光の点滅だけでコミニケーションを取れる様になったジャックとアイギスさん。

成長して来てアイギスさんの自我が大分ハッキリして来ましたよ。


そんな会話をしていると・・・フシュウウウウウ・・・スケルトンアーマーの目が赤く光り破損した骨格が再生されて行く。


超高速再生はアンデットモンスターのお箱である。

その前に核を粉々にする必要が有るのだが、「ちっ!本当にめんどくせえ!」スケルトンアーマーは防御力がめちゃくちゃ高いのだ。


かなり数のスケルトンアーマーが初撃のソーラーレイで粉砕されてしまったが通常戦に移った今では奴等はまだまだ脅威になっている。


《こらあ!!ジャック!それ以上突出すんなぁ!!》

丁度その時に受信用の魔道具からイノセントの叱声が飛んでくる。


「うお!?俺がここに居るって良く分かったなぁイノセント」


《常にセリスが見てるからな!増援が向かわせてきるからそれ以上前進しないで待ってろ!つーか何で単独行動してんだよ?!》


「いやー相棒が強くてサクサク進んでよ。調子こいちまった。

ホントに便利な嬢ちゃんだなぁ・・・でもよ?引く訳には行かねぇ様だぜ?」

バキバキと指を鳴らして全身の筋肉を盛り上げるジャック・・・


ピカリーーーーンンン!(そうそう、わたくし達だけでやったりましょう!ご主人様!)

さすが軍神アテネの神器のアイギスさん。なかなか好戦的ですね。

ピッカリーン!(そおーれー!)っと、アイギスさんが盛り上がったジャックの筋肉を更に強化する。


ピカピカピカ・・・ピカリーン(はあはあ・・・うふふふ・・・なんて素敵な筋肉・・・)どうやらアイギスさんはかなりの筋肉フェチなご様子。

良いご主人様に出会えて良かったね?


アイギスさんの支援で「デストロイヤー」となったジャック!


デストロイヤーとは!「表皮が赤紫色、中身は鮮やかな黄色といったユニークな見た目が特徴のじゃがいもです。 加熱するとホクホクとした食感になり、さつまいもや栗のような濃厚な甘みと風味があります。 粘り気がある肉質で煮崩れしにくいため、肉じゃがやカレー、シチューなどの煮込み料理に向いています」☆Yahooページより丸ごと参照してペースト!


・・・では無くて「破壊者モード」になったのだ!

何故ならばジャックの前方200m先にネクロマンサーが残存のスケルトンアーマーを30体ほど従えて立っているからだ。


ガチャガチャガチャと不快な音を立てながらジャックを包囲するスケルトンアーマ軍団。

{ククク・・・貴様モ我ノ仲間ニシテヤロウ。勇者ヨ}

残された戦力を集めてジャックを集中攻撃する事にしたネクロマンサー。

ここで勇者ジャックをアンデット化させる事が出来れば戦況を好転させる事も夢ではない。

最後かも知れないチャンスに気合いが入るネクロマンサー。


「けっ、調子こいてんじゃねえよ腐肉野郎」


ピッカリーン!(ふん!敵とは言え全然好みじゃないですー。何ですか皆様?骨しか無いじゃないですか!)アンデット相手に筋肉を要求するんじゃありません!


とは言えAランクの魔物の群に囲まれてしまったジャックにピンチに訪れた。

このピンチにジャック&アイギスのコンビはどう凌ぐのか?




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「!!!きゃあああ?!?!大変ですイノセントさん!ネクロマンサー!ネクロマンサーです!ジャックがネクロマンサーと遭遇しました!」

霊視でジャックの様子を見ていたセリスがめっちゃオロオロしている。・・・分かったから少し落ち着け。

ちなみに同じ「アテネちゃんシリーズ」を装備しているセリスとジャックの親和性は高くかなり詳細に状況が把握出来ている。


「何い!マジか?!」


「マジです!それとは別にスケルトンアーマーが35体、ジャックを包囲してます!」


「35体?!ちっ!!手の空いてる奴は全員、東の坑道へ向かえ!!セリス!ジャックの様子は?!」

35体のスケルトンアーマーを一度に相手したらイノセントでも生き残る可能性は低い。今までの楽勝モードから一気にまた緊張モードとなるイノセント。


「ジャックは応援の人達と合流する為に応戦しながら後退してます!

きゃあああ!危ない!あっ・・・あれ?結構余裕ある見たいです?

スケルトンアーマをネクロマンサーにぶん投げてぶつけてから回れ右して走って逃げました」


「そうか・・・ガン逃げしているか・・・良かったぜ。

昔のジャックだったらこう言う時でも絶対に引かなかったからなぁ。

やっぱりアイツも父親になってからは慎重になったぜ」


ジャックがとんずらしたと聞き心底ホッとした様子のイノセント。

どうやらジャックとアイギスさんが選択した作戦は「戦略的撤退」だったらしい。


余談になるが因果的に言うと、もし拳にアイギスさんを宿してなかったらジャックはここで戦死してアンデットとなりイノセントとセリスに襲い掛かっています。

戦場の中での一つの出来事ですが世界の転換点の一つだったのです。

セリスの因果に巻き込まれたジャックは命拾いをしてたんですね。


ピカピカピカピッカリーン!!(この骨達!わたくしの筋肉に何をなさりますのーーー!!)大切な筋肉を守る為にガチ奮闘をするアイギスさん!

ペッカリーン(そおれー!)究極奥義!スーパーアイギスさんモードに移行する!

その真価は「他人の力頼り」・・・他力本願である!


『あばばばばば?!?!何なんですかぁー?!力が抜ける~』

そしてその燃料源として豪快に神力をアイギスさんに吸われる本体女神のアテネさん。さすがのアテネ様でも涙目である。


『もおおお!!だから誰が勝手に神器を発動させてるんですかー?!?!

不意打ちとかは止めて下さい!神器を使用する際は事前に教えて下さい!

こんなんさすがの私でも泣きますよ!

はい!今なら怒りませんよ!心当たりの有る人は手を挙げて!』


丁度その同時刻に銀河に散らばる分身体を集めての「アテネちゃん達のアテネちゃん達による合同会議」の最中だったので自立型分身体全員に神器の無断使用について問いただす女神アテネ。

ふざけた名前の会議だが実際の内容は「各担当地区のインフラ整備」と、めちゃくちゃ真面目な会議です。

ここ最近行方不明だった霊視さんαは、この会議に参加してたんですね。


《ですが本体さん。神器の無断持ち出しなんて可能なのですか?》


《そうですね。特に神器はかなり厳重に保管されていますよね?》


《さすがに私達でも管理パスワードは知りませんですわよね?》


サワサワとざわつく自立型分身体の皆さん。


《管理パスワードの統制ってどなたがしてますの?》


《さあ?誰ですかね?でも酷い話しですね。勝手に神器を持ち出すなんて》

女神アテネの凡ミスによりバッチリ管理パスワードを把握している霊視さんα。

ここは全力ですっとぼける。そして隠蔽工作もバッチリである。

でも結局は女神アテネにバレて後に強力なしっぺ返しを食らいます。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



スケルトンアーマーの攻撃を難なくかわし続けるジャック。

「これヤバくね?」軍神アテネの神力のオーラを身にまとい得体の知れない戦闘力を発揮する自分にドン引きしているジャック。

所謂「見える!敵の動きが見えるぞ!」状態である。


ピカリーン!ピカピカ!(アテネちゃんパーンチ!)

ドコォオオーーーーーーン!!!シュウウウウウ・・・

アテネちゃんの神力をまとったジャックの右ストレートはスケルトンアーマの魔力の核を最も簡単に粉砕してスケルトンアーマーが塵になり消滅する。


『あばばばばばばばばばばばば?????』

しかしアイギスさんから女神アテネの「あばばば」が聞こえる・・・


{何デジャアーーーーー?!?!理不尽ジャアーーーーー?!}

どう見てもただの右ストレートなのに物理的に魔力の核を破壊してしまう理不尽に慄くネクロマンサー。

基本的に高次元の神力のオーラは現世の者に見えません。

正確には太陽や星と同じで意識を集中しないと認識出来ません。


{!!!!サテハ貴様ーーー!勇者デハ無ク何処カノ神ナノカーーー?!}

おっ?さすが高位モンスター。良い線に気付きましたね?ネクロマンサー君。


「お前馬鹿なのか?こんな神様が居る訳ねえだろ?」自分でも「俺が神とか無えわぁ」と思うジャック。


ピカピカピカピカ(ご主人様!チャーンス!)


こうして混乱しているネクロマンサーを尻目にアッサリとスケルトンアーマーの囲みを突破してしまう。


{ダカラ何デーーーーーーー?!?!}


「あ・・・じゃあ。そう言う事なんで。さいなら」

明らかに他人(女神アテネ)の力で難なく突破してしまいバツが悪そうなジャック。


{オワアア?!?!オ願イシマス!逃ゲナイデ!我ノ希望ノ光ーーー!!!}

何事も無かった様に遠くに走り去るジャックを見て絶望の悲鳴を上げるネクロマンサー。

魔力感知でもう直ぐそこまで迫る強力な力を持つ者の気配を感じているのだ。


{ダカラ!一体何処ノ何者が裏デ手ヲ引イテオルノジャーー?!?!}

ですから何者かと聞かれるとオリュンポス12神の軍神アテネさんだっての。


もういよいよどうにも出来ない所まで追い込まれたネクロマンサーでした。

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