表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/44

そしてパツキン少女がボタノ炭鉱でネクロマンサーとガチ決戦をかます。その2

「おっ?!おおおお?!?!なんか知らないけど絶好調!!」

朝起きたら身体の芯から湧き上がる訳分からんパワーを感じてテンション爆上がりのセリス。


イリスが精霊の力の封印解除をした事によりセリスの新陳代謝は絶好調、お肌ツルツル、髪の毛ツヤツヤになった。


「そりゃあ!」調子に乗ったセリスはベッドの上でバク転してミミリーに頭を叩かれたのだった。


「フェナ行くよ!」「はい!」

気合い充分のセリスはフェナと一緒に冒険者ギルドに向かった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・


「やっと来たな・・・おお、お?お~?凄え荷物だな・・・何だそれ?」

2人揃って大きなリュックを背負っての登場に少し困惑気味のイノセント。


「ふふ~ん、これはね?・・・何と聖水よ!」めっちゃドヤ顔のセリス。


聖水を満載した40kgもあるリュックを背負って2km先の天龍教教会から冒険者ギルドまで歩いて来た力持ち令嬢。


毎朝30kgある鶏のピッピちゃんを頭に乗っけて鶏小屋の掃除をしているのでこのパワーが封印解除から来ているのかは不明である。


「天龍教教会からの援助品です」

ここに来る前に古巣の天龍教教会に赴き貯蔵されていた聖水を全てガメて来たフェナ。


「これと、これ、これも!あとはこれもー!」有るモン全て根こそぎかっぱらおうと保管庫を物色するフェナに司祭さんは何か言いたげだったが殆どの聖水が聖女時代のフェナが作った聖水だったので渋々了承してくれた。


「お?おお~?こりゃ助かるな。こんなに俺達が貰って良いのか?」


「当たり前でしょ?こんな大きなリュックを背負って坑道には入れないわよ?遠慮なく貰って下さいな」


そう言いながら集まった冒険者達に聖水を配り始めるセリスとフェナ。


「おー!これは助かるぜ」


「ゾンビウイルスは普通の解毒剤だと効きが悪いからなぁ」


「しかもこれ・・・上級聖水だぜ」思いも寄らない聖水の支給に大喜びの冒険者達。


聖水にも回復薬同様に下級、中級、上級のランクがある。

ゾンビから受けた傷は基本的に上級聖魔法か上級聖水でしか完治する事が出来ないから凄い助かるのだ。

下級聖水はただの気休め、中級聖水でも感染の進行を一時的に止める事しか出来ない。


「はい!絶対に前衛のジャックも聖水を持って!」


「でもよ?俺にはコレが有るぜ?」

そう言って右手のアイギスの紋章を見せるジャック。

霊視さんαより授かった時よりアイギスの紋章は成長している様に見える。


ペカペカペカー《そうそう、そうなのです!》


確かに本物より劣る複製とは言えオリュンポス12神、女神アテネの神器たるアイギスさんの加護が有る以上ジャックがゾンビ化する事などあり得ない。

ペカペカペカー《わたくしゾンビウィルス程度には負けませんわ!》と言わんばかりのペカペカと点滅しているアイギスさん。


「ダメよ!アイギスさんは力が強い分だけ沢山の魔力を消費するんだから!

魔力切れになったらどうするの?アイギスさんはギリギリまで温存しなさい!」


ぺ・・・ペカ・・・ペカ・・・セリスの的確な指摘にショボンするアイギスさん。


「分かったって。確かに備えは万全にするべきだな。

しかし・・・これだと聖遺物の有り難みも半減だな」と笑うジャック。

それは聖水の入れ物が竹筒だからだ。これなら軽いしベルトなどに装置してすぐに使えるし竹は割れてもガラスの様に身体を傷付け難いからとの教会の配慮だ。


確かに戦場で割れやすいガラス製品などはもっての他だね。

同じ理由から陶器製でもダメなのだ。理想は強化プラスチックなのだがこの世界にそんな器用な物は無い。と言うか石油が貴重品の世界なので原油からプラスチックなんて作ったら絶対に地龍に怒られる。


重い思いをしたが聖水を1人頭で5本づつ配布出来たので上出来だろう。

冒険者達は嬉しそうに各々のベルトのカナビラに聖水が入った竹筒を装着している。


「・・・それで?セリス、お前何かしたのか?」


「うん?なにが?」


「いや、何かと契約とかしたのか?」


「何かって何?別に何もしてないわよ?」


冒険者ギルドマスター改め勇者モードになっているイノセントにはセリスを覆う二重の魔力のオーラが見えている。どちらのオーラも神秘由来の強力無比と言って良い力なのだ。


《・・・・・緑色と薄緑色・・・薄緑色は師匠のオーラだが緑色は誰だ?》

確かに緑色のオーラは誰のオーラでしょうか?

現在、セリスと霊視さんβとの回路は遮断されているので霊樹シルフェリアの緑色のオーラは使用不可である。ちなみに霊視さんαのオーラは金色なのでそれも違う。


と・・・言う事は別の何者かとセリスは繋がっている状態と言える。

緑色のオーラなので森の由来の加護と思われるが果たして誰なのだろうか?


《ドライアドのシルヴァーナさんのオーラとも少し違うしな・・・後で師匠に聞いて見んと全然分からんな》


「イノセントさん?」全く自覚が無いセリスはキョトンとしている。


もうぶっちゃけてしまうと霊樹シルフェリアは世界樹ユグドラシルから産まれた。

なのでヴァナディース神族の女神フレイヤの正統眷属であるセリスの魂は産まれ付き女神フレイヤの加護を自動的に内蔵されている。

どっちかと言うとオリュンポス神族の女神アテネが所属違いのセリスに余計なチャチャを横から入れている状況なのだ。


つーか、女神アテネに女神フレイヤのW加護って・・・凄え組み合わせだな・・・

2大神の相互作用で今のセリスは防御力だけで言うなら間違いなくSランク(勇者)に匹敵している。


「まっ、安全なのは良い事だ」そう言ってセリスの頭をポンポンする。

見た目通りにイノセントは細かい事は気にしないタイプなのだ。


「何なの?」頭ポンポンされて首を傾げるセリスだった。


ここで更に横槍を入れるエルフが居た。

「あー・・・それからこれは師匠・・・謎のエルフからのプレゼントだ」

そう言いながら複雑そうな顔で霊視さんβ印の特殊装備をセリスに渡すイノセント。

もういい加減、霊視さんβことイリスの正体を隠すのも面倒臭いのでイリスの事は適当に謎のエルフと呼んでいる。


「えー?何コレ?可愛いー?」

何やらエルフっぽい可愛い感じの服やら何やらの登場にセリスが歓声を上げる。

なかなかセリスに触れる琴線を理解しているエルフである。


「?!?!?!?!」

さすがは戦士の上級職であるクルセイダーのフェナは一目見てこれらの装備品がガチヤバな逸品だと分かった様子だ。


「あの?・・・・・・・兄さん?これって?」


「言うなフェナ・・・貰えるモンは貰っておけば良いんじゃね?」


「冒険者ギルド的には大丈夫なの?」


「大丈夫な訳がねえよ・・・・」深く溜息を吐くイノセント。


本来なら他国からのSランク相当の魔導装備の流入は王宮魔導士師団内の専門機関で精査を行い承認と登録が必要なのだが余りにも時間が無さ過ぎて冒険者ギルド・ハイマスターの権限で握り潰した・・・

あのエルフはこれを見越して作戦開始前日の夜間のタイミングでイノセントに送り付けたんだね。


謎のエルフからの想像を絶する・・・と言うか、空いた口が塞がらないレベルのプレゼントをウキウキしながら装備するセリスを微妙な表情で見ている兄妹・・・これは正しく「切り札」なのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



こうして諸々の戦闘準備を終えたボタノ炭鉱制圧部隊は総員まとまって馬車に分乗して移動を開始する。


今回王城から出発した部隊は冒険者140名と王宮騎士30名、王宮魔導士20名、支援の兵士50名の240名が突入要員で救護などの支援要員も100名を超えている、フェナはその支援要員の中だ。


元々ボタノ炭鉱周辺には先遣隊として2000名近い人員の封鎖部隊が展開していたらしく王都出発のセリス達は援軍の扱いになるらしい。


戦闘力が無いセリスは自分は当然ながら支援要員だと思ってたら突入要員だった・・・


「なんでよーーー!!!」馬車の中で猛然とイノセントに食いつくセリス。


「ああ、突入要員って言っても俺と一緒に指揮隊の配属で最後方だぜ?それにな・・・」

チョイチョイと耳貸せ要求するイノセント。


耳を貸したセリスに、「突入要員の報酬は支援要員の3倍だ。どうせ坑道の中だから後方支援組も坑道に入らんとならん。ただ突入部隊に居るだけで報酬が3倍だ。どうだ?悪くねえだろ?」とイノセントは悪魔の言葉を小声で囁く。


「よろしくお願いします!イノセントさん大好きです!」超現金なセリスだった。


しかし実際にはセリスの突入部隊への配属は「自分の側が1番安全だから!」と言い張って聞かないイノセントにエヴァリスト宰相が渋々了したのだ。


「それに師匠の命令ですから」


「そうか・・・イリス陛下か・・・」

その名前を出されるとエヴァリスト宰相も強くは言えない。


霊視さんβからも「イノセントはセリスの馬になりなさい!」と命令されている。


もし本当にネクロマンサーが相手なら転移魔法を使っての後方攻撃は当然あると予想されるので今回の討伐に関しては前衛、後衛の意味はあんまり無い。

どちらかと言うと後方部隊が狙われる可能性の方が高い。


そうなると指揮官の居る中央部隊が比較的安全だが前衛後衛のどちらかが崩れると前後から挟撃を喰らう可能性があるので危険度で言えばどこでも一緒なのだ。

ならセリスはイノセントの側に居るのが一番安全である。


セリスのお馬さん一号機のジャックは最前衛の中隊を指揮するので誰かを肩車するなど論外だ。


そして後方支援部隊の中核を成すのはエクサホーリーを使える聖女2人とフェナだ。

フェナは元同僚の聖女を護衛するクルセイダーとして今回は後方部隊に配属されている。


「フェナ久しぶりね~」

久しぶりに顔を合わせてキャッキャっと話しに花を咲かせるフェナと聖女達だが?


「本当に聖女の時と比べて・・・・・全然何も変わってないわね・・・老けないってどう言う事?」今年でフェナの年齢は30歳となったが16歳の頃と外見が変わってないのだ。


「えー?変わったよ?今年息子も産んだし」


「「うええええええええーーーーーーー?!?!」」

フェナの爆弾発言に聖女達が乗る馬車から悲鳴が周囲に鳴り響いたのだった・・・




「何の悲鳴?!?!」いきなり響いた悲鳴にビビるセリス。

何だかんだとずっと頼りにしていたフェナと後方部隊と中央部隊に別れてしまい少し不安だった所に不意打ちを食らってビクン!となる。


「へー?セリスでもビビる事があるんだな?」


「基本的に私は臆病だよ?!いつでもどこでもビビりまくりだよ?」


今日は珍しい事に普通に馬車の乗って移動しているイノセントとセリス。

最初はいつもの通りセリスの騎乗スキルをアテにしてイノセントに乗馬しての移動を計画していたのだが、「敵方に余計な情報を与えてはならん!」とエヴァリスト宰相からNGを食らった。


ちなみに馬車に乗っても騎乗スキルって発動すんの?と聞かれると残念ながらセリスが手綱を握らないと発動しない事が判明した。


ならば試しにと馬車を初めて操作して見たら初心者らしく普通に下手くそだった。

チートスキル持ちなら何でもかんでも最初から上手く出来る訳ではない様子なので更なる検証が必要だ。


「くっ・・・せっかく良い商売になると思ったのに」御者として一儲け企んでいたセリス。


「公爵令嬢が御者になんかなったら親に泣かれるぞ?」


まあ・・・セリスの本分は日本人時代に経験豊富だった「操船」の方で「騎乗」や「飛行」の方はオマケの様なモノだ。

しかしその優良スキルも公爵令嬢が操船なんぞする機会が訪れる訳もなく埋没してしまうんだけどね。


「それにしても・・・・」

王都を出発してからはパッカパッカと馬の気の向くままにゆっくり進んでいる牧歌的な制圧隊。


「なんかもっと急いで移動すると思ってたけど・・・随分とのんびり穏やかだね?」


「緊急を要する戦場じゃないし移動中に襲撃受ける可能性も低いからな」

無理に進軍を早めると馬も疲れるが乗っている兵士や冒険者も無自覚で緊張状態になるからとの理由もある。


「なるほどー」


「普通だったらボタノ炭鉱まで3日の行程なんだが途中の街に泊まってその街のギルド支部で追加の人員の募集も行いたいから到着は6日後だ」


「これ以上にまだ冒険者を募集するの?」


「どっかにまだ遠征中のAランクいるかも知れんしな。なんかの間違いでSランクなんか拾えたら超ラッキーだろ?」


「ほー?そだねー」イノセントがそう言うならそうなんだろう。

何気ない会話だったがイノセントの「今回の討伐はそれくらいヤベェ仕事かも知れん」との言葉の裏の意味に気が付く事が無かったセリスだった。


途中の街で5泊する間での募集でイノセントの予想通りにたまたま国外遠征でピアツェンツェア王国に来ていたグリーンランド王国の5人組のAランクパーティをひっかける事に成功する。


それから地元の槍使いのBランク冒険者も2人、対アンデット戦に特化したCランクのベテランパーティも捕まえる事が出来た。


「大漁だね!これでもう絶対に安心だね!」


「そうだな」ニカリと笑うイノセントだが心の中では少し浮かない気分だ。

「もう1人「勇者」が欲しかったぜ」・・・戦力増強に浮かれるセリスを見ながらイノセントはポツリと呟いた。


出発から6日目の正午過ぎに予定通りボタノ炭鉱制圧隊は現地に到着した。

既に宰相のエヴァリストが近衛兵団の一隊を率いてボタノ炭鉱内の調査と周辺の探索と坑道入り口の封鎖作業を行なっていた。


「きゃ?!マズい!」制圧部隊を出迎えて来た宰相のエヴァリストの姿を発見してさっさとイノセントの後ろに隠れるセリス。

霊視さんβからの「危なくなったらイノセントを盾にしなさい!」との教えをしっかり守っているのだ。


「セリスよ・・・最初から見えておるぞ出て来なさい」

そうエヴァリストに言われて、「えへへ」と顔だけ出してニコリと笑うセリス。


「やっぱりセリスは父親のコーバ公爵より大叔父のエヴァリスト閣下と似てるなぁ」


セリスは髪の色彩や顔立ちなどはどちらかと言えば父方(ピアツェンツア王族)の血を濃く受け継いでおり父親のコーバ公爵より大叔父のエヴァリスト宰相に良く似ている。


豊満な体型や綺麗な声などは母親似(ヴィアール王族)で両親の良い所取りしたとミミリーにも良く言われている。

余計な事を言わず黙っていれば誰もが認める両王族直系の超絶美形公爵令嬢なのだ。


イノセントの後ろから「えへへへ~」と愛想笑いをしているセリスを一瞥した後にエヴァリストは深く溜め息を吐き。「全く公爵令嬢がこんな所に・・・」とぶつぶつ文句を言っている・・・

当然ながらヤニック国王やエヴァリストを含めた王室関係者は王女にも等しい言えるセリスの参戦には大反対だったのだ。


「イノセント様が居るから大丈夫です」そう言ってセリスはまた愛想笑いをする。


「坑道に入ったらとにかくイノセントから絶対に離れん様にな。イノセントよセリスを頼んだぞ?」イノセントとセリスにそう念を押して作戦会議に向かうべく作戦指揮所が有る幕屋へと向かうエヴァリスト。


「了解してます。・・・んじゃ今日の所はこれで待機だ。ゆっくり休めよ。

ジャック、俺らも行くぞ」


「おうよ」


ポンポンとセリスの頭を叩いて先に作戦指揮所へ行ったエヴァリストを追って騎乗中のジャックの後ろに乗り共に指揮所へ向かうイノセント。

今日は遅くまで偉い人達による作戦会議になるのだろう。


「・・・・・・・・あれ?もしかして私達って暇になった?」


「暇になりましたねー」


いきなり訪れた余暇に少し呆然と立ちすくむセリスとフェナ。


「とりあえず宿舎用の幌馬車の方へ行こうか?ここに居たら皆さんの作業の邪魔にもなるし」


「そうですねー」


現在、ボタノ炭鉱坑道の入り口付近では消毒用の煙(超強力バルサン)を坑道内へ流し込む作業の最中で駐屯基地内でも工兵達が忙しなく動いている。


ここまで乗って来た戦用の馬車はそのままにして休暇所兼簡易宿舎の幌馬車へと向かう2人。

セリス達に振り分けられたのは女性専用の幌馬車だ。そりゃ当然やね。


幌馬車に行って見ると馬車の中では看護師の女性達が積んで来た薬の仕分け作業をしていた。


「私達も手伝います!」そう言ってセリスは医薬品の入った箱を軽々と持ち上げる。


「ええ?!重いですよ!」公爵令嬢の思わぬ行動に驚く看護師さん。


「大丈夫、大丈夫」そう言ってセリスはホイホイと軽々と箱を馬車の外へ運び出す。


作戦が開始されるとこの女性専用の幌馬車群がそのまま救護所になるんだそうな。

男達がめっちゃ忙しいので救護所作成などの軽作業は支援要員の女性達が行なっている。


幌馬車間のテント止めのロープを張るのに苦戦している別の看護師さん見つけて・・・「うおりゃあ!!!」「ええーーーー?!」と、一発でロープを張り、「コツがあるんです!」とドヤ顔のセリス。


そう・・・セリスは酪農令嬢なのだ。


毎日重たい物を持ち、鶏舎清掃の名目の元に毎日毎日鶏のピッピちゃんと格闘して鍛えているのだ。

特に暑い日などは日除けのテントを張ってやらないとピッピちゃんにめっちゃツンツンされるのだ。


テント張り令嬢セリスの活躍でそれはそれは立派な救護所が出来上がりましたとさ。


「うう・・・お嬢様・・・本当に泣いて良いですか?」

余りにも肉体労働慣れしている自分の主を見てフェナはもう泣いていた・・・


「今更何を言ってるの?フェナも机とベッドを並べるの手伝ってよ?」


「あっ、はい」


「毎日一緒に鶏舎の仕事をしといてお前は何を言ってるんだ?」状態のセリス。

口より先に手を動かせと言う物である。

マジでチャッチャッと机椅子に負傷者用のベッドを運び終えたので女性陣の皆んなで救護所で休憩する。


「こんな若い公爵家のお嬢さんが冒険者だなんて驚きました」


看護師さんが言葉を濁して言ってくれてるのが分かったので、「私に気品が無いのは事実ですので気にしないで下さい。気品と言うモノは他家のお嬢様達にお任せしております」と、宣うセリス。今までの淑女教育とは何だったのであろうか。


「そ・・・そうですか」このテント張り令嬢の親御さんを思って気の毒そうな看護師さんでしたとさ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ