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ぶっ飛ばし系幽霊退治屋ジャックの参戦!

「ブッ飛ばし系退治屋?

・・・・・・・・・・・って?なんじゃらほい?その脳筋丸出しのネーミングは?」


幽霊退治屋の仕事を始めたセリスに霊視さんαが魔法世界においての除霊の方法をレクチャーしてくれる事になった。

レクチャーされた所で戦闘能力皆無の8歳のパツキン幼児にどうせえっちゅう話しなのだが。


《除霊の基本は力技なのよ。

火を掻き消す様に霊体を物理的に剣で斬るか魔法とか使って霊体そのものを吹き飛ばすのね。

ただ物理的な霊体への攻撃はかなりの技量が必要なのでセリスには現実的じゃないわね》


「へ~?景気が良い話しだねー」

方法を聞いた所で何が出来る訳でも無いセリスには他人事だ。


「んで?霊視さんは物理で霊体を斬れるの?」


《私は神力・・・ただの霊視には物理攻撃は不可能です》


「神力・・・やっぱり神様なのね?」


《そんな事言ってません》


「ふーん?神様なのねぇ」


《神様じゃないってば!

それでセリスは魔法路線で行くのかな?って思ったの》


「おい・・・8歳児に何させるつもりだよ?無理に決まってるでしょ?

そもそも私は生活魔法くらいしか多分使えんと思う。

だって自分から感じる魔力がえらく少ないからね~。

難しい魔法が使えるならこんなに金策の苦労もしとらんもんね」


《そうだよねー、セリスって想像してたよりポンコツだもんね》


「酷えな!ポンコツ言うな」


この時はまだ判明していなかったがセリスは魔法の才能があまり無い・・・と言うか大半の魔力は封印されている状態である。


この封印は前世の前世の時に魔力の流出を防ぐ為に自分が施した強力なブツで他人には解除はほぼ不可能である。

その魔力封印の記憶が戻り自分の封印解除が出来るのは10年後になる。


とは言え魔法に関しては物凄いデバフが掛かっており解除した所で使い物にならない未来が来る事をセリスは知らない。

そんな感じなので8歳児のセリスに物理だろうが魔法だろうが霊体をぶっ飛ばす力技が出来る訳がないのだ。


そのポンコツな反面で自分にはSランクのレア・ユニーククラスの素晴らしいスキルが有る事もまだ知らない。

この超絶能力のおかげで物理攻撃と魔法制御能力に強烈な対比デバフが掛かっているのだが。


《そっか~。じゃあ悪霊は避けた方がいいわね・・・うーん残念ね。

報酬が良さそうなSランクの悪霊を幾つかピックアップしたんだけどね》ガサガサ


今日は珍しく霊視さんβも幽霊退治屋会議に参加中なのだ。

何やら手持ちの書類をゴソゴソやってる音が聞こえて来る。


多少の違和感を感じてはいるが、まさか霊視さんが2人居るとは思っていないセリスは1人と話しをしている感じになっている。


アホの子かな?と思われても仕方ないが、理由があって霊視さんαが霊視さんβの声色を模倣しているせいである。

この理由については後々明らかになって行きます。


「いやだからさ・・・アナタは何と私を戦わせるつもりだったのよ?

悪霊なんて相手に出来る訳ないでしょう?」


《そうなんだけど、その辺りは私が代理でブッ飛ばそうと思っているわ。

そもそもの話しで説得に応じる安全な幽霊ってのが少ないのよ。

幽霊って大体は恨みを持って死んだ人達だからねぇ。

妹ちゃんは例外中の例外なのよ。

でも定期的に稼げる仕事となるとね・・・少しは危ない橋も渡らないと・・・》


「そりゃそうだよね。楽して稼げる仕事なんぞ無いからね」

前世で危険な漁師を生業としていたセリスの言葉には妙な説得力が有るのだ。


《だから他の幽霊退治屋の仕事のやり方を見といた方が良くないかしら?勉強にもなるし》


「うん、そりゃ正論だね」


《それでね?ブッ飛ばし系退治屋の1人とアポ取ったんだけど会って見る?》ガサガサ


「ところでさ?あんた絶対に他の場所に本体が居るでしょ?

絶対に今、机の上にある資料とか見てるよね?」


《本体なんて居ないよ~霊視には資料なんて物理的な物は手で持てません》ガサガサガサガサ


「嘘つけ、さっきから手に持ってる紙の音がモロに聞こえてんぞ?・・・

まぁ、勉強する事自体は悪くないよね」


《OK~、決まりね》ガサガサガサピピーーピピピピーー


「おい・・・通話用の魔道具の音が漏れてんぞ?」


自分の正体を隠す気が有るのか無いのか分からん霊視さんβである。

それから3日後にその「ブッ飛ばし系退治屋」とやらに会う事になったセリス。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おっ?嬢ちゃんがイリ・・・霊視が言っていたセリスちゃんかい?」


「クマ?さんだぁ・・・こんにちは。そして霊視さんは「イリ」って名前なの?」


「何の事か分かんねえな、ガハハハ」


「嘘つけ」


霊視さんβがアポを取った「ブッ飛ばし系退治屋」の仕事現場を見学出来るとの事なので指定された倉庫の前に来て見たのだが、セリスの前には筋骨隆々の2mを超える大男が居た。


「うわ~?本当にクマさんですね」

女性の割には長身のフェナもポケーと大男を見上げている。


「失礼な嬢ちゃん達だな、ガハハハハ」と笑うクマ!もとい大男。

「俺の名前はジャックだ!よろしくな!ガハハハ」クマさんはジャックさんと言うらしい。


「私はセリスです。こちらは専属護衛騎士のフェナです。

ところでジャックさんは「名前と外見が合ってなぁい?!」とか言われた事は無いですか?」


「本当に失礼な嬢ちゃんだな、そりゃ初対面の人間には毎回言われてるぜ!ガハハハハ」


「そうでしょうね・・・ねえフェナ・・・あれ?フェナ?!」


セリスがフェナを見ると目がポケ~っとハートマークになってた・・・

フェナは重度の筋肉フェチなのだ。


「ああそっか・・・ねえジャックさん?フェナをお嫁さんに貰って下さい」


「んん?!いきなり何言ってんだ?

すまんが俺には3人の子供が居るからな!そりゃ無理ってモンだ」

またガハハハと笑うジャック・・・何笑ってんねん!セリスとフェナはマジで言ってんのだぞ!


「そっか・・・やっぱり売れちゃってるよね。残念だったねフェナ、次を探そ?」


「・・・ううう」本当に残念そうなフェナ。

ジャックはフェナの好みの男ドストライクだったのだが、こう言う大男はなぜか大体は若い頃にとても可愛い奥様と結婚している物なのだ。


なのでフェナは未だに彼氏無しなのだ。美人なのに・・・美人なのにぃ!

しかしダメな事をいつまでもいちいち気にしないセリスは話しを進める。


「それで今日は仕事の見学をさせて貰えるとの事ですよね?」


「ああ、話しは聞いてるぜ!今日のヤマはここの倉庫に出る悪霊だ。

どっかから湧いて来て住み着いちまったらしいな。

オーナーもかなり困ってるからか、かなり報酬を奮発してくれたぜ。

嬢ちゃんは離れて見学してな」


「ふーん?・・・・・・・・・・・うげっ?!」


《あら?セリスにも見えた?偉い偉い、段々と私を使える様になって来たね》


セリスが倉庫の中を霊視さんαを通して見ると大きな悪霊ともう一つ・・・その悪霊に重なる様に別の悪霊が居る事が確認出来た。


なので「ジャックさん・・・悪霊が重なる様に2体居るって気が付いてます?」と忠告する。


「なんだと?!そんな話しは聞いちゃいねぇぞ?!」


「多分・・・その見えずらい悪霊の方が厄介です。充分に気をつけてね!」


「おっ?おう!そうか・・・重なる様に2体か・・・悪霊に憑依する悪霊・・・なら悪魔族由来か?こりゃ知らんで突っ込んだらヤバかったな・・・」

会ってから初めてジャックから笑顔が消えて真剣な表情になる。


実はこの悪霊退治の仕事は冒険者ギルドから正式に発布されている「Aランク」依頼なのだ。

なのでギルドの調査員が念入りに倉庫の調査しており、その調査の結果から「悪霊は1体、他の脅威は無し」との報告が出ている。


つまり百戦錬磨なプロの調査員でも見抜けなかった特殊技能を有している怪異になるのだ。


ジャックは急いで念話回線を開いて師匠の霊視さんβに確認を取る。

《おいおい?師匠には2体目の悪霊の姿は確認出来てんのか?》


《いいえ?「影見」でも1体しか確認出来ないわ。

でも恐らく直接見ているセリスの「目」の方が正確よ。

幾ら借り物で能力が低下していると言っても神与スキルの影見にも映らないなんてね・・・ヤバいかも。

かなり隠蔽に特化したヤツよ。私も補助するから最大の警戒で挑みなさい》


《セリス嬢ちゃんの「目」ってなんだ?》


《セリスが産まれた時からセリスの目の中に住んでる存在なのだけど全く正体は分からないね。

当たり前だけどハイエルフにも分からない存在だからハイエルフ以上の存在になるわね・・・》


《何だそりゃ?それって師匠より強いって事か?》


《強い弱いと言うよりも・・・文字通りに次元が違うかも?》


《マジかよ・・・》


《まぁ・・・ポヤーンとしてて悪意とか全く無いから多分どこかの神様が気まぐれに住んでるんじゃないのかな?

分からない事を考えても仕方ないから今は目の前に集中しなさい。

準備は良い?遠隔で送れるだけの補助魔法を送るわ!》


《おう!》霊視さんβからの補助魔法が「影見」を通してジャックに流れる。

「影見」の凄い所は遠隔でも魔法を行使出来る点にある。


「私達は邪魔しない様にここで見学します!頑張って!」

ジャックの様子から想像以上にやべぇ奴が相手だと分かってビビリ倒したセリスはフェナの後ろに隠れてジャックにエールを送る。


「ジャック様!お気を付けて!」完全に護衛騎士モードになっているフェナ。


「おう!」可愛い女の子達に応援されて再度気合いを入れ直したジャック。


慎重に倉庫の中に入って行こうとした所で不意に足を止めてフェナの方を向いて、

「でもよぉ?本当に俺の事が分からんのかフェナ?」と寂しそうにフェナに尋ねるジャック。


「え?」

一瞬怪訝そうな顔をしたフェナだが見る見る目を見開き、「ああー?!ジャック兄ちゃん?!?!」とジャックを指差して叫んだ。


「やっと気がついたか・・・兄ちゃんは少し悲しかったぜ」


「だって!私の記憶に残ってるジャック兄ちゃんは背は高かったけど筋肉ダルマじゃ無かったモン!」


「ガハハハ、筋肉ダルマかよ?本当に失礼だなフェナ。

いや鍛えたらな?鍛えただけドンドン筋肉が付いちまったんだよ」


「ん?2人は知り合いだったの?」


「私の実の兄さんの友達です」


「へえ~、そうだったんだぁ」


この時は軽く流した他愛も無い会話だったのだが、実はこれがセリスの運命に関わる重大な出来事だった事を今のセリスが知るよしも無かった。


「んじゃあ行ってくるぜ!」改めて気合いを入れるジャック。


Sランク冒険者(勇者)ジャックと正体は不明だが恐らくは災害級のSランクモンスター・・・悪魔由来のイビルスピリットとのSランク同士の戦いが始まる。







《うふふふ・・・いざとなれば私が銀河系の彼方へとぶっ飛ばしちゃうんですけどね~》

のほほんとしながら途轍も無く不穏な事を呟く霊視さんαでした。

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