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カターニア大城郭と王都防衛戦。その3

絶え間なく送り込まれる魔物の迎撃を続ける王妃ファニーと魔法兵団長のフローラ。


「ファニー様!非戦闘員の退避が終わりましたのでミリアリアもお手伝いします!」


「ご苦労様!ミリアリア達はフローラの前衛に!」


「はい!」


後宮の侍女隊も装備を整えて前面に防衛線を張る。

王族直属の侍女達はいざと言う時の為に日々厳しい戦闘訓練を積んでるので一般の兵士より強い者も多い、

王族の侍女業も楽な職業ではないのだ。


「お?おおお??メイドさん達が凄く強い!」

長槍を構えメイド姿でファランクス隊形を取り迫る紫虫を屠り始める侍女隊。


「メイド服って魔法強化を施されているので動き易いし防御力が高いですからね」


「そうなの?!あの服って可愛いだけじゃないんだ」


「フルプレートアーマーには劣りますけどね」


「評価の基準が絶対におかしい!」


「万が一が起きた時は主人の最後の盾になる人達ですからね。

もっと防御力が高くても良いくらいです」


「ふわー?あれ?ウチのミミリー達が着ているメイド服も?」


「カターニア公爵家のメイド服の場合は「ミスリル」を繊維に特殊加工した素材を使ってますので斬撃が通り辛くて魔法攻撃にも高い耐性がありますね」


「もしかして・・・ミミリーってめっちゃくちゃ強いの?」


「あれ?知りませんでした?ミミリーの戦闘ジョブは「ライトソードマスター」ですよ?

ライトソードマスターと言うのはレイピアを扱う剣士の上級職で剣術道場などでは師範代として位置付けをされている正統派の剣士ですね」


フェンシングの様な戦い方をするのがライトソードマスターだね。


「ふわー???」なんちゃって柔術士とは格が違うのだ。

ちなみに現在のミミリーは他の侍女達と共に王妃ファニーの援軍として参戦している。


そんな激強侍女隊に加えて王妃ファニーの元に強力な援軍がドンドン現れる。

ドドドド!!と土煙を上げて100騎近くの騎槍兵達が後宮正門に現れる。


「ファニー様!お待たせしました!」

侍女隊とフローラと共に奮戦している王妃ファニーの元へブロッケン侯爵が率いる「王妃専属騎士団」が到着したのだ。


彼らは王妃ファニーの命令で直ぐには合流せずに王都の住宅地で遊撃戦を行い王都民の避難を支援していたのだ。


このブロッケン侯爵はアスティ公爵同様に王家に反旗を翻して王妃ファニーを身柄を確保して王権の奪取を狙い怒り狂った国王ヤニックにぶちのめされてファニーの配下になった経緯がある。


アスティ公爵と決定的に違ったのは私情ではなく国の将来を考えての反旗だったので案外すんなりと許されて地位も補償されたのだ。


「良く来て下さいましたわブロッケン侯爵閣下!避難誘導ご苦労様ですわ!

ここは大丈夫ですので外宮の援護に向かって下さいまし」


「了解しましたぞ。しかしファニー様の元に2個小隊は残して行きますぞ」


ファニーの強さは敵対していた時期に己の身を持って良く知っているブロッケン侯爵なのだがファニーには追加の護衛騎士を残して自分は外宮に侵入した魔物達の駆逐を始める。


こんな感じに王妃ファニーが防衛部隊の陣頭指揮を取っているので王城の混乱は最小限度に抑えられているのだ。


ゴオオオン!ドオオンン!ズドオーーーーン!!突然鳴り響く爆発音。


「うきゃああ?!何?!」


「大変ですお嬢様!見て下さいお城から煙が!」


いきなり起こった王城での大爆発にセリスやカターニア大城郭に避難して来た王都民達がパニックになり掛けるのだが、「はーい、皆さん落ち着いて下さいね。王城には「虎」が放たれましたので安心して各地区の避難広場に集まって下さーい」実に呑気な国王直属の侍従の声が聞こえる


言うまでもなく「虎」とは国王ヤニックの異名である。


ゴオオオオオオンン!ガァアアアアンン!!ドドドドオオンン!

何か凄い破壊音が断続的に鳴り響き城内に侵入して来たと思われる魔物達が次々に空に撃ち出されている・・・

魔物達に国王ヤニックがアッパーカットをお見舞いしているのだ。


続けて・・・


チュドドドオオオンン!!!!バリバリバリバリバリバリ!!!ドオオオンン!!!


「きゃああああああ?!?!落雷?!?!」王城に凄い数の落雷が落ちる!


すると・・・


「あああ兄貴ぃいい?!せっかく俺が城を壊さない様に手加減して丁寧に殴ってんのに大技は止めて下さいよおお!!」


「悪い悪い。なんかノリでよぉ」


国王ヤニックの悲鳴が遠くで聞こえる・・・ どうやらアレでも手加減している様子だ。

それからも絶え間なくピアツェンツェア王城内から魔導砲の発砲音が聞こえる。


「だ・・・大丈夫かな?」根性娘でもさすがに不安が隠せないセリス。

初めて体験している本物の戦争はやっぱり怖くてフェナの腕にしがみついている。


《あ・・・ちょっと不味いわね。セリスとフェナは窓際から離れなさい》

唐突に霊視さんαから警告が来る。


「どどどどうしたの?」「お嬢様!こちらに!」

いつもと違い霊視さんαの声が怖いので素直に窓際から離れるセリスとフェナ。


ちなみに最近はフェナやミミリーに自分に取り憑いている霊視さんαの事を説明しているので霊視さんαも普通にフェナとミミリーと世間話をしている。

随分とフレンドリーな女神様である。


《天龍の咆哮が来るわ》「え?ほうこう??」キィイイイイイイ・・・・・

霊視さんαが「アイギス(イージス)の盾」をカターニア大城郭の前面に展開させた瞬間・・・


ヒュゴオオオオオオンン!!!「ひゃああ?!」ズドオオオオオオオオンンン!!「わあ?!」


外宮の方から天龍のブレス(咆哮)が2発、カターニア大城郭に直撃するが「アイギスの盾」に弾かれて上空の雲を突き抜けて消えていく魔力の波動!


そして次の瞬間セリスの視界が朱色に染まり何も見えなくなる。


「何だコレー?!真っ赤かぁーーーー?!?!」


《これは天朱龍の龍炎ですねー》


「龍炎?!ナニソレー?!」


「ふわ?!ふわ?ふわー???」

さすがのフェナも体験した事がない超常現象に唖然としているが?


《あっ、でももう大丈夫よ。決着はついたわ》


「え?え?え?今のなに?決着って?」


《天朱龍が操られていた天龍を倒したのよ。

もう1人・・・土龍の子は・・・あら?あの子は大丈夫見たいねぇ。

良かったですねぇ》


「ててて天朱龍・・・土龍・・・」

サラッと特大のパワーワードを霊視さんαから聞かされてパニック状態のセリス。


霊視さんαからは軽く流されたが今の現象はかなりの重大事態だったらしい。

そんな重大事態にも参加しないで自分の部屋で騒いでいるだけのファンタジー主人公セリス。



そして最大の脅威が排除されて沈静化に向かう攻防戦。


「終わった・・・のかな?」

砲撃音も聞こえなくなり霊視さんαも特に何も言わなくなったので恐々しながらフェナを引き摺り再度窓に近づいて外を眺め始めるセリス。


すると・・・


唐突にセリスの目の前にサファイア色に輝く蒼き龍が現れる。


「?!?!?!」突然過ぎてメチャクチャ驚いたが目の前の龍の美しさに息を飲む。

蒼き龍もセリスとフェナの存在に気が付いて顔を窓に近づけて来る。


「綺麗・・・」近くで蒼き龍の顔を見てしまい魅力されポーとなってしまうセリス。


「リール様・・・」


フェナが不安そうと言うか・・・寂しそうに呟くと蒼き龍がフッと微笑んだ気がした。


そしてスーとカターニア大城郭の真上へと上がって・・・ドン!っと軽い衝撃音を発して一瞬の内に消える蒼き龍。


《あらあら?リールったらメチャクチャ怒ってますねぇ》


「そしてリール様は悲しんでいました・・・」


「・・・」

色々とフェナに聞きたい事があったセリスだがフェナの様子を見て何も聞かない方が良いと感じて口を閉じる。


しかし・・・「んー?」・・・遠い昔に今の蒼き龍の姿を何度も見た様な気がして首を傾る。

そして何か重大な出来事も有った気がする・・・







これは本当に遠い昔の話しになるが・・・








霊樹時代のセリスは、この美しき蒼き龍に「逮捕連行」された事が有るのだ。


逮捕?!なんだそりゃ?!いや?どんな悪さを働いたらそんな事になるんだ?お前は?

セリスは悪役令嬢ならず前科持ち令嬢だったのだ。


セリスは首を捻りながら一生懸命に蒼き龍と何があったか思い出そうとしている。


「うーん?・・・5時間のお説教をされた????

何で逮捕された?えーと?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ?!国際航空法違反?」


蒼き龍に5時間もお説教されちゃったんだね。


それよりも捕まった理由が国際航空法違反って所が私は凄え気になります!

普通はそんな特殊過ぎる法律違反で捕まる奴なんていないと思います!


軽く調べて見ると日本の場合だと国際航空法の違反者は「30~100万円以下の罰金もしくは2年以下の懲役」だそうです(あれ?飲酒運転と同等?)


一般人がやらかしそうなのはドローンでの飛行禁止区域への侵入でしょうか。

ちなみに区役所や市役所、警察署、消防署などの身近な公共施設の上空もこれに該当するらしいです。


間違ってもインスタ映えなんかを狙いドローンを使っての警察署撮影なんて止めましょうね。

結構しっかりと捜査されて容赦なく厳しく罰せられるとの事なのでドローンなどを使う際は充分にお気をつけ下さい。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



さて、王都襲撃事件の時のセリスに関するお話しはここまでです。

なぜかと言いますとセリスは戦闘中もずっと部屋に居たので何の役にも立っていませんし他の重要な事にも関わっていません。

こんな見せ場でファンタジーの主人公としてどうなの?と言われても事実なので仕方ありませんね。


これではギャグとしてもイマイチなので次回は「特別企画!風雲急を告げる王都市街地!真魔族四天王マクシム君の負けられない戦いが始まる!」をお送りします。

書く理由?書いてて楽しいからです。そして意地でもシリアス展開にはなりません。


龍騎士イリスの中では「怖え見た目を悪用されての脅迫要員」か「森の火事の消化要員」としてしか登場しなかったラスボス級のヘビモスさん。

次回は主に彼らにスポットを当てたいと思います。

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