激オコの霊視さんβと激オコのバーバラ夫人。
王家への報告はジャックに任せて王都の地下迷宮から帰還したセリスは冒険者ギルドでワイトキングの件を報告した。
「えーとつまり?ワイドキングは実在したが本は予想通りフィクション小説だったと?
そしてワイドキングはどっかに行ってしまった・・・か?」
セリスの報告を聞き何とも言えない表情のイノセント、誰が聞いても似た様な表情になるだろう。
「そうですね、王城への報告はジャックとチャーリーさんがするとの事です」
ジャックはセリスをギルドに送って直ぐに次のお城に行ってしまった。
「それで?セリスがライモンド王の母親の直系の子孫だったと?
そしてその母親の名前が「リア姫」だったって?」
「そうですね、私も全然知りませんでしたけどそうらしいです」
何せこれはセリスの母バーバラですら知らない隠された真実なのだ。
霊視から聞き出した話しだとライモンド王の母親は「双子の王女の災禍」と呼ばれる双子の姫の姉姫のリア姫だったとの事。
現実には若き公爵を巡っての双子の戦いなどは無く、逆にその若き公爵とやらが起こした権力争いの動乱から逃れる為に姉姫のリア姫はヴィアール共和国に妹姫のミーア姫はグリーンランド王国に匿われたとの事。
最終的に後を継いだ4代目国王がその場に居なかった双子の姫に全ての罪を被せて内乱の終結を図ったらしい。
「マジかぁ・・・師匠め・・・」
この真実はイノセントが頭痛を覚えるのに充分な事態だ。
「どしたのー?」
「いや・・・セリスもこの話しは誰にも言うなよ?かなりの面倒事になるぞ?」
何せその「双子の王女の災禍」の怨恨で現在のピアツェンツェア王国に内乱が起こりそうな気配が漂っているのだ。
「面倒事になるの?」
「まあな、下手すればセリスが王城から出られなく可能性も・・・」
「ずぇーたいっに言いません!」
公式な歴史書では3代目国王の娘のリア姫は動乱期に「反乱を誘発させた罪で処刑された」と記載されてある。
しかし真実はピアツェンツア王国での動乱が収まるとリア姫はヴィアール共和国のブリュッセル伯爵家に嫁いでライモンド王と3人の娘を産み、そのリア姫の娘の子孫であるバーバラ・フォン・ブリュッセル伯爵令嬢とピアツェンツア王国のコーバ・フォン・カターニア公爵が結婚してセリスが産まれたのだ。
「それはまた・・・変な因果がセリスに来なきゃ良いんだがなぁ・・・」
動乱の元凶とされ記録上では処刑されたリア姫が現在のヴィアール辺境伯領で生き抜いていて4人の子供を産み、その彼女の子孫が現在の王家と近しいカターニア公爵家の宗家の中に存在していた・・・
今までの表の歴史を覆す重大な話しなのでイノセントも嫌な予感がしているのだ。
しかも話しの出所が曖昧な物ではなくモロに当時の関係者からの暴露だ。
ここに来て霊視さんβが歴史の裏側を暴露したのは400年間の秘匿期間が過ぎていたしセリスの本当の出自をハッキリさせておいた方が良いと思ったからだ。
とりあえず事情聴取の為に霊視さんβと念話回線を繋ぐイノセント。
《聞いてんだろ?どう言う事だってばよ?師匠よぉ?》
《そう言う事だから。じゃあ後の事は良い感じによろしくね!イノセント君》
これ・・・霊視さんβは、まだ何か隠しているな?
《良い感じによろしくね・・・じゃねえよ!どうすんだよ?!
これ多分、今までの歴史が覆るだろ!面倒事の匂いしかしねえよ》
《その辺はヤニックちゃんが判断する事だからイノセント君はセリスを守ってくれてれば良いと思うよ?》
《この子を守るのはヤニックからも依頼受けてるから構わんが・・・
その歴史とかやらで現在進行形で要らん被害を受けてる今の双子姫の姉姫様はどーすんだよ?可哀想だろうが!》
身長190cm超える厳つい見た目にも似合わず面倒見が良い人情家のイノセントには王宮から追放されると言う酷い所業を受けている現在の姉姫の方も何とかしたいのだ。
《あー・・・んー・・・あの子はもう私の手には負えません。
三龍王がガッツリと守ってますから安心して下さい》
《マジで?何で三龍王が???》
《マジです。これ私も詳しくは知らないんだよね?
ただ近い内にイノセントちゃんの所にも火の粉が降り掛かると思います》
霊視さんβの予言の通りガッツリとイノセントに火の粉が降り掛かります。
《怖い事を言わないで貰えます?》
「????イノセントさん?おーい?」
考え事をしているふりをして霊視さんβと作戦会議をしているイノセント。
セリスから見るとイノセントが難しい顔をしながらこめかみを押さえて動きが止まっているので怖くて仕方ないのだ。
《ちなみにラーデンブルグはどう動くんだよ?》
《表向きには他国の事だから静観かな?
でも裏ではカターニア公爵家に資金の援助かな?》
《・・・あんまり聞きたく無いけど裏の援助ってどこまで進んでんの?》
《感の良い弟子は嫌いだよ・・・アレがもう直ぐ完成します》
《何が?!何が完成すんの?!》
《巨大浮遊城塞。
魔王も喜んじゃって・・・ほんとに男ってああ言うの大好きだよねー》
《なぁにそれぇ?巨大浮遊城塞って何??》
《知らないよぉ~。私にだって事後報告だったんだから。
何でも宰相エヴァリストちゃんが主導で動いているらしいよ?
詳しい事は魔王バルドルがそっちの王城に居るから聞いて見れば?》
《え?何?魔王この国に居るの?魔王が何やってんの?暇なの?
最近、ヴァンパイアがやけに王都に移住して来た事と何か関係あんの?》
この数年でヴァンパイア(真魔族)の人数が王都内で増えて来ているのだ。
元々王家も真魔族が国内に滞在するのを全面的に認めているし対ゴルド同盟を組んでいる敵性種族では無いのでイノセントも別に気にしていなかったが真魔族の親玉である魔王バルドルが王都に来ていると知って嫌な予感がして来る。
《そうだよ。真魔族達は浮遊装置の技術協力しているよ》
《何で魔王バルドルがウチと絡んでんの?》
《あれ?知らなかった?国王のヤニックちゃんって魔王バルドルの弟子なんだよ?》
《聞いてねえよ!》
若き日の国王ヤニックはケンタウロスのケンタ君2号事件の際に一時的に魔王バルドルの弟子になっていたのだ。
ケンタ君2号事件って何?と聞かれると書くと長くなるので省略します。
「ふえええ?・・・イノセントさん?おーい?」
ますます険しくなるイノセントの表情にビビり倒すセリス。
話しがドンドンおかしな方向に進みセリスがマジで激怒する日まで後2年・・・
・・・・・・・・・・何でセリスが激怒すんの?
それから暫くの間、イノセントの頭痛は続いたのだった。
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霊視さんβとの作戦会議が終わり今度は疲れた表情になっていたイノセントが、
「リア姫の話しは俺からも陛下には極秘に報告するがセリスも両親にも口外すんなよ?
今以上にセリスの利用価値が上がった訳だからな?」と今度は真剣な表情に変わる。
「うう・・・やっぱり?」
カターニア公爵令嬢だと言うだけで狙われているのにリア姫の直系の子孫なんて事実が加わると国内の敵性勢力や黒幕のゴルド王国や魔族から何をされるか分からないのだ。
所が変わり同時刻、王城深部にある国王の執務室。
「イリス師匠もこのタイミングで爆弾投下して来るんだもんなぁ・・・」
「イリス陛下もいきなり難問を寄越して下さるのぅ・・・バルドル陛下もこの事はご存知でしたか?」
「一応は簡単な経緯は知っておったが他国の事じゃったからのう・・・
しかしまさかリア姫がブリュッセル伯爵家に嫁いでおったとはなぁ。
儂の目も掻い潜るとはなかなかイリスもやりおるわい。
敵を欺くには味方からとは良く言ったモノじゃのう」
どうやら霊視さんβは盟友の魔王バルドルにもリア姫の行方については秘匿していた様子だ。
そして何故か当たり前の様にヤニック国王の執務室で茶を飲んでる魔王バルドル・・・
いやお前、マジで他国で何してんの?魔王って暇なのか?
「・・・・はあ・・・」
ジャックとチャーリーからの報告書に頭を抱えるヤニック国王とエヴァリスト宰相の王族コンビ。
仮にバーバラ夫人とセリス嬢を「リア姫の子孫」だと王家が公式に認定した所で現状で何が変わる訳でもなく内乱発生は避けられない状況だ。
「この事が明るみになればゴルドの連中がセリス母に接近して来るじゃろうなぁ。
4代目国王が3代目国王の後継者を追放して4代目国王の座を簒奪をした形になるのじゃからなぁ」
「でしょうね。4代目国王の直系の現在の王権の正当性に異議を唱えるでしょう」
一応ヤニック国王も3代目国王の血を受け継いでいるが王位継承権の正当性から言うとバーバラ夫人が正当な後継者になる。
「まあ、奴等が叫いた所で今更どうした?と言った感じだが面倒な事に変わり無い。
バーバラ夫人の警護を増やさんといけんなぁ。それにコーバのヤツに何と言えば良いのやら・・・」
「別に普通に言えば良いんじゃね?
そもそも400年以上も昔の話しじゃから時効じゃろうて。
当時を知る儂から言わせると3代目国王がアホだったとしか言えん。
後継者とかの考え無しに手当たり次第に平民にまで手を出してバカスカ子供を作った好色家じゃったんだからのう」
どうやら3代目国王は相当なアンポンタンだったらしい。
愛妻家の魔王バルドルにして見れば度し難い奴なので当たりが厳しい。
「んな師匠も無責任な」
「それにアレが完成すればカターニアには敵無しだから大丈夫じゃね?
魔族の連中も付随しているザコ共も迂闊に手出しは出来んだろうて」
魔王バルドルは敵に対してめちゃくちゃ口が悪いのだ。
魔族と真魔族は呼称は似ているが全く別の種族で別の勢力である。
それ以上に魔族と真魔族は1000年近く戦っている不倶戴天の敵である。
「それに奴等の第一目標のシーナ姫かて今は絶対安全圏に居るのじゃからな。
お主は細かい事は考えず敵の撃滅を第一に考えれば良いんじゃね?」
「そりゃそうなんですけど・・・何事にも万が一が有るでしょう?」
歴史的にとは言え影響力の増したカターニア公爵家をゴルド王国や魔族が無視をするとは到底思えない。
絶対にバーバラ夫人やセリスを何かに利用してやろうと考えるだろう。
結局、バーバラ夫人とセリス嬢の安全第一を考えてこのリア姫の真実はヤニック国王によって再び歴史の闇へと沈められたのだった。
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「だ・・・そうだ。セリスも二度と「リア姫」の事は口に出して言うなよ?」
「頼まれても言いませんけど?!」セリスも余計な面倒事など御免である。
とは言え、王家の歴史書の中での「リア姫」の記載はここで本当に消滅したが血縁の因果はバリバリに立っている訳で・・・
ではその「リア姫の亡命」を実際に主導した霊視さんβが今どうしているか見て見ましょう。
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ここは南の大陸にある亜人達の国、ラーデンブルク公国。
そのエルフ族自治区にある「エルフ女王イリス・ラーデンブルク」の執務室。
「全く!男性の前で素っ裸になるなんて!セリスったら!もう!もう!」
リア姫の歴史の事より女王イリスはセリスがやらかしたストリップショーにプンプンに怒っていた。
一見すると破天荒にも見えるイリスだが常識人・・・常識エルフなのだ。
セリスは霊樹シルフェリア→漁師の八千代→妖精タン???→公爵令嬢セリスへと輪廻転生をした。
イリスが幼児だった頃に霊樹シルフェリアと守護精霊の契約していたのだ。
そしてこの世界から消えたシルフェリアの魂がまたこの世界に戻ったのを感じてイリスは喜んだのだ。
またシルフェリアと精霊の契約が出来る!と。
そして詳しく調べて見ると今回のシルフェリアは人間の「セリス」として輪廻転生を果たしていたのでイリスは逆にセリスに「ハイエルフの加護」を与えた。
そして元霊樹の膨大な魔力を有する赤ん坊のセリスを魔族などの危険から避けさせるべく魔力や能力を封印したのだ。
そして自分は「霊視さんβ」としてセリスの成長を見守っていたのだった。
そんな我が子同然のセリスのストリップショー・・・これは見過ごす訳にはいかぬ!
「むう・・・セリスの前世で何があったのかしら・・・」
イリスが霊視さんαから聞いた話しだとセリスは日本人の八千代からセリスに転生する前に「妖精タン」に転生したのを挟んでいるとの事なのだ。
「え?妖精タンってなに?」素朴な疑問をぶつけるイリス。
《あー・・・いえー・・・色々とありましてー・・・》
すっげえ歯切れが悪い霊視さんα。どうやら「天界」にとって都合が悪い話しらしい。
ワイトキングとのヒソヒソ話しといい絶対に何か隠しているぜ?コイツ等。
「うーん?イノセントからバーバラちゃんに注意して貰わないと・・・
いや!直接手紙を送るべきね!」
バーバラ夫人は全く覚えていないだろうがバーバラ夫人が赤ん坊だった頃にイリスと会っているのだ。
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次の日、イノセントはリア姫の扱いについて王家はどうするのか?を聞きに国王の執務室を訪れた。
「いや・・・こんな話しは公式には残せん」
「ですよねー」
宰相のエヴァリストに「リア姫の話しやワイトキングの話しをどうすんの?」と確認した所この様な返答が返って来た。
ワイトキングに関しては小説のネタの為に5代目国王がワイトキングと契約したなんて公になったら王家の権威は失墜する
王家としてワイトキングの一件もやはり公式には残す事は出来ないとされた。
ワイトキングの真実を知った国王のヤニックは、
「わははは!馬っ鹿じゃねぇの?!ライモンド国王!わははは!」
件の古文書を指差してそれはもう大爆笑だったらしい。
「ぷっ」そして今も笑いを必死に堪えている。
「ヤニック!」宰相のエヴァリストが叔父としてヤニック国王を嗜める。
「うむ、すまぬ、ついな・・・」
真面目そうに見えて相変わらず良い性格している国王ヤニックだった。
「あ・・・そう言えば・・・」エヴァリストがヤニックに手紙を手渡す。
「なんですかこれ?・・・イリス師匠から?念話じゃなく?」
渡された手紙は珍しい事にラーデンブルク公国からの文書だった。
「何でもイリス陛下がバーバラ公爵夫人に直接手渡して欲しいそうだ」
「バーバラ夫人に?ふーん?了解しました。それで中身は?読んだんですよね?」
「当然ながら戦時中なので中身は確かめた・・・が、これ以上は何も言えん」
国際法で戦時中の国の個人宛に手紙を送る時は魔法で内容を透視し易い様に折りたたむのは禁止されている。
なので手紙の割には大きな封筒に入っている。
「???・・・・ああー・・・アレですか?
セリス嬢がジャック達の前で全裸で水浴びした件ですか?」
「そう言う事を人前で暴露すんなよ?」素でエヴァリストに怒られるイノセント。
「すんませんが兄貴、よろしくお願いします」
そう言ってイノセントにイリスからの手紙を丸投げするヤニック国王。
「ええ~?俺がバーバラ夫人に渡すのか?」
手紙の内容を察したイノセントは国王ヤニックからの依頼を嫌がり始める。
「私から渡すのもちょっとね・・・」誰もこんな内容の手紙を渡したがらないのだ。
・・・そりゃあもちろんバーバラ夫人が気の毒過ぎてだ。
こうしてイノセントは、バーバラ夫人とセリスにとっての「不幸の手紙」を携えてカターニア公爵邸へと向かった。
冒険者ギルドから公爵邸まで徒歩20分で着くので歩いての登場だ。
「まあ!イノセント様!ようこそおいで下さいました」
ニコニコしながらイノセントを迎えるバーバラ夫人。
福祉事業において冒険者の協力は必要不可欠なので冒険者ギルドのマスターイノセントとは当然顔見知りなのだ。
少し胸を痛めながら「どうもバーバラ夫人、今日はコレを届けに来ただけなので」そう言ってイリスからの手紙を手渡す。
「・・・・まぁ?!ラーデンブルクの女王イリス様から?!
あらあら?まあまあ?何で?わたくしに?」
「さあ・・・陛下も宰相閣下も良く分かっておられない様子でしたよ?」
誰にも内容はわからない手紙なのだ・・・一応建前上では。
「とりあえず今日はこれにて」
「ええ?!お茶でも飲んで行って下さいまし?」
「あー・・・まだちょっと急ぎの仕事が残っておりまして。
またお伺いします。あははははは」
「?????」
要らんツッコミを受ける前にそそくさと帰るイノセントを見送りながら訝しげに手紙を見るバーバラ夫人だった。
「本物・・・ですわよね?」スッゲェ不思議そうなバーバラ夫人。
私室に戻って手紙を開封して読み始めると・・・こんな事が書かれていた。
『バーバラ・フォン・カターニア公爵夫人様、
私はラーデンブルク公国のイリス・ラーデンブルクと申します。
急なお手紙で大変申し訳ございません。
実は御息女のセリス様の事で一個人としてお手紙をお出し致しました。
先に申し上げますと私と御息女のセリス様とは過去前世において深い繋がりがございました。
そのご縁でセリス様を見守っている次第です。』
「まあ?!前世?!」
そんな事が書かれていてバーバラ夫人は滅茶苦茶驚いて急いで続きを読み進める。
魔法世界では珍しい事では有るのだが輪廻転生は割と身近な出来事なので娘が転生者だった事自体には余り驚いてはいない。
バーバラ夫人は自分の娘がエルフの女王と深い繋がりが有った事に驚いたのだ。
続きには霊視としてセリスの視線と同化した経緯から幽霊退治屋の発足の手助けをしてワイトキングの調査の事などをきちんと細かい説明が書かれていて長いので中略します。
『それでは本題になります。
その調査の際に身体が汚れたセリス様が身体を洗う為に男性の前で・・・その全裸になりまして』
手紙からも伝わって来る言い難さ感!
「うえええ?!」
この一文には、さすがにバーバラ夫人も信じられない物を見た気持ちでいっぱいになった。
『私もセリス様を嗜めたのですが「まだ子供だから良いじゃん」と返されてしまい・・・
この辺りのセリス様の間違った認識をバーバラ夫人に改めて頂く他ないと思いました』
「せせせせせセリス????」
ワナワナと震え出すバーバラ夫人。
その後には2回目の全裸で水浴びの事が書いてあってバーバラ夫人は眩暈がした。
『以上の事からもセリス様には淑女としての再教育が必要だと判断致します。
バーバラ夫人には是非ともセリス様の淑女教育の再考を願います。』
と綴られて・・・
『最後になりますが、淑女教育の経過を観察したいと思いますので、この手紙の事はセリス様には内密にお願い致します』
と締められていた。
手紙を読み終わりバーバラはそっと手紙をしまい・・・控えていた侍女に、今まで聞いた事も無い低い声で「セリスを大至急呼びなさい」と告げた。
「ふええええええ?!?!」10分後に公爵邸に響くセリスの間抜けな声・・・
それからセリスはバーバラ夫人に8時間以上の説教を受けた後に夜寝るまで「幼児から学ぶ淑女教育」の本を5時間朗読させられた。
コーバ公爵にもバレで淑女再教育が終わるまで幽霊退治屋のお仕事は全面禁止。
王立学校の再開までの間は日曜日も関係なく淑女教育を毎日5時間を受ける事が決まった。
夜遅くコーバ公爵の説教からようやく解放されて、もうフラフラになったセリスはベッドに横たわり・・・「霊視さんや・・・」セリスが霊視さんβに声を掛けると・・・
《はい、霊視です》今日は珍しくすぐ霊視さんβから返答があった。
「お母様にチクったの霊視さんでしょ?」
《むしろなんでチクられないと思ったの?あんな事したら当然チクりますよ?》
「くぬぬぬぬ、ううーー・・・」さすがに何も言い返せないセリスだった。
《それよりも私も毎日5時間くらい教えるから淑女教育を一緒に頑張りましょうね!》
「やーめーてー?!そしたら1日合計10時間の授業になるじゃーん??」
意外な事に霊視さんβは国際淑女教育の教師の資格を持っている。
教師の資格を持ってはいるが本人が淑女か?と、言われると少し微妙である。
「テキストはもう発送したからね!」
「いやあーーーーーー?!」
セリス、霊視さんβに完全敗北した日だった。
ついでに言うと霊視さんαは話しがアホらしくてずっと閉店していた。